【感想・ネタバレ】現代語訳 信長公記のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

この本は、第一級の史料認定されているらしく、よく歴史物のテレビ番組などで引用される。再現Vなんかで、さらに脚色されているので、どれほどワクワクするのかと読んでみたが、それほどではないと最初思ったけれど、戦記の中でも時々出てくる信長の言動が魅力的だと読み進めるうちに思ってきた。休暇をもらった丹羽長秀らの武将が湯治に出かけたことなども載っていて、面白い。明智光秀が、本能寺の変の前に、「考えるところがあってか、二度も三度もおみくじを引いたそうである」などの記述も興味深い。

信長は怖いと思っていたけど、この本を読むと、印象が変わる。そして、牛一は信長が大好きだったんだろうなと思う。正しいことをしているので、神の御加護があったなどと書いてあったりして、信長が慕われた上司であったんだなあと感じる。まあ、確かに「際限なく首を切らせ、目も当てられぬ有様だった」などの記載もあり、怖い部分は多いにある。徹底して間違ったことを許せない、圧倒的武力を持った三成というイメージかも。それにいつも足半を身につけているとか、すごく細かいところまで信長の言動がわかる。伊丹城の人質を殺すシーンで、信長も可哀そうだとは思ったが、悪人を懲らしめるために云々とあり、信長が何も感じない人であったわけでないこともわかる。

本人が弓の腕前をほめられ、加増されるエピソードも載っていて武士なためか、戦いや業績の詳細が多い。。
だけど、牛一が合間に述べる信長は、とても慎重で時の流れを読んで、意に染まない相手に対しても周囲の所感などを読み、ひとまず我慢したり、何年も掛けて一つの物事をなしたりと冷静で沈着な面も見られ、没落寸前の将軍家にも忠節を誓ったり、頭の良い人だ。戦乱に迷惑したであろう地域の町人たちの税金を免除したり、思いやりも十分推測できる。何より、いつも行動が本当に早い。

それに、ちょっとみんなを驚かせてやろうと?、かわいい面もある。有名な斎藤道三との会見の様子を描いているが、「生まれて初めて髪を折り曲げに結い、いつ染めておいたか知る人もない褐色の長袴をはき、これも人に知らせず拵えておいた小刀を差した」なんか牛一達の驚きぶりや、それを無表情を装って喜んで見ていた信長が想像できて、かわいい。

失態を犯した佐久間信盛が「そうはおっしゃいましても、我々ほどの家臣はお持ちにはなれますまい」と言うと、「おまえは、自分の能力を自慢しているのか。何を根拠に、そう言うのか、片腹痛い言い草だ」と言い、機嫌が悪かった」とある。確かに、とても厳しい上司だと思う。でも、激流渦巻く川を渡らねばならぬ時など危険な時は、自身が率先して行い、すごく信頼できるリーダーだ。

虎山御前の城についてもしかり。大船についてもしかり。皆を驚かせる発想の持ち主。どちらかというと、とても現代人の発想に近い。船も櫓を取り付ける位置など設計も細かく指導したり、そもそもの建造理由も、将軍の反乱を予期し、そこに向かう最短経路の確保のためと理路整然としており、あまたの良さも感じる。それに意外?に、備えよ常にの人だと思った。

農民が信長の女踊りの返礼に踊りをした時も、気さくにあいさつに応じて、衣装を褒めてやったり、団扇であおいでやったり、お茶を出させたりと気さくで魅力的。
人に褒章を渡しては、「よくお似合いです」と言ったりもする気遣いもできる人だ。それに他の?時代が違う大名なんかと違い、農民にも会ってくれたりする。帰属してきた人に対する領地安堵もきっちり覚えていて実行し、新しい領主には、その安堵分の土地を補填する。年老いて遠方へ派遣する家来にも、その旨を気の毒に思う旨、そしてそれをねぎらい入場する際の見栄がいいように馬を与えたりと本当に気配りさん。訓令も農民から不必要に取り立ててはいけないなど理路整然。物にいい意味で執着がない。自分が秘蔵していた物を褒章として与えたり、贈り物が来ても、気に入らなければ返したり、大量の贈り物が来た際は、名簿を作って配り不公平がないようにしたりとすごく公平な上司でもあると思う。

牛一は、先にも書いたとおり、結構な腕前の武士だが、風流を忘れない方だったみたい。信秀の死にあたっては、「生死無常は世の常とはいえ、悲しいことである。風がさっと吹いてきて草々の露を散らし、一団の雲が満月の光を陰らせるようであった。」と表現してあったり、処々に美しい表現がみられて、軍記物でも楽しめた。虎山御前の城からの眺めに関する表現も素晴らしく、源氏物語を引用しており、造詣の深い人物であったと思われる。

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2015年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

想像できないほど大量の人が死んでいて頭が混乱してくる。そんな世でも道義に生きる人がいて胸を打たれる。こういう時代があったのだとリアルに感じられた。‬
「信長に憎まれた者は、すべて自然に死んでいくのである」この言葉は怖い。
辞世の歌が悲痛で、一人一人の無念さに胸を打たれた。追い詰められても人を恨まずに、家族を愛して主君を愛して、潔く死ねるものなんだろうか。
生きるために、名を残すために、それぞれに正義があるのかもしれない。

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2019年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

旧臣が記した信長の一代記。一次資料としての価値が高く信長研究では必須の書であり歴史小説のネタの多くがここから出ている。
信長は生涯を通して戦闘しっぱなしだった。イメージとしてはこんな感じ。

90% 合戦、および評定/恩賞/叱責/成敗
5% 鷹狩
2% すもう大会
2% 天皇・将軍行事
1% 名物召し抱え

戦国時代、死がすごく身近にある。「何々の戦いで敵方地侍七百五十人と討ち取った」とか淡々と繰り返し出てくる。
たくさんの武将名が見てたら「信長の野望」をやりたくなった。

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2014年10月13日

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