あらすじ
織物の街・桐生。養蚕農家に生まれた芳乃の楽しみは、自ら染めた糸で心の赴くままに布を織ること。そんな彼女の生活に、戦争という時代の波が押し寄せてくる。時は流れ、都内でトリマーとして働く詩織は、母との確執を抱えていた。そして、偶然訪れた桐生で彼女はある織物と出会い……。二人の人生の糸が絡み、ほぐれ、そして美しく織り上げられていく感涙の物語。『世はすべて美しい織物』改題。(解説・吉田伸子)
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Posted by ブクログ
織物がテーマの地味な話かと先入観を持って読んだら、無茶苦茶面白いじゃん!!
さっきまでの自分をぶん殴りたい。
だけど残念なのは、私に本書の面白さを100%伝えられる文章能力がないこと。
本書の凄さを伝えるため脳内に秋元康氏を召喚したい気持ちでいっぱいだ。I want you!♪♫
読み始めると染色の香りや音、
桐生の清らかな空気が染み渡る
美しい文章に一気に引き込まれた。
物語は、戦争で夢も愛する人も断ち切られた昭和の芳乃と、親との確執や自分の生き方に迷う平成の詩織のパートが交互に紡がれる。
二人の運命の糸が、時に緩み、時に引っ張られながら絡み合う構成がめっちゃいい。
1枚の布を通じて人生が重なった瞬間、「あぁ、そうだったのか!」ともつれた糸がほぐれていく描写に何度もハートを撃ち抜かれ目頭が熱くなった。
特に芳乃パートは「あの戦争がなければ」と思わずにはいられない。
「誰もが織り人なのだ」という言葉が心に残る。
経糸と緯糸、力加減や配色、自分次第でどんな
「織り」にもなっていく。私の織りなす人生はどんな模様だろうか?
読み終えた後も、頭の中で織り機の心地良いパタンパタンという音が響き続けている。何度も再読したい最高の1冊。