あらすじ
福沢諭吉が読み、感動して涙を流したといわれる名著『蘭学事始』は、『解体新書』の翻訳者・杉田玄白の最晩年の回想録。江戸時代に写本として広まっていたものを、福沢諭吉が再発見し、明治になって出版された。江戸の文化の爛熟期、ヨーロッパの文化・科学・芸術を求めて、“知のチャレンジャー”たちが興した「蘭学」。その先駆となったのが、辞書もなければ西洋医学の知識もないまま、オランダ医学書を翻訳した『解体新書』であった。その『解体新書』翻訳にまつわるさまざまな苦労話や、ともに西洋の学問に挑んだ男たち(前野良沢、中川淳庵、桂川甫周、大槻玄沢、宇田川玄真)のその後のドラマも交えながら、蘭学発展のいきさつを杉田玄白が熱く綴っている。本書では、400字原稿用紙にしてわずか70枚程度の『蘭学事始』を、現代人向けに読みやすく大胆にリライトしている。『方丈記』『西郷南州翁遺訓』に続く「話し言葉で読める古典」シリーズ。
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Posted by ブクログ
口語訳でとても読みやすく、内容も面白かった。
新しい事に取り組もうと思う人にとってとても勇気を与える本だし、久しぶりに読んでワクワクする感じがした。また当時の状況がリアルに感じた。特に蘭学のパイオニアとして黎明期の雰囲気が非常によく伝わってきた。
辞書もなく、アルファベットも分からない段階から、一文一文翻訳し、解体新書の出版までこぎ着けた第一世代。
ビギナー向けの蘭学階梯で蘭学の裾野を広げた弟子の大槻玄沢、蘭和辞典の編纂の中心となった稲村三伯などの第二世代。
若い頃から嘱望され、一度は道を踏み外しかけたが、周囲のサポートにより蘭学の世界に戻った宇田川玄随などの第三世代。
蘭学者の各世代の描写が非常にリアルだった。
パイオニアとして世界を切り開いてく偉業は、作中でも仏典の漢訳と並ぶ偉業と表現されていたが、その後の明治維新前後の日本と中国の差につながったと思うと、日本人として感謝したくなる。
Posted by ブクログ
杉田玄白さんの「蘭学事始」を、読みやすくしてくれた本です。
この本が読みたいと思ったきっかけは、三谷さんの本。
「鼻を『フルヘッヘンド』する」というのが出てくるけど、
実は…という話題から興味が出ました。
「解体新書」を言えば、杉田玄白さんが有名ですが、
実は前野良沢さんが頑張ったんだなぁ。
玄白さんは自分でも性格が「大雑把」と書いているので、
この2人の血液型を想像すると、玄白さんがOかB、
良沢さんはAだったと察するけど(笑)
「ターヘル・アナトミア」を訳した人たちのように、
書いてあることが全くわからない、調べようにも辞書がない、
という状況から、必死で勉強して、だんだん意味が理解できるように
なってきた喜び。
これは、すごく感動するだろうなぁ。
今はほとんどの言語に辞書があるから、彼らのような
感動は、おいそれとは得られないだろうな。
うらやましいな。