【感想・ネタバレ】職業欄はエスパーのレビュー

あらすじ

「超能力」は存在するのか?それともトリックなのか?スプーン曲げの清田益章、UFOを呼ぶ秋山眞人、ダウジングの堤裕司。かつては一世を風靡し、「超能力者であること」を職業に選んだ彼らは今、何を?3人に興味を抱いて、8年間にわたって取材を続けた著者が数々の不可思議な現象をまのあたりにしながら、「超能力」という迷宮にさまよい、彼らの孤独をすくいとろうとした異色の超現実ノンフィクション。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

文庫本なら早くて半日か1日で読破できるのに、この本は1週間くらいかかった。昔、胸をときめかせたオカルトという素材が面白いのでちょいちょい調べながら時間をかけたのもあるが、徹底したノンフィクションという著者独自の手法に納得できない点もあったから。
例えば、目の前でスプーンを触らずにねじったり切断した現象を一部始終見て、「自分の目で見たことは確かだが、超能力とはいえないし、信じない」というドキュメンタリー作家としての筆者の中立であろうとする頑なな取材姿勢に少し呆れたのも事実。ダウジングという「技術」の体験を勧められても頑なに拒否し、目の前で起きた事象を、頭の中にある理性や常識というフィルターを通した途端、それは信じられないし、ありえないと結論付ける(本書終盤で「彼らの人格を信じる(P328)」と苦しい弁明をしているが、そのすぐ後に「(ダウジングは)信じていない(P330)」とわざわざ断定している)。もちろんその中には、嘘をつく動機が無い両親が語る息子のテレポーテーションという人間瞬間移動(!)も含まれるが…
また、一流企業のトップがこうした超常現象に興味を持っていたのも事実。京セラの稲盛、ソニーの井深、本田宗一郎や松下幸之助など理路整然と考える理科系頭脳が説明不能な事象を前に抑えきれない好奇心を刺激されたのも頷ける。
日本で初めて透視能力者として話題になったのが、御船千鶴子(服毒自殺)、長尾郁子(病死)、高橋貞子(貞子のモデル)などだが、実験の不手際や社会的圧力、マスコミや一般大衆からの誹謗中傷によって潰される。そうした意味では、現代に至るも客観的かつ科学的アプローチで真相を究明しようという動きはなく、結局最後にはオカルトとして一笑される。
超常現象否定派の大槻義彦氏や元オカルト番組プロデューサーの宇留田俊夫氏とのインタビューや態度を見ると、「常識的な見解」を錦の御旗に思考放棄している気がしてならない。
秋山眞人、堤裕司、清田益章。読後に感じたのは、彼らはやはり本物だと思う。

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2024年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人は見えないもの、わからないものに恐怖を抱く。
そして頭ごなしに否定する。
ということに、一石を投じようとする一冊です。
現象そのものを肯定、否定せず、人を信じますというスタンスがこの本のキモでしょうね。

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2015年03月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「……UFOを見たことがあるとか宇宙人に会ったことがあるとかって話をすると、みんな困ったなあって顔するんだよ。それは信じられませんってはっきり言う奴もいるよ。だけどさ、じゃあ聞くけど、おまえら本当に、UFOを見たいと思って夜空を見続けたことがあるのかよ?
俺は見ているよ。毎晩何時間も見ていた時期があるよ。否定する奴に限って夜空を真剣に見てないんだよ。それで、あるわけないですよって笑うんだよな。だけどさ、本気にならなきゃ何も見えねえぜ。スプーン曲げも同じだよ。否定する奴に限って自分は本気で試してないんだよ。鼻唄歌いながら試したって曲がらないぜ。当たり前の話じゃないか。だからしっかり見てくれよ。たかがスプーン曲げだけどさ、俺とマリックさんとが同じはずがないんだよ。本当に真剣に見てくれさえすれば、そのくらいの違いには誰だって絶対気付くはずだぜ」(240-1)


スプーン曲げ、UFO招来、ダウジングを職業として選び、世間一般に「超能力者」として認識されている3人を、数年来に渡って追いかけたドキュメント。

真に世界への感覚を揺さぶられたとき、信じる、信じないという「強い態度決定」の狭間に、私たちは置き去りにされる。目の前に起こった事象になすがままに晒されるだけである場面というのは、確かに存在する(たとえば絶景を見ているとき、事件を目撃したとき)。
しかし私たちは日常では他者に対し、非常に簡単に「信じるのか」「信じないのか」という、態度決定を迫る問いを投げかける。自身の世界の安寧を頑なに保持するために、まずは早々に態度を決めてしまうことで、出来した事象の理解可能な領域だけを残し、不確実性を捨象する。結果、いつの間にか本来の事象の全体に届きうるはずだった思考の、その手を伸ばしうる範囲自体を切り詰めてしまう。

何も、価値判断の不純さを訴えるものではない。ただ、私たちはそのように思考することで、世界を成立させてきたし、きっとこれからもそうしていくだろうということだ。
ただしそのことに少しでも感覚があるだけで、自身の世界の領野は遥かに広がるだろうし、世界への感覚それ自体も鋭敏になるだろう(最も、それによって痛みや苦しみを感じ、煩悶を抱えるシーンは確実に増えることになる)。

そのとき、世界や他者は相変わらず大きな不確実と未知を抱えたものとしてあらわれる。自身の態度決定によって切り詰められてしまう前のそれらの姿に、今までよりも少しだけ、近づくことが出来るようになるのかもしれない。


長い期間の交流にも関わらず、被写体によって変化を被ることがなかった、ドキュメンタリーとしては失敗だったと述懐する著者の論調が、他の作品と比しても自己否定的であることが印象に残った。

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2014年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

内容はというと、タイトルまんま、エスパーという職業で生活している人の日常を追ったドキュメント。“放送禁止歌”のドキュメンタリー監督+作家の森達也さんが著者。

この本はエスパーの嘘本当の白黒をつける!というより、エスパーと著者の人間同士の関わり合い、その中での心を動きが描かれていて、取材の中で自身が色んな壁に邪魔されながら、いつも「どっちだろう?どっちだろう?」悩みながら取材を続ける著者の心の動きが自分とリンクして、一緒に色んなことを考えながら悩みながら、本を読んでいくかんじ。森さんの本はこういった身近なテーマと、森さん自身の葛藤などを軸に、社会のしくみとか、自分自身の意識とかそういったことを、考えるきっかけを与えてくれる。しかも読み物としても面白い!ブラボー!

ちなみに私は、『UFOは(インチキ写真はたくさんあると思うけど)、こんだけ宇宙が広いんだからそりゃあるだろう』『霊や超能力は全く信じない(見たことがないから)』派だったんですが、『怪しいには怪しいけど、霊とか超能力ってもしかしたらあるのかも??』派に。そしたら、世の中がすごく広がった感じがする。別にこれから超能力とか霊の世界について詳しく調べてみよーとか、興味を持った!とかは、あまり思わないのだけれど、でもあったらステキだな☆なんて今は思ったりして。

…そんな『信じるけど信じない』という誰もが持つグレイゾーンが全然アリで本当だということ!そして世の中のグレイゾーンだらけ。一人一人が認めることで、色んなことがもっとよくなるということ。それもこの本の大きなポイント。

ちなみに、子供の時以来、はじめてスプーン曲げにも再チャレンジしてみましたw。もちろん曲がりませんでしたが。ポイントはイメージすることととスプーンに謝ることだそうでw。

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2011年10月07日

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