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Posted by ブクログ
再読。以前に読んだのは15年ほど前。
当時、関西の家を引き払い、金沢に引っ越す直前に読んでいた。
詳しいことは忘れたが、冬の夢を気に入ったのを覚えている。
関西に戻って長く時間が経ったいま、再読し、当時のことを思い出した。
青春の甘さと痛みというかんじ。
小川さんはラヒリの翻訳で出会い、気持ちのいい、キリッとした日本語がカッコよくて大好きだった。
今回、ふとまた再読し、改めていい一冊だなあと思った。
あとがきにあるように、フィッツジェラルドは視覚処理の上手い作家なのだろう。
登場するヒロインや若奥さんがわりとどれも似ている。
(野心的な若いアメリカ男も似ている。整髪料の匂いまでする気がする。)
作者はツンツンしてる若い美女がそんなに好きなんか、ほーん、となる。
フィッツジェラルドには特に思い入れがないのですが、たぶん、グレートギャッツビーより私にはこの本が合っていたと思う。
(小川さん訳のグレートギャッツビーは読んでいないけれど)
簡単に以下にメモ。
お坊ちゃん…なかなかシビアな主人公。母親への視線に本音。すっぱい話。
冬の夢…うまい。好き。お坊ちゃんの主人公とちょっと似ている。
子どもパーティ…わちゃわちゃ。目に浮かぶ。
赦免…こういう視点、面白い。好き。
ラッグズ・マーティン以下略…タイトルに驚く。ストーリーはコメディ映画のよう。主人公について、天涯孤独の大金持ち美少女(美女)だが、超一流の金持ちでもない、というフレーズに笑ってしまう。
調停人…これはホラーではないんですか?
温血と冷血…座りのいい話でホッとした。
「常識」…つら。
グレッチェンのひと眠り…どんでん返しで楽しい。
冬の夢の好きな部分を以下に引用する。
p98
冬の夢の初期段階で金持ち階級へのこだわりがあったとしても、この若者が上ばかり見ている俗物だったのではない。きらきら輝く人やものとお近づきになりたいのではなかった。きらきら輝くものが欲しかっただけだ。
舞台は1920年代、今から100年前ということでそこにも単純に驚かされる。