あらすじ
「プロレタリアートによる権力の獲得は、革命を完成させるのではなく、ただそれを開始するだけである」。自らが発見した理論と法則によって権力を握り、指導者としてロシア革命を勝利に導いたのち、その理論と法則ゆえに最大級の異端として、もろとも歴史から葬り去られたトロツキー。その革命思想の理論的核心を展開した最重要の著作を、ロシア語原典から訳出。付録として本邦初訳の「レーニンとの意見の相違」ほか5論稿収録。
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Posted by ブクログ
本当にロシアでの革命を理解した男です。
レーニンは勿論ロシアにおける革命家ですが、マルクス主義に固執しすぎるところがありました。トロツキーの理論を「歴史を飛び越している」と非難しました。
しかし十月革命以後、レーニンはトロツキーを認めました。レーニンはトロツキーを「一番のボルシェビストである。」と評価しました。
レーニンはブルジョワ民主主義革命が起きた後、プロレタリアート革命が起きる、とする二段階革命論にいつまでも固執していましたが、トロツキーは「ブルジョワ革命が起きた国はフランスやイギリスのような先進資本主義国家だけ。ロシアは後進国だ。ブルジョワは地主は国家権力と結びつき革命を起こすような階級にはなりえない。外国からの投資でロシアは近代化が進んでいる。今一番革命を起こしうる存在はプロレタリアートのみ。」と検証しました。
元々トロツキーの理論はボルシェビキの路線に叶ったものです。スターリンが意図的に歪曲し、あたかも自分たちの理論が正統なレーニン主義であるかのような振る舞いを見せたので、トロツキズムという蔑称が使われています。あまりに高度な理解力を必要とする永続革命論は、レーニンしか理解者を得られず、レーニン死後、トロツキーは孤立してしまいます。
なぜボルシェビキは永続革命をするはずだったのか、ではなく、永続的に革命を起こしうる存在だったはずのものが、ボルシェビキである。といった気がします。
頭が良すぎるがゆえに、孤立した。その存在が、トロツキーなのです。