あらすじ
【限定配布されたショートストーリーが付いた電子限定版♪】あの雪の日から五年。美里は作家になり、秋山はお絵描き教室を開いて、そして少し大人になった。二人は再会し、お互いを深く想い合いながらも、それぞれの人生を歩もうとする。次に会う約束はしない。それは二人にとって暗黙の決まりだった。けれど、歳月を経て変化したことが、二人の絆をより強いものへと繋いでいき――…。優しい色彩を塗り重ねる、無二の愛の物語。 ※本文にイラストは含まれていません
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コレめちゃくちゃイイ!
前作、アキのツレなさから途中までは読むのが苦痛ですらあったんですが、ちゃんと意味ありましたねぇ。恋人のいる自分に振り向いてくれない同性への不毛な片恋に周りを慮れず一人苦しむ美里、ストレートすぎて人付き合いが苦手な上に猜疑心が強く不器用なアキ、そんな2人が想いを通じ合わせられたのに別れたまま付き合いが続く本作、切ない以外に何と言えばいいのか。周りに応援され親からも静観すると許しを得られ共に人生を歩み始められて感動的でした。アキの「こんな男を好きになってくれてありがとう」にポロリ、始めウザい奴〜とお思って申し訳ありません(笑)朝丘さん作品良し悪しにムラっ気ありますが(心理描写が悲観的にくどかったり同性愛の葛藤的なものが薄かったり、とね)本シリーズは間違いなく良作、名作!完結とは言いません、の朝丘さんの言葉を信じ続編期待したいです。
Posted by ブクログ
子供で無謀で無力で身勝手だった二人がもう一度結ばれるまでには五年の歳月が必要だったんだろうなと…しかし、好きで大切だからこそ二度と会わない、と決めたわけではなく、「人生の指針で一生涯の宝物」と誓いながら忘れずに思い続けていたのなら、そりゃあもう離さないと誓い合うしかないよね。
(ふったらどしゃぶりの和章と整を思い出しましたが彼らはもう行き止まりだったからね)
美里を傷つけて、思いに報いることが出来なかったのだから…と身を引こうとするアキと、それでもアキが好きで好きで堪らない美里の純粋さが胸打たれるよう。
シーナの子供っぽさと横暴さ、狭量さにはイライラしましたが「二番手でいい」と甘んじたのはシーナ自身、それを飼い殺していたのは美里。
美里のやろう、とも思うし、社会から外れて芸術家として生きる美里、芸術家であり一経営者として若くして身を立てるアキに反して、未熟な社会人一年生として重要な立場なのでしょうが、完全に「アキならわかってくれたのに」と引き立て役にされて不憫やで。
正直シーナがキレて癇癪起こすのはよくぞ言った!!! としか。
かわいそうな当て馬人事の役割後、あの子は未熟なところもあるけれど成長できる子で、抜け殻になった美里を大事に守ってくれた、と見守るアキにほろりときました。
なんだよハンサムスーツめ。
言葉足らずのせいで美里を傷つけて癒えない傷を負わせたけれど、それを償えるように生きていく、と誓うアキにジーン。なんだよあのハンサムスーツ。
同性愛はなだらかな自殺、のくだりは「苦悩」という幻想を押し付けて消費していやしないかい? とも正直なところ思っちゃうのですが、世間体や社会からの様々な保障を受けられず、マイノリティの肩書きを背負って生きていくことになるのは確かで…。
困難な道であることを覚悟してそれでも選ぼう、そのためには反対された両親にもきちんと話をして理解してもらおうと改めて美里の親御さんに挨拶するアキはカッコいいし立派ですね。
理解や同意を求めて家族との対話を図るのが朝丘さんなんだな、と。
いつまでもお幸せに、とは思いつつも、いつまでもべったりいちゃいちゃ恋人気分はちょっとしんどいかなと思わなくもない。笑
これからコンプリートブック2を再読しようかな。
Posted by ブクログ
前作『春恋』から5年後。アキは人気イラストレーターのかたわら子供向けの絵画教室を開いている。美里も在学中に小説で賞を取り、卒業した今は本屋のバイトで食いつなぎながら新人作家として創作活動に打ちこんでいる。ふたりの隣にはそれぞれ恋人がいる。
アキの教室の展示会に訪れて、5年振りの再会。自分の気持ちは1ミリもどこにも動いてないのだと再確認する美里。それでも一緒にはなれない。『お前が女ならよかったのに』と5年前別れ際にアキが告げた言葉を美里は一生忘れないだろう。真実で、でも残酷な言葉。
再会してから、人目もはばからずお互いへの愛情を隠さないふたり。それを何だか生暖かく見守る周囲の眼差しにも、それでも結ばれることはないのだと、頑なに不器用に美里と距離を取ろうとするアキにも、アキに心を捧げているのに、今の恋人シーナをまだ隣に置こうとする美里の無神経さと傲慢さにも、どこか釈然としなかった。
シーナの未熟さにも狭量さにも辟易したけれど、そうさせているのは美里。
周りを巻き込みながらも、結局はなるべくして元サヤにおさまったふたり。
5年の歳月を経て、何が変わったんだろうか。5年前はダメで、今はOKだった理由は何…? とひとしきり考えた。経済的に自立してそれなりに夢を実現して、もう何も持たない子供ではなくなったから? 5年経っても少しも色褪せなかった気持ちが興味本位や気まぐれじゃないと周りに証明できたから? 正直よくわからなかった。
それでも『春恋』のあのエンドのままではつらすぎるし、満を持して愛し合えるふたりを見れて心底ホッとして嬉しかった。
『同性愛はなだらかな自殺』という作中のアキの言葉。
世間の常識からはずれ、種を残さず、ふたりだけで育む孤独な愛情。
前作でBLというファンタジー枠を飛び越えて、同性愛という現実を突きつけられた読者が与えられた答えは、それでも寄り添うことを選んだふたりを見守ること。
その後の甘い甘いふたりの新生活を目の当たりにして、とてつもない安堵の気持ちと、一方あの悲壮感の正体はなんだったのかとどこか判然としない気持ちで本を閉じました。