【感想・ネタバレ】おむこさんは殺人鬼のレビュー

あらすじ

この謎は、私を強くする。

『此の世の果ての殺人』で江戸川乱歩賞を最年少受賞しデビュー、
第2作『ちぎれた鎖と光の切れ端』で吉川英治文学新人賞候補、
“Z世代のアガサ・クリスティ”の異名を持つミステリー界の新鋭・荒木あかねの待望の単著第3作は、
“人生の謎”に同志と共に立ち向かう、痛快なミステリー作品集!

◆収録作(全5編)

・同好のSHE
憎いあいつを殺すために乗り込んだ夜行バスで財布盗難が発生。疑われた私を嬉々として庇う女性の正体は?

・震える箱
「隣の女の貧乏ゆすりに腹を立てた」映画館で起きた傷害事件の真相に、“妙な被疑者”専門の取調官が挑む。

・置き去りイヤリング
東海道新幹線のパーサーが見つけた片方だけのイヤリング。不可解な落とし物はある犯罪に繋がっていて……

・答え合わせ
雪の上で血を流していた継父。彼の最後の言葉は、僕へのメッセージなのか、犯人を示すヒントなのか。

・おむこさんは殺人鬼
婚約者は連続殺人鬼? ただの浮気者?「困ってるなら話を聞くよ」元探偵のおばあさんとの隠密調査の結末は。

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Posted by ブクログ

おむこさんは殺人鬼
荒木あかねの短編。同志と共に人生を切り拓くミステリー作品集と謳われており、全編、二人の人間達がペアで活躍する。

同好のSHE
夜行バスに乗って、これから憎んでいる人を殺しに行こうとする女性と、彼女の隣の席になり一瞬で彼女の違和感に気が付き彼女がナイフを持参している事を見破った女性。隣通しの席で運命的に探偵と殺人を計画している人物が関わり合うという斬新な設定で物語が始まる。その中で後ろの席の人物の財布、携帯などが盗まれる事件が発生、二人が巻き込まれていく。とてもシンプルに見えながら、短編の中にどんでん返しまで盛り込み最終盤には大満足の読み応えである。瑠璃の立ち振舞いについて違和感がないでは無いが結末は面白い。長編で読みたいと思うのは良作の証だと思う。

震える箱
荒木あかねの作品は独創的な作品がおおく、今まで読んだ事がない様な展開ぎ魅力なのだが、今回は警察ミステリーの様相でその中に彼女特有の驚き、擬装があるのだが、それでいて王道の、登場人物がみんな輝いている様な警察ミステリーに仕上がっている。警察官の住田は年配のベテラン刑事で彼はベテラン特有の冷めた部分をもちあわせているが、一方で中平という刑事は飄々としているが優れた観察眼と推理力を持っている。今回、映画館で貧乏ゆすりをしていた女性を突き飛ばし大怪我をさせたと自白する被疑者の取調べという不思議な設定から、警察官がこれほどまでに活躍させるかというとても気持ちのいい、後味の良い作品だった。是非是非、続編が読みたい作品である。

置き去りイヤリング
新幹線の移動販売員の話。なんでも完璧にこなす今井と新人で何処かドジな部分がある依田。今井は依田の仕事ぶりにうんざりしており、与田もどことなく今井を苦手に感じている様子である。
二人が仕事をしている最中に落とし物である一つのイヤリングを拾ったことにより、新幹線内で多発しているスリ事件と与田の鋭さに今井が気づき徐々に打ち解けていく。
最後はとても素敵な終わり方であり、今井先輩が依田から刺激を受けて新しい挑戦をした様に思う。

答え合わせ
継父が事件に巻き込まれ瀕死の状態。息子の冬馬は救急車の中で「冬馬体を大切に、大好きだよ」という息も絶え絶えの言葉を聞く。
彼はそれが自分の聞き間違いであると理解し、それについて(おそらく後日、彼が教師として受け持つ学生達に意見を募る。もしくは彼の頭の中で、彼の生徒達をイメージしてリアルタイムで討論している情景で思考している)検討する。
冬馬はおそらくの真相に辿り着く訳だが、そんな事よりも自身が聞き間違えるくらいいわれていた継父の言葉を信じる事にする。
言葉の聞き間違いがテーマにあり、表現が難しいトリックだがわかりやすい内容で面白い。冬馬の複雑な心境、揺らぎまでも目に見えるような作品だ。

おむこさんは殺人鬼
グリム童話の見立てを軸にした物語。
主人公麦野は彼氏と婚約し結婚を控えていたが、彼の行動が怪しくもしかしたら彼が「殺人犯」なのではないかと疑ってしまう。彼とのデートの後、彼を尾行すると全く知らないアパートに帰宅する。尾行の途中、アパートから気づかれない様に一時的に潜り込んだ庭で、家の徳田という老嬢から声を掛けられ、彼女が元探偵である事がわかり、麦野は今までの疑惑を相談する。
彼が殺人犯かどうかの部分から、後半にはグリム童話の見立てに寄せた展開が進み、結末は見事に大団円である。

今回、全ての作品が面白い。前作までの長編二作もかなり面白かったが、今作はさらに読み易く、未読の方には是非とも推薦したい。短編集でありながら飽きる事なくあっという間に読み終えてしまい、少し残念に思う程だ。
「震える箱」は本当に長編で読んでみたい。

そういえば、彼女の短編が入っているアンソロジーをまだ読んでいなかったので早々に読む事にしよう。

0
2026年07月12日

Posted by ブクログ

この作品達を長編で読んでみたいと思う気持ちが強く残りました。
もちろんそれぞれの短編は良かったのですが、更に先の展開をもっとどんでん返しの形を繰り返して読んでみたいと思いました。
荒木先生の作品は読みやすい作品ばかりです。だからこそ期待感も大きくなる著者様です。

0
2026年07月13日

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