あらすじ
火星の砂漠の町サベイジにあるバーで、海賊・ヨウ冥はフィラール星の女官長の依頼を受ける。それは通商使節として訪れた火星で行方不明になった王女を捜し出してほしいというものだった──ヨウ冥を追う黒ネコ型宇宙人にして海賊課のお荷物刑事のアプロと、相棒ラテルがおりなす人気シリーズ第一長篇。
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Posted by ブクログ
戦闘妖精雪風とはまったく異なった世界観がある小説。
同じといえば、物語が地球ではなく地球外惑星で進められる点と
高度に発達した人工知能を有するコンピュータが存在する点
それ以外はまったく異なった世界でいったいこの作者の頭の中はどうなっているのか
除いてみたくなる・・・。
主な舞台は火星で、しかも警察(のうよう名組織)と海賊との戦いが描かれていて、
しかも、太陽系を中心に暗躍する海賊の首領は太陽系では経済界をも支配している存在。
どうにも破天荒なストーリーでしかもこれを書いたとされるのは、人工知能搭載型のワープロソフト・・・
このワープロソフトが作中の登場人物に”書かせた”となっている・・・。
ワープロソフト=神林長平と見るべきなのだろうか・・・。
ただ確かに”神林ワールド”と言えるのは、非常に精神世界的な描写が多く、
ストーリーや背景を整理しようとしても、整理しきれない不思議な感覚(描写)があったり、
どんなに想像力を働かせてもイメージ化できない描写があったりと、
雪風同様に脳みそが悲鳴をあげる世界でした。
この作家の頭の中はどうなっているんだろう・・・。
とはいえ、違う作品を読みたくなるから不思議です。
Posted by ブクログ
時に入る渋くかっちょいい記述はありつつも、全体を通すとドタバタコメディなんだなあ。あっけらかんとした笑いの感じに80年代な印象を受けて、初版を見たらやはり1983年。なるほどな。余り、そこを楽しむことはできなかった。
とはいえ物語に仕組まれたからくりは流石神林先生、面白い。
この本は、登場人物の中の一人がCAWという著述支援システムの支援を受けて書いているという仕組み。随所に入るCAWの「restart...」などのコマンド文がこの小説へメタな構造を付け加えている。伊藤計劃『ハーモニー』のetmlを思い浮かべた。
自分が支配されることを何より嫌悪する匋冥を、一つの「物語」という枠に押し込もうとしたときに発動するラストの破壊は圧巻。
もう1、2冊読んでみようかな、どうしようかなというところ。