あらすじ
お父さんの再婚相手は、ノリッジ随一のビートル・スプレッド産業を営むアティング家のマーガレット。演劇人ではない彼女は、非情な改革を断行し、劇場は建物も人もすっかり様変わりしていく。大切なものを次々取り上げられたわたしが、ある日、出会ったのは幽霊の少年だった。彼に導かれて地下に潜り、わたしはノリッジの町を守るため大勢の仲間とともに敵と闘うことに……。演劇こそが人生という少女が、鮮烈で豊かな想像力で挑む壮大な冒険の物語。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ケアリーのダークでグロテスクなファンタジーの性格が特出しており、下巻は一気に物語が動いていくが、語り尽くせない圧倒的な面白さがあり良い読書体験だった。上下巻に亘りケアリーのイラストが冴えているが、特に後半はあまりパラパラしないほうが吉。注釈は各章の最後に置かれているが此の方がよい。アイアマンガー3部作も良かったが、個人的には本作が好み。ストーリーとしては善悪構図としてしっかり主人公と幽霊の子供たちの目的が果たされ、読後のカタルシスもしっかりあるが甘くない。ダークファンタジーのゆえんがここにある。おすすめ。
Posted by ブクログ
イギリスの古い劇場に生まれ、呪いのために一歩も外に出られない少女イーディスの一人称で語られる幻想小説。劇場内の奇妙な住人たちの描写、消えた子供たちの謎、悪名高い魔女メグの伝説…題材自体は魅力的で、雰囲気作りのセンスは間違いなく光っている。
ただ、全体を通して語りの「くどさ」がかなり気になった。イーディスは信頼できない語り手として設計されていて、彼女の話がどこまで真実でどこまで彼女の思い込みなのか、最後まで判然としない仕掛けになっている。この不透明さと、劇場の内輪話が延々と続く長い描写がセットになっていて、そこを演劇調の回りくどさとして楽しめるかどうかで評価が割れる作りだと思う。自分は正直、途中から読み進めるのがしんどかった。
肝心のプロットも、装飾を取り払うと「子供の力で悪い魔女を倒す」というかなりシンプルな骨格で、語りの仕掛けそのものを楽しむためのも物語という性質が強い。結末も、現実と虚構の境界を意図的に曖昧にしたまま終わるので、明確なカタルシスは得られない。
雰囲気・世界観の作り込みはよいが、語りのスタイルとシンプルなプロットのバランスが自分には合わなかった。