あらすじ
シエナ、この世界にもまれな美しい都市はどのようにして誕生したのか。中世のシエナは、北ヨーロッパとローマを結ぶ街道の要衝を占め、経済的繁栄を謳歌する。蓄積された富は、白鳥のようなゴシック・カテドラルをはじめ、豪奢な建築や魅力あふれる広場・街路に姿を変えた。トスカーナの自然と人間の叡智が出あい、美しく結晶した「聖母マリアの街」を、時空を自在に横断しながら案内する。見どころやグルメのガイド付き。
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
シエナ、この世界にもまれな美しい都市はどのようにして誕生したのか。
中世のシエナは、北ヨーロッパとローマを結ぶ街道の要衝を占め、経済的繁栄を謳歌する。
蓄積された富は、白鳥のようなゴシック・カテドラルをはじめ、豪奢な建築や魅力あふれる広場・街路に姿を変えた。
トスカーナの自然と人間の叡智が出あい、美しく結晶した「聖母マリアの町」を、時空を自在に横断しながら案内する。
見どころやグルメのガイド付き。
[ 目次 ]
第1章 自然の力と人間の匠
第2章 都市の宇宙空間
第3章 コントラーダ―シエナ社会の細胞
第4章 芸術のリリシズムと誇大妄想
第5章 神秘か邪教か
第6章 悦楽のトポス
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
東大名誉教授でヨーロッパ中世史がご専門の池上俊一氏によるシエナ本。
シエナの魅力を歴史や文化を深め・厚めに説明する旅行ガイド!?
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今年の初め、上の子と私ら夫婦でイタリアに旅行に行きました。
ローマが30%、フィレンツェ70%という日程配分でした。フィレンツェといっても中心部のみならずトスカーナの郊外にも足をのばしました。その際シエナにも行ったのですが、本当はそれまでに読んでおきたかった本。
結局古本しかなく、しかも値段がそこまで安くなく読まずに行きました。
で、帰ってきてから結局ほぼ同じくらいの値段で買うという。。。
相変わらず間抜けなことをやっております。
・・・
シエナはですねえ、そうですね、すり鉢状のカンポ広場、兎に角古い銀行がある、パンフォルテ、ピチ、といったところを思い起こします。
街並みは確かに中世って感じで美しかった。
本作では、『シエナってそんなもんじゃないんですよ』ということを池上氏がアツく語ります。
・・・
著者の意見は、実はシエナは深いんですよ、という話。
先ず力説しておきたい魅力として、中世の街並みが色濃く残るということ。そして、トスカーナの田園の恵みとシエナの街が充実して連結しているということ。
読んでいるとちょっと分からないかもしれませんが、フィレンツェからバスでシエナに行く際、なだらかな緑の丘陵がどこまでも続く光景、あれには心を奪われました。
周辺の田園部(コンタード)からとれる土や粘土、そして豊富な農産物、これらがあって初めて都市のシエナが形作られたという話。
・・・
更に更に。
シエナの文化的バックボーンは、異教的・土着的要素も大いに包含しているという話。
通常はイタリアですからキリスト教、それもカトリックというものです。でも、パリオという地区対応競馬大会的な祝祭、これはかなり土着的な要素が多いそうです。勝ち馬は教会まで勝利を報告したり、レースの前に馬に聖水をかけたり。勝った地区(コントラーダ)の人々は勝利の雄たけびと共に街を練り歩くそう。
これを読んでいて、まさに「ハレの日」という日本的ワードがぴったりの印象を受けました。
ああ、次はぜひこのパリオというお祭りを生で見てみたい、と思うのでした。
・・・
ということでシエナのあれこれを、やや文化史的に掘り下げた新書作品でした。
文化とか歴史とかがお好きなかたでシエナに旅行する予定がある方は、悪いことは言いません、是非読んでからお出かけください。