あらすじ
一本だけ離れて生えている太くて短い親指、ガラスさえ噛み砕くほど堅い歯。人類の手と口は、他の霊長類に例のない特異なものである。霊長類の調査を長年続けてきた著者は、サルの口と手の形、移動方法は、その主食によって決定されることを解明し、「口と手連合仮説」と名づけた。なぜアイアイの中指は細長いのか、なぜチンパンジーは拳固で歩くのか、そして人類は何を食べ、なぜ立ちあがったのか。スリリングな知の冒険が始まる。
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Posted by ブクログ
口と手の形は、その主食の種類によって決められる。「口と手連合仮説」
初期人類に当てはめると、その主食は骨、ボーンハンティングに行き着いた。肉食獣が食べ残した骨を主食とした。骨を砕くために石を使った。石を握って振り下ろすためにはしっかりと握れる太い親指が必要。
手に石を持ち、移動するには立って2足歩行するのが最適。
骨を噛んですり潰すためにエナメル質の多い歯になった。
Posted by ブクログ
人の親指が太いのは、初期人類は石を使って骨(骨髄)を食べるボーン・ハンターというニッチを選んだために、石を握るための太い親指が必要だったためである。本書の結論はいってしまえばそれだけである。しかし、この結論を導くために、一見冗長のように思えるマダガスカル島の霊長類やオランウータンやゴリラのナックルウォークに関する手口連合説の考察を積み上げた結果、初期人類の生態を矛盾なく説明できるのがボーン・ハンターであるという結論を導いたところに筆者の執念のようなものを感じた。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
一本だけ離れて生えている太くて短い親指、ガラスさえ噛み砕くほど堅い歯。
人類の手と口は、他の霊長類に例のない特異なものである。
霊長類の調査を長年続けてきた著者は、サルの口と手の形、移動方法は、その主食によって決定されることを解明し、「口と手連合仮説」と名づけた。
なぜアイアイの中指は細長いのか、なぜチンパンジーは拳固で歩くのか、そして人類は何を食べ、なぜ立ちあがったのか。
スリリングな知の冒険が始まる。
[ 目次 ]
第1章 アイアイに会うために
第2章 レムール類の特別な形と主食のバラエティー
第3章 アフリカの原猿類の特別な形と主食
第4章 ニホンザルのほお袋と繊細な指先
第5章 ナックル・ウォーキングの謎
第6章 ゴリラとオランウータンの謎
第7章 初期人類の主食は何か?
第8章 直立二足歩行の起原
終章 石を握る。そして、歩き出す
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
専門的で難しい内容だが、「口と手連合仮説」からの“骨が主食”という内容には驚いたし、面白いとも感じた。
また、
“これは、先入観をもった人類学者の典型的な文章でい「異常なほどの」とか「こっけいな」という形容詞は、自分にとっての「正常」な何かを前提にしている。幾度も繰り返して言うが、ある生命体がある形をしているときには、十分な生存のための理由があり、それが「異常」に見えるのは、こちらの想像力の外にそれがあるということにすぎない。生命の研究をするものが、「正常」や「普通」を自分のなかに前提として置いているのはひじょうに危険で、いつも擬人化の落とし穴に落ちる可能性がある。”
という箇所については、なるほどと思わされたし、常に視点が固まりやすい私の心の中に留めおきたいものである。