あらすじ
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日本では「七色の虹」などと言いますが,アメリカでは虹は六色というのが常識になっています。この認識の違いはどのようにして出来てきたのでしょうか。科学論,認識論,教育論に関わってくる内容へと発展していくミニ授業書。
小学校高学年から大学まで,理科や道徳,ホームルームの時間でも楽しめます。
★★ もくじ ★★
〔問題1〕 虹は何色か
日本では七色,米国では六色
〔問題2〕 再び,虹は何色か
〔問題3〕 アメリカでは〈虹は六色〉と思われている理由についての4人の学者の考え
4人の学者の意見は一致していた……〈科学上の真理もその国の文化の伝統や言葉の違いによって変わることがある〉という証拠
〔問題4〕 アメリカ人は,ずっと以前から〈虹は六色〉と考えていたか
アメリカ人も,昔は〈虹は七色〉
〔問題5〕 日本人はずっと以前から〈虹は七色〉と思っていたか
江戸時代の人びとは虹の色数には無関心
〔問題6〕 ニュートンが分光学の研究をはじめた当時のイギリスでは〈虹は七色〉が常識化していたか
虹は七色はニュートン以後の常識
七色の虹の覚えかた
〔問題7〕 アメリカ人はいつごろ,なぜ〈虹は六色〉と考えるようになったか
B.M.パーカー先生の教育実験
4人の学者たちの誤り
自分の感覚を信じられなくなったら
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトルに「ミニ授業書」とあるとおり,できれば,数人で,ここに書かれている問題に答えながら読み進めるといいと思います。
でも,一人でも読めます。そのときにも,「問題」では立ち止まり,自分で予想を立てながら読み進めてください。
虹の色が何色でもいいようですが,この著者が取り上げるからには,そこに科学論や認識論にとって,のっぴきならない理由があるからです。
司馬江漢や西川如見の貴重な虹の画像も紹介されています。
以後,このレビューはネタバレとなるので,本書を読もうと思う人は,以下を読まないようにしてください。
著者板倉氏の言葉を引用します。
○人びとによる科学上の意見の対立があることを知ったとき,〈どちらが正しいか〉と考えても見ずに,その対立をすぐさま〈その国の文化の伝統や言葉の違い〉のせいにすることは,とんでもない間違いです。(本書,46ぺ)
○日本の指導的な科学者4人は,自分の目よりも教科書に書いてあることを信じて暗記して間違えたというよりほかありません。…中略…このことは日本の科学と教育の深刻な欠陥をしめしています。(本書,47ぺ)
○〈虹は七色か六色か〉などという話題は,それだけを取り出せば,どうでもいいことです。しかし,これが科学論,認識論の間違いに由来するとすれば,無視できません。そこで,これまでの研究成果をこのような冊子にまとめなおすことにした次第です。(本書「あとがき」54ぺ)