あらすじ
1953年、戦後の娼街に流れた、「町が焼かれる」という不穏な予言。女たちが、互いの痛みを知りながらもそれぞれの方法で「からだ」を使い、編み上げる祈りとは。いま注目の書き手による渾身の初小説!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
すごい作品としか言いようがない、圧倒され、この世界に呑み込まれた読書体験でした。
1953年の広島県呉市が舞台で、終わらない戦争の中で、女として生きることの過酷さを描いた物語です。
特に印象的なのは、『世津』という女性の章です。世津はからだを売って生活をしていますが、授かりやすい体質で、7人目の子どもを宿しています。世津は、男どもがつくったばかみたいなこの世界で、女に生まれたこのからだを目一杯に使い、たくさんの子どもを産み、残していく。それが、このばかみたいな世界に対する復讐なのだと。
ここに登場する女性たちは、終わらない戦争に自分たちの人生を奪われ、色々なものを諦めているけれど、根底には怒りがあることが文章から溢れています。
単純にこの境遇がかわいそうだとか、過酷だとかだけじゃなく、女性の強さと弱さがとても美しく描かれていて、切ないのに励まされるような、なんとも言えない気持ちになりました。
この作品は何度も読み返したくなる。出会えて本当に良かった作品です!
Posted by ブクログ
これはもう本当にすごい。今年一の衝撃作です。初小説だとは思えない筆力です。『死ぬまで生きる日記』や『ほんとうの事を書く練習』が話題で、エッセイストでありインタビュアーとしてもご活躍の土門蘭さん。これは小説ではあるものの、リアリティと迫力が凄まじい。
時代は戦前戦後から朝鮮戦争休戦前の数年間を描く。広島県呉市がモデル。体を売って生きる5人の女の話。戦争という母体の中で描かれる、母と娘。女と男。生と死。
5人の女がそれぞれの視点で描かれ、この時代と彼女たちの置かれた環境が立体的に浮かび上がる。私は普段、性描写は多いものは苦手なタイプなんですが、これはそんなことは気になりません。
そこには、それで生きていくしか無い女の生活があります。圧倒的な暴力の中にある、小さなそれぞれの暴力。痛くて苦しく切なくて虚しい。
ですが、目を背けて生きるわけにはいかない、そんな気がします。これはまた読み直すと思います。
Posted by ブクログ
もう衝撃的な作品を読んでしまいました。時は朝鮮戦争が休戦する1953年7月10代から50代までの五人の女性が主人公、日本人であったり韓国人であったりどちらでもない人種、娼婦を生業として女衒での出来事が衝撃極まりませんでした。性暴力や差別や身体障害にまつわる描写など一筋縄ではいかない文章表現、あぁこんなにもすごい小説を読んでしまったんだなぁと思いました。最後まで読む手が止まらずすご〜く考えさせられました。こんなにもすごい衝撃作をあなたもぜひ読んで深く考えて見て下さい。