あらすじ
自衛隊機F2が超低空飛行を続ける。海面から六メートルの高度だ。危険すぎる。しかも血しぶきを浴び、機体全体に羽毛が張り付いている。鳥の群れに突っ込んだのか? イーグルに乗った風谷修の警告も伝わらない。無線も壊れたのか? 自力で小松基地にスポット・インしたF2から現れたのは幼さを残した女性パイロット割鞘忍──。中国の海賊船(ワリヤーグ)阻止に出動する若き自衛官の物語開幕。
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Posted by ブクログ
夏見氏の作品は、リチャード・ハーマンとトム・クランシーと福井敏晴を足して3で割ったようなと表現するとわかりやすいと思う。文句なしのエンターテイメントであり、そのスピード感にぐいぐい引き込まれる。しかも、通奏低音のように根底にあるのは、福井氏の作品にある平和ボケの日本に対する警鐘だが、あくまでもエンターテイメントの領域を堅持しており、重くない。新しいタイプの日本作家である。また、あくまでも負けない主人公はアメリカ的であり、ヒロイズム的にも日本にないタイプである。
今回の作品では、海上20フィートの超低空から小松に接近する国籍不明機を黒羽が見つけるところから、小松で行われる戦技競技会でのF2とF15との合同オペレーション、そこから一気に尖閣を舞台とした実戦まで息もつかせず一気に話が展開する。いずれも活躍するのは女性の登場人物であり、今回、割鞘3尉が黒羽3尉と同様の凄腕パイロットとして男性を凌駕する。
痛快。