【感想・ネタバレ】神無島のウラのレビュー

あらすじ

教師も子どもも取り残さない令和のケア小説。

関東で小学校の教員をしていた槙屋深津は、二十年ぶりに故郷の神無島へ帰った。三年に満たない結婚生活にピリオドを打ち、島の小・中学校の臨時教諭になるためだった。神無島は、週に二便しかないフェリーで鹿児島港から約十二時間、外周十五キロほどの鹿児島県の離島だ。
学校の教師や子どもたち、島の人たちは深津の帰郷を歓迎するが、小学四年生の宇良という男の子だけ現れなかった。人の善悪を見抜き、どちらかわからないうちは、姿を見せないという。自分はどんなふうに見られているのだろうか。深津は悪寒を覚える。島を離れた十二歳の自分の姿が蘇る──。
地元の子どもだけでなく、不登校や親の虐待など家庭の事情で「島留学」をする子どもたちも通う全校生徒十二名の学校。厳しくも豊かな自然と、子どもを守ると言い伝えられる島の神・ウラに見守られながら成長する子どもたちと、家庭の事情やトラウマを抱えた大人たちの心の解放を描く。
解説は、小説家の真下みことさん。

※この作品は過去に単行本として配信されていた『神無島のウラ』 の文庫版となります。

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Posted by ブクログ

情景描写で 気持ちの揺れや迷いを 表現する
方言の持つ強さ
子どもを取り巻く大人たち
かつて子どもだった大人
子どもを描くのが うまい

0
2026年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解釈は人それぞれ、と言う終わり方。

AIの時代に、テクノロジーとは全く切り離された新作なのが、人の温もりを感じた。

子供を守るって、いろんな形があるけれど、
全ての子供を平等に守るのは難しいよなぁと。

0
2026年08月24日

Posted by ブクログ

【ウラとはなにか?心を閉ざした子どもたち】

南の島のほのぼのした物語かと思いきや、冒頭から何やら怪しげで不穏な空気が漂う。

トラウマを抱え、離島の故郷に戻ってきた教師・深津。島の人々は口々に「なぜ戻った?」と問いかける。彼が戻ってきた理由、そして過去の傷とは何なのか――。本書は、土着の神(ウラ)の信仰と合わさりながら、児童虐待、ネグレクト、DV、不登校といった現代社会の闇に深く迫っていくミステリーです。

特に虐待は身体だけでなく心の奥深くに傷を残し、大人になってからも影を落とす。作中の莉里や流の、暴力に怯え、心を閉ざし、まるで膨れ上がった風船のようにいつ破裂するかわからないギリギリの姿に胸が締め付けられる。

経済的な豊かさや便利さが幸せの物差しになりがちな現代社会。だからこそ、離島の自然の豊かさや、狭くとも深い人との繋がりが、傷ついた心を癒していく描写に「本当の幸せとは何か」を深く考えさせられます。

また、作中でウラの予兆として吹く風の描写が神秘的で、どこか『風の又三郎』を彷彿させました。

結局「ウラ」とは神なのか、それとも己の内なる声なのか。あえて曖昧に読者に委ねられたラストの余韻が今も心に残っている。
読後、私も子どもたちにとっての「ウラ」でありたい、そう強く思わされる一冊でした。

0
2026年08月25日

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