あらすじ
ぼくは、ぼく自身の戦争をどう終わらせたらいいのだろう・・・・・・戦争が残した傷跡から回復できないアフリカの少年兵の姿を生々しく描き出した表題作をはじめ、盟友である芥川賞作家・円城塔が書き継ぐことを公表した『屍者の帝国』の冒頭部分、影響を受けた小島秀夫監督にオマージュを捧げた2短篇、そして漫画や、円城塔と合作した「解説」にいたるまで、ゼロ年代最高の作家が短い活動期間に遺したフィクションを集成。
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これが本当にラストか
これが伊藤計劃のラスト短編集ということで、心して読みました。
まあ、先に『屍者の帝国』を読んでいたんですが。
全体に絶筆らしいというか、未完成、あるいは習作的なもの寄せ集めという印象ではありますが、遺されたテクストに触れるのは感慨深いものがあります。
なかでも短編としてダントツの完成度を感じさせてくれる表題作には驚かされました。対立する部族に生まれて、殺し合いを強いられる子供達の救いのなさと、欺瞞に満ちたかりそめの平和維持。伊藤さんってこんなに暴力的でワイルドな作品を書くんだ、と思ったりして。
あ、『メタルギアソリッド』は読んでいないのでそっちがどういう作品なのかは知りません。
というわけで、その『メタルギア』のスピンオフである『フォックスの葬送』は、あまり馴染めませんでした。
噂の『屍者の帝国』の未完の冒頭部分もやっと読めました。このまま伊藤さんが完成させていたらどんな作品になったんでしょうね?
Posted by ブクログ
最後は『屍者の帝国』だったが、フランケンシュタイン、ホームズ、吸血鬼ドラキュラなどが下敷きとなった作品で好みの題材だしこの先も超面白そうなのに絶筆なのが本当に本当に残念!!!
『セカイ、蛮族、ぼく。』は冒頭から食パンをくわえて走ってくるというコミカルな女性が、僕にぶつかってきて転倒したので犯した。という2度見するスタートから始まり、本編中でもう一人強姦する。
好きでやってるわけじゃない、蛮族という血に従ってるんだ、などと、今の時代では問題アリな作品だが、依頼されて同人誌に寄稿した作品だという説明で少しは納得できた笑
著者作品はそこまで書かなくても良いんじゃないか?と突っ込みたい女性の性・強姦描写が度々あるのだけが素直に好きになれないところ。戦争というものはそうゆうものだというのは分かるのだが、作品内にわざわざ複数回登場させなくてもな、などと女読者である私は思ってしまうのである。
この作品を読んだ後に次の『A.T.D:Automatic Death ⬛︎ EPISODE : 0』という作品を読んでしまうと、は〜女ってやつは男主体の世界では所詮、お涙頂戴の飾り物ってわけね、などと思ってしまう。(創作的に)
『The indifference Engine』
虐殺器官のスピンオフ作品で、ウィリアムズも登場する。戦争に使われる子供、戦争は終わった、といわれても自分の中ではまだ続いている戦争。これまた脳いじりが登場し、顔を見ても敵か味方か、種族の判別がつかないようにされる。
『From the Nothing, With Love.』
ミステリー要素が強く、クリスティネタも登場する。最初はいつにも増して堅苦しい語り口調の主人公だなと読みずらさを感じていたが、理由に納得である。落ちがラヴクラフトっぽくて好き。
Posted by ブクログ
「虐殺器官」などの長編を思わせるキーワードがちらほら。書いた時期とか、元の作品とかを知らないので、むむむ…となるところも多いのですが…
この方の、ひらがなの使い方が好き。
書いてある内容は殺伐としているのに、なんとなくやわらかく感じてしまうし、心地いい。
読んでいるうちに、「身体」というのはただの「うつわ」なのだと思わされる…ような気がする。