【感想・ネタバレ】ホテル・アイリスのレビュー

あらすじ

染みだらけの彼の背中を、私はなめる。腹の皺の間に、汗で湿った脇に、足の裏に、舌を這わせる。私の仕える肉体は醜ければ醜いほどいい。乱暴に操られるただの肉の塊となった時、ようやくその奥から純粋な快感がしみ出してくる…。少女と老人が共有したのは滑稽で淫靡な暗闇の密室そのものだった――芥川賞作家が描く究極のエロティシズム!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

かなり食らった
官能小説だと聞いて読んだが官能的なものもエッセンスにありつつも穏やかで脆く儚い小川ワールドが広がっていて、それに加えていつもよりも激しさを増した表現が響いた
主人公の気持ちに入り込みやすかった 心情表現の奥ゆかさも凄い

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読者を選ぶ内容だと思いますが
すごく主人公に共感しました

変わらない日々、どうしようもない嫌悪と、母親(他人)殻否定される主人公、だけど今現状の世界から出ていくことはできない少女
そんな少女はたまたま老人に恋をした、それが汚い罵り言葉から始まった事だが、きっとどこに彼女の希望があったのだと思う。
罪を抱え最後にしたいと考えていた老人、そして変えられないけど終わりにしたい認めて欲しいと望む少女。
二人が認め合える、愛し方というのは「破壊」しかないのかもしれない。

自分がどこか消えてしまいたい、破壊されたいと望んだ時に読むと救われた本です。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何気なく幾度となく読み返した作品。ふと読みたくなる。小川洋子さんの描くこの質感が好きなんだと思う。
最初に読んだときは高校生だった。翻訳家の老人とおとなしい女子高生の関係はいわゆるSMというものなんだろうけど、高校生のわたしになにかが引っかかった。最近の再読で、ああ、それはその裏にひそむ二人にしかわからない究極の純愛なのかもしれないと感じた。

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2018年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごーく官能的な話。老人のいいなりになる女の子。AVや成年誌の見本みたいな設定。それだけにエロスの本質でもあるし、登場人物の性欲がむきだしにされてても、小川洋子のやさしい文体のせいでまったく下品ではない。
どうしてここまでエロチックな話が書けるのだろう、とかんがえると、小川洋子の作品にまつわる一つのフェチを思いつく。あの、「被・支配欲」とでも言うようなフェチズムです。強い存在の下に置かれその存在にひれ伏すことで得られる満足。
しかしこれは自傷感のある、なんとなく悲しい性癖だと思う。小川洋子自体がそうじゃなくても、彼女の作品のヒロインたちはみんなどこか可哀想。ホテル・アイリスのマリはその痛々しい可愛さが顕著で、だから小川洋子の作品で一番好きです。

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2014年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 昔途中まで読んだけど、積読していた本。なんとなく、久しぶりに本を読んだ。1日で読み終わった。
 読み始めてなぜ途中で読むのを止めたのか思い出した。登場人物の男(翻訳家)の第一印象がキモかったからだ。このキモいおっさんと、主人公との恋愛物語とか見たくないわーと思ったんだろう。今回読んでも同じ印象で同じ感情を抱いたが、読むのは止めなかった。
 この小説で印象的だったのが、舞台となる町の風景だ。海沿いの町で城壁があり、離小島があるらしい。その描き方が美しかった。調べたところ作者さんはある地域をモデルとしているらしい。自分の中ではなんとなく、逗子や真鶴辺りを想像した。
 登場人物の「翻訳家」は最初から最後まで滑稽だった。売女に罵られたり、町の人々からは変人と思われてたり、レストランの予約は出来ていなかったし、なにより最後に逃げて船から海へ飛び降りる場面。ダサいし格好悪い。主人公の恋愛観(?)には読み終わるまで感情移入できなかったが、主人公はこの男が滑稽な姿であったから、どこか惹かれるものがあったのかなと感じた。

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2020年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヨーロッパの方の映画みたいな感じだった。
全体的に乾いて、影が多くて、黒い感じの画面。登場人物の心も皆、乾いている感じがする。
小川洋子にしては、現実味がある世界なんだけど、やっぱりさらっと、俯瞰している感じがする。
世界の片隅で、誰にも気にかけられない人たちのいとなみ。いそうもないけどいるかも知れない。絶対いないとは言い切れない。

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2020年08月14日

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