あらすじ
日本人にとって推し活はもはや一時の熱狂ではない。現代の推しは、私たちに「ハレの日」を与えてくれる一方で、「ケの日常」もまたともにあることを教えてくれる。それは、この社会に広く浸透した一つの文化なのだ。では、私たちはそんな推しと、どのように持続可能な関係性を築いていけるだろうか。「推し活」文化の源流から令和の最前線までをひもとき、ポスト消費社会における「推しの構造」を鮮やかに読み解く。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
推しが著した最新作のテーマが「推し」だ。
過去の著作にも見られたテーマを歴史的変遷から分析して、現代が直面する問題を表明しその著者の主張を展開する手法である。
「推し活」の行き過ぎた共同性に起因する不毛な諍いを看過。推し活の根底には母性の暴走があるという主張の新規性。最後には著者独自の視点で推しとの良好な付き合い方を論じている。
著者の関心テーマである労働と父母性に関するジェンダーへの関連性が述べられており、著者の過去作との引き継ぎも個人的に魅力的である。
最後に本書が『「好き」を言語化する技術』との続編的立ち位置であることに言及がある。同時に読むと著者主張の核心である自分の言葉で語ることへの理解が深まるのでおすすめ。
Posted by ブクログ
第三章以降が著者が特に書きたかったことなんだろうな、という印象。グッと話がアイドル論になって分かりやすい。そしてあとがき。まさに今甲子園が開催されていて、ああ、そうだな……と。当方ヅカオタのため、めちゃくちゃ面白かったです!笑
Posted by ブクログ
「推し」の歴史的考察。日本のアイドルにはアマチュアリズムを残すことが必要とされている、という分析は、アイドル好きでもある三宅氏ならではの指摘なのではないかと感じる。社会学などの知見を用いながら、「推し」という身近なテーマを分析しており、非常に興味深かった。
Posted by ブクログ
うわーん、三宅香帆さんの語り口好きだ〜!
そもそも推し活文化は今に始まった話ではないということ、自分の身体では獲得し得ない成功体験を他人の身体に託すこと、託した通りになってもらえるように行動すること、等、今までぼんやりとしていたところが幾分明確になった。
推しもファンも、秘密を共有していないが故に相手の理想にはなれない。という事実は新発見だった。ファンの立場で「推しにいつ裏切られるか」という気持ちになることは理解できるが、それは裏を返せば推しの方から見ても同じで、「ファンが自分の理想とはちがう」ということが起こり得ているのだ、ということは、言われてみればその通りで、背負っている不安は同じなのだと元気づけられるようだった。
そして後半の、母性(=共同体に発展させやすい言葉を使う性質)の暴走こそが現代の課題であるという話には大きく頷けた。そこに抗う手段として、自分の言葉で喜びや痛みを語ることが出てきたことが何より嬉しい。これからも私は推し(推しと呼ぶのは好まない)と一対一で向き合って生きていきたい。
Posted by ブクログ
推しという存在は、ファンにとって子どもなのかもな。ファンは、推し(子ども)が一生懸命にひたむきな努力を重ねて、なにかを達成することに感動する。それは母性愛に近い。私に推しはいない(というかすぐに飽きるし、自分以上に熱狂している人を見ると冷める)けれど、ファンと推しの関係性や推しの歴史的な背景は十分理解できた。いつか自分に推しができたら、自分の感情を分析してみたい。
Posted by ブクログ
ヒップホップという自分目線の表現が好きで、他人から与えられた言葉で表現するアイドルの魅力が理解できないモヤモヤがずっとあり、アイドルカルチャーがどう発展してきたのか、理解したくて読んだ。
父性と母性を軸にした整理が面白かった。伝統的な、父なる権威による評価から、戦後ポストフォーディズムの中で母なる大衆に切り替わる。スターとの関わりは、トップダウンのベクトルのハレの場に限られていたのに対し、推しとの接点はケの日常に溶け込んでいる。共同体が解体され、ヴァーチャルな共同性が個人のアイデンティティを支える現代において、ちゃんと自分の言葉を大切にすることで、包摂する母性的な共同性や同調圧力に呑み込まれないようにする必要があると。
Posted by ブクログ
推しがいると「ハレ(非日常)」ができて、いつもの日常(ケ)がさらに充実する感覚にすごく納得した。推しの存在があるから普段の生活も頑張れるんだなと思った。
最近は推し活の期間が長くなっていて、みんな推しと一緒に歳をとっているという話に「たしかに!」となった。
タオルを回さない人が増えてほしい——あとがきのこの言葉がすごく印象的でした。
高校野球(甲子園)で、球場全体が片方のチームを応援してタオルを回し、後押しするような瞬間。
僕もそんな場面を観戦したことがあって、違和感を抱いていました。
「うがった見方なのかな、素直にみんなと一緒に応援すればいいのか」とも思ったけれど、応援されていないもう一方のチームの選手たちが気の毒だったし、みんなが一生懸命プレーして頑張っている姿を見たいと思っていました。
「推しの敵は敵」でもなければ、「推しを分かってくれない人も敵」でもない。
誰かに迷惑をかけないのであれば、自分が誰をどのように推すかは自由で、推しかたも自由なんだな、と改めて感じました。
最近、三宅香帆さんの書くもの・出演するものに惹かれています。
何に惹かれているのか、ひとつ分かりました。
それは三宅さんの「優しさ」です。
推されなかった高校球児の気持ちを想像できる、誰も傷つけない気持ちのいい言葉や表現……。
いつものように、三宅さんの本を読み終わったら、また読みたい本が増えてしまいました。
また積読が増えた……今年中には読み切れないな?
Posted by ブクログ
三宅香帆の新作
「日本人にとって推し活はもはや一時の熱狂ではない」
野球、観劇、アイドル、VTuber、アニメ、etc・・・
日本社会の“熱狂のメカニズム”を歴史的文脈から解き明かし、SNS社会での持続可能な関係性を考察していきます。
読んでいて「そうか、一口に“推し”って言っても、これだけの切り口があるのか・・」と気付かされます。
大変興味深く、面白く読みました。オススメです!
Posted by ブクログ
明治〜WW2〜バブル〜現在の3期間で、若者を応援する日本人の状況や心情について、書物や小説を引用しつつ書かれていて面白かった。
「4章はおまけ」とあるが、ここが最も著者の言いたいことに感じられた。
私も自身の感じたことや言葉選びといった、個性を大事にしたいと思った。
Posted by ブクログ
昨今日本で推し活が盛んになっているが、実はそれ以前から推し活に該当する活動がなされていた。本書はその起源を遡り、近代化した日本と連動していることを明らかにする。また日本における共同性と結び付けることで推し活の弊害を挙げるが、それでも推し活の魅力を著者が語る。
Posted by ブクログ
アイドルや宝塚、ミッキーといった身近な存在を題材に、「推し」という現象をエンタメとしてだけでなく、歴史や社会学的な視点から深く分析していてとても興味深かった。また、作中で触れられる「ファンが推しに持つ母的目線(見守り・育てる感覚)」は日本独特の文化なのかと考えさせられ、推しとの「距離」についての話も印象的。推しとファンの関係はあくまで1:1であり、お互いにわざわざ口にしない事情がある。秘密を共有していないからこそ「相手の理想にはなれない」という指摘には納得した。 母性(共同体を広げていく性質)の暴走に関する指摘も含め、自分の”好き”との向き合い方を見直すきっかけにもなる。好きなもの・応援する人が同じ人たちとの共同体のつながりの良さを楽しみつつ、適切な距離感も保って行きたいと改めて思えた。
Posted by ブクログ
最近推しているコンテンツが多かったので、推しとはそもそも何なのか、自分は推しとどう向き合っていくのがいいのだろうかと思い拝読しました。
推しの歴史を学べることはもちろん、直近までのSNS社会や実際のアニメや小説などを用いながら推すという行為やスタンスに対する解像度がとても高まりました。
個人的には自分が推しているものは勝手に現代は共同性を持ってしまうことがあるので、その良さを享受しつつ、適切に距離をとりながら自分として、推しに対する考えや好きを言語化して、コンパスにしながら推しと向き合いながら生きていこうと思えました。
Posted by ブクログ
第1章と第2章は自分が生きていない時代の話でもあり、また家族論的な観点からの話だったので、とても勉強になった。第3章、第4章はここ最近自分が考えていたことを言語化してくれた感じがして、読んでいてスッキリした。
Posted by ブクログ
推しという言葉の定義。なぜ推すのか。それを言語化した書籍ということで興味をもちながら読めました。過去にさかのぼり、人間の心理を説いていくという視点もおもしろかったです。最後のあとがきがまた異なる視点での話だと思いました。これまでの内容が散らばった印象を受けました。
Posted by ブクログ
「推し」という現代の文化について考察した一冊。まず「推し」の起源になるのは何かを歴史から紐解き(三宅香帆さんのよくやる丁寧に遡る構造だ)、結局「推し」と共に生きるということは?の解を出す。「推し」と共同体はどうしても相性は良いが、結局のところ自分という固有性があり、向き合うのは一対一で、自分がどう思うかが重要だとあり、個人的にも行き着くところはそこになるなと感じた。一過性の関係かもしれないが、それでも今この時好きになった「推し」を全力で感じて、毎日の生活が豊かになるのであれば素敵なことだ。
Posted by ブクログ
同い年くらいの推しをずっと推しているので、母性的だったのかといえば、それだけでもなくて、同士みたいでもあるなと思った。わたしは三宅さんより年上なのでさらに進んでそう思うのかもしれない。
日本のアイドルの歴史を辿るのは面白かった。立身出世が何回も出てきて、考え方になるほどと思うものの、ちょっと大袈裟に思わなくもなかった。
Posted by ブクログ
「推し」の話なのに…明治から平成までの芸能史をたどる前半がとても面白くて、推し活の本なのに思わぬ方向で学びが多かった一冊。
明治から平成までの芸能の成り立ちを追う前半がとても面白く、推し活の背景にこんな歴史があったのかと驚きました。阪急電鉄が鉄道利用者を増やすために住宅ローンや宝塚、そして高校野球まで手がけた話は特に印象的で、商売の発想ってこういう広がり方をするのかと妙に納得。
さらに70年代のアイドルオーディション番組が、「人身売買」との批判を避けるために“家族”や“故郷”であるかような雰囲気をつくり出していく流れも興味深く、今のアイドル文化につながる演出の源流を知ることができました。
推し活の本ではあるけれど、日本のアイドル史の勉強としても読み応えのある一冊でした。