あらすじ
高台の神社からは廃墟と化した造船所が見える。喧噪と活気を失い、憧れの彼女もいない町で、中学生の辰雄は性のとば口にいる自分をもてあます。昔の祭りさながらに、渾身の力で引き上げた舟を海にすべらせた――少年の1日を活写した小説現代新人賞受賞の表題作をはじめ好編3作。(『雨を見たかい』を改題)
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Posted by ブクログ
15年ほど前に読みかけだった一冊。「夏」だったので再び手に取ってみた。おそらく著者自身の経験と重なる部分があるからだろうが、風景描写が丁寧で、主人公の思いを言葉を尽くさなくとも伝わってきた。とくに「雨を見たかい」。もっと評価されるべき作家だと思ったが、解説にある、「凡百の小説より、一つの美しい嘘の小説」という言葉を目にし、納得した。
Posted by ブクログ
大事件が起こったりするわけでなく、誰もがいつかは通りそうな1日が淡々と描かれているだけなのだが、何故か心に残る。情景描写が丁寧。どの話も最後に救いがあるのが良い。