あらすじ
山上のコテージで開かれた大学の文学サークル同窓会。下山しない参加者を案じて送り込まれた山岳救助隊員たちは、無人となったコテージで主催者の刺殺体を発見する。程なくして参加者の手記が見つかるものの、救助隊員たちをさらなる混乱に陥れる“ある記述”が残されていた――。人命救助の行方は? 殺人犯の正体は? 事態の真相は? 圧倒的なスピード感で読者を揺さぶる、一切の無駄を削ぎ落した渾身の本格ミステリー!
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Posted by ブクログ
大学の文芸研究会のメンバーで開かれた同窓会。参加者のひとりである沼田が建てたコテージに招待されたメンバーたちは、沼田から、自分の妹の遺体が発見されたこと、殺された可能性が高いということ、メンバーの中に犯人がいると疑っていること、犯人に名乗り出て欲しいこと、を聞かされる……。
という同窓会参加メンバーの意味ありげな『日記』や【罪人の独白】などが随所に挟まれる本作は、ミステリ、特に『作中作』的なものが作中に出てくるミステリが好きなひとにはたまらない一作になっています。真相が明らかにされたと思ったところでさらにもうひとつ意外な事実が浮かびとともに残る、いつまでも後を引くような余韻が素敵な一冊でした。
Posted by ブクログ
途中途中の罪人の独白や登場人物が残した日記や記録から犯人が段々と分かってきます。誰が犯人なのかというどんでん返し感はあまりないですが、なぜ殺したのか、どのように殺したのかは伏線回収される部分があり、面白かったです。帯に書かれていた「残された手記、その一文で状況は一変する」ほどではないように感じました!面白かったです!
Posted by ブクログ
なかなか短い作品ですが、手記から始まり二転三転する展開はさすが
終盤の二つの真実はなかなかエグい感じありますし、いい作品でした
3298冊
今年197冊目
Posted by ブクログ
山上のコテージで死体が見つかるも、他の参加者は行方不明に… 山岳救助と殺人事件の捜査をスピーディに描く本格ミステリー
■あらすじ
学生時代の同窓会のため、皐月山のコテージに集まったメンバーたち。主催者の沼田には、ある思惑があった。かつて妹が事故に見せかけて殺害された事実を知っており、その犯人を同窓会で捜そうとしていたのだ。しかしメンバーに問い詰めても、犯人からの告白はなかった…
その後コテージで沼田の死体が発見される、しかしコテージには誰もいない。山岳救助隊は彼らの捜索と共に、殺人事件の解決をしなければならず…
■きっと読みたくなるレビュー
こりゃまた凝ったミステリーですな~、さすが潮谷験先生。どんな題材でも謎解きミステリーと上手にブレンドしつつ、独特のプロット、変わった角度のアプローチで物語を綴ってくれる。
本作でも天才的な創作は健在で、山岳救助と殺人事件の捜査と解決を急いでやらなければならないという、スピード感のあるスリリングな展開。
さらには肝心の現場では何があったのか? という物語のメインどころは、二人の手記という形で語られるのです。合間合間に挟まれる「罪人の独白」も効果的で、先がどうなるのか、どんどん読まされてしまう。
しかも本作は250ページほどと短め、無駄を削ぎ落されている。切れ味が鋭い高速カーブのようなミステリーですね。
あと興味深かったのは低体温症についてですね。そもそも低体温症の恐ろしさなど知らなかったので勉強になったのと、これを謎解きのメインどころに仕掛けてくるのも面白い。もちろん他にも策略があるんだけど、ヤラレタ感があったなー
そして物語が終盤に近づくと、人命救助の行方と事件の解決、真相が一気に語られる。決して長くはないお話なんだけど、実はいろんな人間の思惑や策略が背後に渦巻いているということがわかる。やっぱりこの鋭さがこの作品の強みでしょうね、凄かった。
■ぜっさん推しポイント
これまで山間部の警察や山岳救助隊の大変さ、現実なんて知ることがありませんでした。時間との戦いだし、人員もなかなか確保もできない。そして命を救うことがいかに難しくて大変なことか…
山岳救助隊から吐き出される台詞に、生々しさを感じました。山に入るときは油断せず、決して軽装で登山をしないようにしなきゃと思いました。
Posted by ブクログ
学生時代の同窓会の名目で山小屋に集まった元文芸研究会員の男女6人。発起人兼会長の沼田は、山で失踪した妹の一件に研究会のメンバーが関わっていると述べ、自白を促すが…
本格ミステリという軸を持ちながら、作品毎に毎回異なる趣向を凝らしてくる潮谷験さん。懐が深いというか引き出しが多いというか、とにかく多彩なミステリ作家さんだ。
本作は一見オーソドックスな「嵐の山荘もの」と思いきや、今時珍しい山岳冒険ものに警察小説要素もちょいと加えた異形の「嵐の山荘もの」だった。
事件の犯人と思われる“罪人の独白”が各章冒頭に挿入され、罪人、研究会メンバー、救助隊の3視点で進んでいくプロットがミソ。フーダニットだけでなく、ホワットダニット、ハウダニットにも興味が湧く構造になっている。中盤に「えっ!」と目を見張る場面があるものの、終わってしまえばそこが最高到達点で、終盤の盛り上がりに欠けた印象。欲を言えばもうひと山ふた山欲しかった。山岳救助隊の組織体制、低体温症になるモード、遭難してしまう行動原理など、山岳冒険的豆知識は面白かった。