【感想・ネタバレ】新しい恋愛のレビュー

あらすじ

ドキリ、共感。
芥川賞受賞のロングセラー『おいしいごはんが食べられますように』著者
短編の天才が見透すあなたの本音!
言えなかった心のもやつきに気づく恋愛小説。

★宇垣美里
大人になった私たちは 好きなだけでは愛せない 正しい恋だけしてられない

★朝井リョウ(「群像」2024 年 10 月号掲載の対談より)
好きと思う気持ちの中にある、その人そのものに向いた部分、その人が置かれている状況や条件に向いた
部分、それ以外の部分。そういう、感情を分解されるような感覚

★大森時生
この小説を読んで、恋愛がしたくなった。恋愛はグロテスクで嫌悪の対象だ。だからいい。だからし
たい。

★麻布競馬場(解説より)
リアルであること。僕がサラリーマン作家、あるいはいち読者として著者を心の底から信頼している
のは、まさにその点にある。

ロマンチックから逃げる二十五歳のわたしと「今の」恋愛を語る中学生の姪(新しい恋愛)。内緒で付き合っていた先輩社員の別な一面に心が揺らぐ(花束の夜)。身に覚えのあるごくあたりまえの好意と悪意。好きって一体なんだっけ……。見逃していた生感情にドキリとさせられ、共感にもだえる五つの短編。

「花束の夜」
ひそかにつきあっていた先輩社員が退職、その送別会の夜に……。

「お返し」
バレンタインデーに渡されたのは、チョコレートだけではないのかもしれない。

「新しい恋愛」
プロポーズされたくない25歳の私と、まっすぐに恋愛を語る中学生の姪の2日間の物語。

「あしたの待ち合わせ」
狛村くんはずっと私が好きだ。私は好きではなけれども、手放したくはない。

「いくつも数える」
50歳課長の「年の差婚」をきっかけに社内に広がるモヤモヤと思いがけない波紋。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一風変わった恋愛短編集。
大人になると社会の目からは無縁ではいられない。純粋に恋愛ができたのはいつまでだろう。
その話も周りにありそうな話でリアルだった。
その人自身を見ているつもりでも、周りの噂とかを含めて評価してしまうのは仕方ないよね。

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2026年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かなり好き!1話目なんか特に好き
花束の夜、ショートムービーなんかで観たい
人に利用されるのも利用するのも、まわりの評価を気にするのも、心だけで恋愛できたら幸せなのにね

0
2026年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好意と少しの悪意。高瀬隼子さんの本は絶妙な感情を言語化してくれているなと思います。
自分が好意を抱いてる人を自分以外がどう思っているかで、自分の感情が少し変化したり、誰かを好きになってその人の記憶に残りたいという感情だったり、共感するところが結構ありました。いつも高瀬隼子さんの本は人の感情の解像度が高い。
昔、自分もめちゃくちゃ好きな人がいて、その気持ちが自分でも抑えきれなくて暴走してたことあったなとか、いろいろ思い出してしまいました。痛くて苦い記憶。

【新しい恋愛】っていう話はすごい考えさせられました。実際今人との関係とか考えることが多くて、だからこそこの話が自分に刺さったのかもしれません。
この話の中にでてきた考え方の人って一定数いるから、これからの恋愛の形とかってこうなっていくのかなーとか思いました。なんか1つの形(夫婦はこういうものみたいな)ですべて含んでいるんじゃなくて、恋愛の形とかって細分化されていくのかな。好きって何なんだろうとか、パートナーとのあり方とか考えさせられます。
【いくつも数える】という話では、年の差のことについて考えさせられる。10以上離れてる人同士の恋愛は人によっては気持ち悪く見えるんだなと。男性が上か女性が上か、あとお互いの年齢にもよるのだなと。リアルすぎて怖かった。

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2026年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

◾️新しい恋愛

自分が好きだと思った人の、仕事上の他者評価を耳にして、それは自分が直接感じていることではないのに、「そう思っている」他者がいる事実だけで、ほんのり、またほんのり、好きが削られていく。
好きってこういうことだっただろうか。分からない。

人がたくさん、たくさんいる。この人たちみんな、誰かを大切に思ったり、思われたり、している人なんだろうか。その大切は、いつまで続くものだろう。あるいは、いつ始まるものなんだろう。

人と人とが、油断するとすぐ嫌ったり嫌われたりするということを、高校までの生活で学んだ。

かな子はマスカラを塗らなくても濃いまつげにはっきりした二重の目で、クラスで一番背が低く、一番胸が大きかった。ろくに話もしないうちから、値踏みの済んだ顔でもてるでしょと言われる。男の子と仲良くなるよりも、まず女の子の友だちがほしかった。上品に見えてしまわないよう口を大きく開けてよく笑ったし、学科の噂話もたくさん聞いて、提供したし、みんなが集まる時はバイト帰りで疲れていても、遅れてでもなるべく参加した。仲間に入れてほしくて必死だった、その姿のかな子を好きになったのだとしたらやりきれない。だって誰からでも好かれるような態度を心がけていたのだから、好かれてしまって当然だ。そう思った。

せっかく学科で仲間ができたところで、恋人などよりずっと難しく繊細な友だち関係が築けたのだから、そこで恋愛なんかを始めるつもりはもちろんなかった。下手なことしないでよ、というかな子の祈りが通じたのか、狛村くんは直接はなにも言ってこず、なにも仕掛けてはこなかった。だから、正確な意味で忘れていた。狛村くんがかな子を好きだということ。

好きって伝えてくる人たちは、それを伝えられる側の気持ちの責任は取ってくれない。想像はするだろうし、推し量ることもあるのだろうけど、関係ないのだ。

その間に、かな子はマネージャーとの不倫がばれ、時期外れの人事異動が行われ、マネージャーの配偶者に慰謝料を支払い、そのことが田舎の家族に伝わり、帰省しにくくなって疎遠になり、別の恋人ができたけれど別れ、別れた後で妊娠していたことが分かり、言い出せないまま一人で子どもを堕ろし、それら全部を大学時代からの友だちにむかしと変わらず、わざとらしい軽薄さで情報公開することで、彼らとつながり続けている。今は一人で暮らしているけれど、恋人を作ろうと思えばすぐにできるし、でもどうせいつもどおり長続きしないし、自分の心の中にどうしたってあたたまらない冷たい部分がしこりのようにあることも自覚しているし、時々夜中に叫んで目が覚め、目が覚めたら叫んでなどいなかったことが分かり、叫びすらしない自分が苦しいのに涙も出なくて、代わりにごはんの味がしなくなったし、ごはんの味は、しないけれど食べられるから、生きてはいけるし、でも、だって、狛村くんはまだわたしのことが好きだし。だけど、かな子はそのことを、友だちには話せない。狛村くんってまだわたしのこと好きなんだよ、とは、なぜだか誰にも言えないでいる。

自分が他人にこんなふうに好かれていること、思いを寄せられていること、それを受け取らないまま、ただ「あるなあ」と納得していること、これって残酷な仕打ちなんだろうか、と驕るでもなく単純に考えていること、なんかを、さらに外側の自分の目で俯瞰している感覚があった。

だって、狛村くんはわたしのことが好きだし。
でも、わたしは彼が好きではなくて、だけど絶対に手放したくはないんだった。狛村くんを手放したくないんじゃなくて、あんなに苛烈でしつこく燃え続ける恋の炎は、これから後の人生で二度と自分に向けられることなんてないと思ったから。見たことのない色をしていた。炎。形はすこしの風でも簡単に揺らぐくせに、芯のところは同じ色で、同じ温度で、同じ輝きのまま、ぶれない。

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2026年08月22日

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