あらすじ
消されることのない歴史。なぜ戦艦大和は今も「日本人の希望」でありつづけるのか戦争ノンフィクションの決定版三部作、ついに完結!
全長263メートル、横幅38・9メートル、最大排水量7万2000トン。「大和が沈む時は、帝国が沈む時」と謳われた巨艦は、昭和20年4月7日午後2時23分、無謀とも思える沖縄への水上特攻作戦の末に、東シナ海で永遠の眠りについた。
乗り込んでいた3332人のうち戦死者は3056人。生還したのは1割にも満たないわずか276人に過ぎなかった。作戦参謀、設計者、主砲や高角砲、そして機銃を担当した乗組員ら多数の証言から、戦艦大和の実像を浮き彫りにする。
盃を汲みかわした出撃前夜、米軍の熾烈を極める波状攻撃に地獄の様相を呈する甲板。沈みゆく艦橋で吸った恩賜の煙草、渦を巻く白波。重油の浮く海での漂流、そして奇跡の生還――。
<戦艦大和の悲劇的な生涯は、日本海軍の運命を象徴するものでもあった。『太平洋戦争 最後の証言』の完結編として戦艦大和を取り上げさせてもらったのは、失われつつある日本人の希望と誇りをもう一度、振り返って欲しかったからである。日本人は、あの時代に「戦艦大和」をつくりあげた。日本人が存在するかぎり、それは消されることのない歴史である。そして、この大和に乗って愛する者たちのために命をかけて戦った人々がいた。そこには、今まで語られたことのない知られざる壮烈な物語が数多くあった>(「はじめに」より)
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Posted by ブクログ
大和の建造から沈没までかかわった方の証言。日本を代表する大戦艦ですが、過度な脚色を加えることなく、大和に携わった人達のありのままが語られた一冊でした。
Posted by ブクログ
SFアニメの世界では宇宙まで飛び出す、大和。しかしその実際の歴史はよく知りませんでした。
この本では大和の建造から参加した主な海戦、そして大和の最後が描かれます。
実際にそれぞれの立場で大和に接してきた生存者の方々とのインタビューをもとに、大和の歴史を再構成する労作です。
連合艦隊がほとんど壊滅したレイテ沖海戦、この時点で艦隊を組めるレベルにはなく、また、どこに移動するにも航空機の援護が得られない状況になっていました。また、広島の呉軍港に係留されていた大和でしたが米軍の空爆が呉に及んだため、「このままでは最悪瀬戸内海で沈められる」恐れもでてきました。
燃料の重油もほとんど枯渇した中、大和は沖縄に向かいます。
大和にまつわる人間模様には…
砲術学校へ行けと沈没直前に退艦した弟と入れ違うように大和に着任した兄の話。
国のため、天皇のために潔く死ね、と教える陸軍に対し、「命は大切にしろ」と教えた海軍。(しかし、その海軍が神風特攻隊を組織するのですが)
大和が沈むときにできた大きな渦に巻き込まれそのまま溺死するかと思われたとき、大和の艦内で爆発があり、それに持ち上げられるように海面に出て九死に一生を得た人たち。(複数の証言あり)
私たち日本人が決して忘れてはならない歴史です。
Posted by ブクログ
この三部作はどれも大変おもしろいし、もっと広く読まれるべき。寝食忘れて一気に読んでしまいます。各章の扉の写真がまた印象的で象徴的。
第十四章「鎮魂の海」がなんだかもう、悲しくて悲しくて。
艦としての「大和」はそこまで好きではないんですが、その中にあった乗員の諸々を思うと言葉もありません。