あらすじ
ほしくて、ほしくて、たまらなくほしくて、いったいどうしてほしいのかも、本当にほしいのかももはやわからないーー。
寿退社から3年、優しい夫との生活に欠けているのは子供だけなのだが、ほしがっていることを誰にも悟られたくない中原多恵は、ひそかにネットから条件に合致した優良な男の精子を購入し、“普通”のレールに戻ろうと励んでいる。
多恵の大学時代の同級生、守山みつきは新卒から勤める出版社で現在はファッション雑誌の編集職に就いている。恋愛よりも仕事に精を出してきていたのだが、33歳となった今では若かった頃のような本能のままの恋愛はできず、頭でっかちに、自分にしか判別つかない理想を基準にマッチングアプリで出会う男を探求している。
20歳の安西桃の生きるモチベは推しのケイくんで、推し活のためには身体を売ることも厭わず、数少ない友人の彼氏とも寝ている。
一方、そんな向こう見ずな姪がかわいくて仕方のない田崎侑美は、食生活にも気をつかうなど妊活に力を注ぎ、夫を愛しているがゆえに夫の分身がほしいと強く望んでいる。
恋愛、結婚、出産について動機も熱量も異なる女性4人のドラマ。
欲望と葛藤の先、思いもよらない衝撃のラストへ――
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本当にすごい、終始なんだかお腹が痛い 桃みたいな人って現実にいるわけないと思ってるけど、これ読んだらリアルすぎているのかもと思った とにかくすごい小説 一気読みした
Posted by ブクログ
【あらすじ】
ほしくて、ほしくて、たまらなくほしくて、いったいどうしてほしいのかも、本当にほしいのかももはやわからないーー。
中原多恵(33歳・既婚)“普通”でありたいために、夫でなくてもかまわず、ネットで見つけた好条件の男から精子を購入。
「みんなに平等に与えられる当然の権利を、自分だけが剝奪された」
守山みつき(33歳・独身)多恵の大学時代の同級生、雑誌編集者。理想を追い求めるマチアプのヘビーユーザー。
「目の前の男を好きになれる可能性を見出そうとしてる。キスできるのか、セックスできるのかと自分に問うている、常に」
安西桃(20歳・独身)推しが全てで、推し活のためにいい加減な性交渉も厭わない。ネイリスト見習い。
「好きはわかる。好きはややこしくない。一方的な好きには絶対的な安心感がある」
田崎侑美(40歳・既婚)桃の叔母。夫を愛しているがゆえに夫の分身がほしいと妊活中。
「子供じゃなくて、浩平がほしい。もう既に手に入っているはずのものをほしいと思うなんて、私はどこかおかしいのかもしれない」
恋愛、結婚、出産、「ほしい」につき動かされた女性4人の行きつく衝撃のラストとは――?
『ご飯に誘ってくれて、沈黙が訪れないように積極的に話を振ってくれて、その話もそれなりに弾んで、ご馳走してくれて、改札前まで送ってくれて、二度目も誘ってくれて、でも、また会いたいとは思わない人から、会いたいと思ってもらえない女にはなりたくない。』
『漠然としているのに強固な、「なんか好き」があるように、「なんか好きじゃない」がここにはあった。顔がタイプじゃなくても、身長が175cm以上なくても、学歴が低くても、年収が六百万以下でもなんか好きで、なんか好きだから、それ以外考えない。自分の感情以外のすべてがとるに足らないものに思える、あの、情熱めいたもの。』
『私は子供が好きでも嫌いでもなかった。子供の声は耳障りだし、お金も時間も搾取され、責任も発生する。デメリットをあげればキリがないのに、メリットをあげようとすると、「かわいい」しか浮かんでこない。』
『私の、猫や犬に向ける「かわいい」と子供に向ける「かわいい」は酷似している。でもそれが、悪いことだとは思わない。というより、そんな風に軽率に「かわいい」と思って、軽率に「ほしい」と思う、その無暗で短絡的な思考と行動が今の自分には必要だった。』
『自分には、選択権がないかもしれない。最初からAとBがあって、それについて悩むのではなく、最初からBしかないと思った瞬間、人生が塞がったように感じられた。』
『智樹との子供がほしい。両親に孫の顔を見せてやりたい。世間体が気になるー。ほしい理由を並べるのは容易いのに、どれも本心ではない気がする。わた
しの「ほしい」は、みんなに平等に与えられる当然の権利を、自分だけが奪されたような、そういう理不尽さからくる「ほしい」だった。』
【個人的な感想】
恋愛、結婚、出産、仕事など悩みが尽きない今の私にはすごく刺さる内容だった。
自分が本当に子供が欲しいのか、結婚したいのか、ただ周りが普通にしていることが自分にできないということに反発したいだけなのか、自分の気持ちが分からない。
マッチングアプリもしたことはないけど、自分が好きでもない人に会って、またすごく会いたいわけではないけど誘われないのは寂しい気持ちの描き方もリアルで苦しかった。
Posted by ブクログ
自分が何を求めているのかわからない。わからないけど、飢えている。飢えている自分を自覚するのがしんどい。
誰かに求められたい、誰にも求められない人生はイヤだ。でも、求められるとめんどくさい。なぜ私がそれを与えてないといけないの?
私がほしいものはそれじゃない気がする。常に欠けているものを探している。それが何かも分からずに。
Posted by ブクログ
女性にとって、結婚して子どもを産み育てること一つとっても生きづらい世の中だと感じた。そこに価値を見出すことは人それぞれとして、結婚妊娠出産育児が普通であり、女性の幸せであり、社会的規範だと執着する多恵や侑美の欲望は異様に思えたが、そんな風に追い詰められるのは、本の世界だけではなさそうだ。
普通への欲望は、夫に内緒で精子を購入するなど、極端な行動となって表れ、自分のほしいものを充足させるために、周りを道具にしたり、自分の望む役割に当てはめたりする。普通でありたいという欲望を満たすことが誰かの苦しみになっていることにも気づかず、突き動かされている彼女たちが本当に手にしたかったものは何だったのだろうか。
Posted by ブクログ
ずっとずっとリアルだった。4人の女性をとにかくリアルに描ききっていた。
子どもが欲しい、彼氏が欲しい、彼氏に求められたい、何となく単純な欲求のようだけど、よくよく見つめてみるとそこには単純な「ほしい」という感情以外に、様々な感情が混ざっているものだよな、と改めて感じられました。
面白くて読みやすく、読んで良かったです。
Posted by ブクログ
果てしない孤独を静かに描き出す一冊。
読後に淡い痛みが残る作品だった。
人物たちが抱える「妊娠に関わる云々の言葉にできない気持ち」は最後まで完全には整わず、現実味のある温度で響いてくる。
とくにラストは、登場人物それぞれが胸の内を“誰かに伝える”ことで、ようやく言葉になったはずの思いが、むしろ新たなすれ違いの影を落とす。
むしろ距離が悪い方向へズレていく気配すらある。
完璧な理解にも救いにも着地しないが、人間関係の綺麗ごとではないリアルさを突きつける、じわじわ染みる一冊だった。
Posted by ブクログ
手に入れられる確証がないものを欲する4人の女性たち。切実な思いと焦りで緊迫感が増していき読むのを止められず。幼い頃みんなが持っているからと駄々をこねた記憶がある。みんなと同じじゃなくていいと今は分かるが、ないものねだりは一生続く。それが人間の性だろう
結婚、妊娠は自分1人じゃどうしようも出来ないから余計ややこしくて難しいんだよなぁ〜...この話はマチアプ経験者にも刺さるはず。山下さんの作品初めて読んだけど他作品も読みたくなりました!
Posted by ブクログ
4人(多分)が、代わる代わる主人公になる感じの構成になっているのだけど、子供が欲しい人、不妊治療(?)している人など、一気に読む時間がなかったので、えっと~この人はどの人だったっけ??って考えるのが少し面倒だったけど、面白く200ページもないので、読みやすかです。
Posted by ブクログ
山下紘加さんの新作「でも、ほしい」読む
2026年最初の本読み、結構ヘビーな読感であった。
大体、山下さんの小説の主人公たちは、みんな袋小路状態である。
閉塞された空間に閉じ込められ、必死に踠く....
山下さんの作品が好きなのは、主人公たちと自分もおんなじだからである。
ほとんど大差ない。。。
今作の4人の女性たち。
4人共孤独な暗闘に悶絶している。
でも、皆決してめげない。
そこに、ある種の感動を覚える。
主人公の内、中原多恵と田崎美には夫がいる。この夫たちは、優しく非の打ち所がないように思える。
※同じ山下さんの作品でも、"聖域”の夫は、ちょっとキモかったけど....
だけど、多恵と美も夫への不満が充満してて、今にもはち切れそう。これは厳しい。
多恵が、夫へのこんな想いをめぐらす。
〜求めてこない人と一緒にいると、自分の存在価値が揺らぐ〜
夫も立つ瀬がない。。。
ひとは等しく孤独だと思う。
家族がいようが、いまいが関係ない。等しく....
これだけは間違いない。
必読
Posted by ブクログ
田崎さんの自分自身の欲しいものがよくわかっていない、あるはずのものがない感覚が共感。周りに合わせて生きてきた人の後遺症の様なものが描かれていて当てはまる人が多い気がする。子作りは年齢制限があるからこそ未熟ながらも決断していかなきゃいけないし、それを正解にしていく現実的な思考も必要なんですよね。女って大変だなと思います。
Posted by ブクログ
あー生きるのって大変だ〜
自分が欲しいものを持ってる他人が幸せそうに見えても、その人にしか分からない苦悩があったり、その人にとってそれが幸せとも限らないし、みんながみんなうまくいかないよね。
マチアプの解像度がすごかったー。
最後が急展開。
その後の4人がどうなったのか気になる、、、
Posted by ブクログ
ハンドレッド ミニッツ ノヴェラから。
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ここに埋まっている、
いくつもの「でも、ほしい」という声。
読んで掘り起こして、
その哀切なリアリティを
感じて欲しい。(山田詠美)
恋愛、結婚、出産について動機も熱量も異なる女性4人のドラマ。
欲望と葛藤の先、思いもよらない衝撃のラストへーーー
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これもすごかった。
私自身は40歳で独身、子どももいません。
本作に登場するのは、
子どもがほしい、
出会いたい、結婚したい、
推しがいれば何もいらない、
それぞれが望むものも環境も違うのに、
とにかく苦しい。
息苦しくなります。
読みながら、
あれ、なんか今大事なことスルーした?
と不安になるような。
だんだん自分の正常さというか、
均衡が保てなくなるような感覚になります。
最後までその不安定な気持ちが続き、
ラストは帯にある通り、本当に衝撃でした。
Posted by ブクログ
2025/09/21
既婚女性、夫とできなくて精子提供アプリで入手したものをシリンジ注入して妊娠する。登録情報の東大イケメン…を信じていたが。普遍を求め続け人生うまく歩んできたのに夫が自分に欲情しないことを悲しむところがリアル。
この女性の友人はマチアプのヘビーユーザー。目の前の相手を好きになれるか考える…
20歳の推し活のため体を売る、別の顔はSNSで人気スィーツを載せることを楽しんでいる
20歳の彼女の叔母は既婚女性、夫のことが好き過ぎて子どもでなく夫2号がほしい
ひとりで叶えるのは難しいことが一番難しい、相手を変えるのは難しい、それを痛感する。
Posted by ブクログ
恋愛や結婚、出産への熱量が異なる女性4人の欲望と葛藤を描いた群像劇。
誰も彼もこうあらねばという思い込みに縛られている印象があるけれど、執着も矛盾も人間くさくてまぶしく魅力的。
「幸せ」の感受に他者を介在させすぎないのが、個人的な生きるコツです。