あらすじ
【直木賞作家 伊与原新氏、絶賛!】
「本書を通じて誰もが南極を探検できる。気候変動をめぐる知の探検だ。
厚い氷も融かす研究者たちの熱量に、未来への希望が見えた。」
近未来、海面上昇で日本の大都市は沈むのか――
講談社科学出版賞受賞の南極研究者による、至高の科学ノンフィクション!
世界最大の淡水の貯蔵庫、南極氷床。もしすべて融ければ、世界の海面は約58m上昇する。
近未来、温暖化の進行によって「氷床融解の連鎖」が始まりうることが、最新研究で明らかになった。
問題は、それが「いつ」起きるのかということだ。
かつて冒険家たちが目指した未知の大陸・南極は、地球の未来を知るための「研究の場」となった。
過去の氷床変動を紐解き、急激な氷床融解のメカニズム、そして今後の海面上昇の実態に迫る。
■おもな内容
第1章 融解する南極氷床 ――動き出した氷の大陸
第2章 世界の果てには何があるのか ――未知の南方大陸と極点到達レース
第3章 氷床の下には何があるのか ――近代サイエンスの幕開けと南極氷床の姿
第4章 南極地域観測隊 ――岩と氷から解き明かす南極氷床の歴史
第5章 地層と氷が語る南極氷床の歴史
第6章 南極氷床はどのように変化してきたのか ――極限のフィールドワークから探る
第7章 未知の南極氷床融解メカニズムとティッピングカスケード
第8章 南極氷床の不安定化メカニズム
第9章 南極と地球の今と未来
「この話は、遠い極地のできごとと思うかもしれない。しかし、いま南極で起きている変化は、私たちの未来と確実につながっている。そのつながりは、私たちが思っている以上に、すでに現実のものになりつつある」
――プロローグより
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Posted by ブクログ
地球温暖化で氷河が融解し、様々な災害が危惧されています。特に南極に存在する南極氷床は広さ日本の37倍、地球上の淡水の7割を占め、最も厚いところでは2000~4000mもの規模があり、これが融解した場合には世界の海面を58mも上昇させるだけのインパクトがあります。この巨大な南極氷床が、温暖化によって急速に失われつつあります。本書はこの南極氷床がいかにして現在の姿になったか、そしてこれからどうなるのか、という疑問に答えるため、南極氷床の研究の最前線を紹介しています。
このまま「温暖化が進んだらどうなるのか」この疑問に答えるには、現在より平均気温が高かった時代に南極氷床がどうなっていたかを調べると非常に参考になります。数百万年前の地球の気温や二酸化炭素濃度、氷床の量などを南極の氷や陸上の地層・岩石、南極周辺の海底堆積物などの分析から、どのように推定するのか、詳しく説明されています。
また単に”温暖化によって南極の氷が溶ける”といった単純な話ではなく、南極氷床の融解が世界を巡る海水の海洋大循環を止めてしまう可能性、南極氷床の融解に北半球グリーンランド氷床が関連している事など地球規模の自然現象の複雑さを詳細に解説しています。
300ページ弱の普通の新書サイズの本書ですが、さすがブルーバックスだけあって豊富な図表もあり内容充実の1冊です。しかも無味乾燥な専門書ではなく科学ノンフィクションとしても読める内容でした。