あらすじ
「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」
身勝手な母親から逃れ、山間の町で暮らし始めた18歳の理佐と8歳の律。姉妹を見守る蕎麦屋の浪子さん、絵描きの杉子さん、そしてしゃべる鳥「ネネ」。ネネのいる水車小屋で働く青年・聡、水車小屋に現れた中学生・研司......助け合い、支え合う人々が織りなす、希望と再生の物語。第59回谷崎潤一郎賞受賞、2024年本屋大賞第2位など、読書界の話題をさらった感動作! (解説・北澤平祐)
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Posted by ブクログ
登場人物がみんなよくて…
それぞれが皆大変な状況なのに、ごく自然に人を思いやり、恵まれている・ありがたい、と大切な人への感謝を忘れない、心の余裕と豊かさがある。そして、その思いやりを惜しげもなく当たり前のように他者に循環させていく、素敵な世界。人にやさしく、温かく接することの麗しさたるや…
津村さん、初めて読みました。
「本書が誰かの良い友人になることを願っています。」と、誰も取りこぼさない、最後まで優しいところもグッときた。
私は本屋さんで平積みされているのをきっかけにこの本や津村さんに出会ったが、ちょうどもう少しで読み終わるというタイミングで西加奈子さんが出版区の本ツイに出演されており、この本や津村さんを絶賛されていて、ああ西さんもお好きなんだと嬉しくなった。
とくに好きなところ記録。
「この人がこんな様子なら、自分のこれからだって何とかなるだろう、と常に律に思わせてきたおおらかな姉の姿は、律が8歳だった頃と少しも変わっていなかった。」
Posted by ブクログ
人の温かさ、優しさ、愛情に触れることのできた素敵な本でした。
律が自分は周りの優しさに育ててもらったという実感から、自分の周囲の困っている人たちを支えることを使命にする姿。とても自然には思えたけど、律のやりたいことをやれているか少し心配になる時もあった。
でも藤沢先生の「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」という言葉を受けて、ああ、人に優しくすることはきっと自分にとっても素晴らしいことなんだろうなと思った。
いま私は東京に住んでいて、困っている人を助けるという文化はあまりない。
自分のことでみんな精一杯で、他人と関わることを避けている。
でも他人と関わり、親切にすることは、自分の人生がさらに豊かになるということなのかもしれない。
律と理佐を支えたお蕎麦屋の守さんと浪子さんや杉子さんは、律と理佐と関わったことで人生がより意味のあるものになったのでは。手がかかるネネを世話した人たちも同じ。
本当に温かい気持ちになれた良い小説でした。
ところで、ヨウムというとても賢くて長生きな鳥を知らなかったので、ネネの行動ひとつひとつに毎回驚きがあった。
Posted by ブクログ
とても心が温まるお話でした。
登場人物を応援したくなるような、そんな小説でした。
男に依存する母との生活から離れることを決断し、妹を連れて自分たちの生きる道を探すため、勇気を持って行動した18歳の理佐。妹の律はまだ小学生。
引っ越し先の土地で、水車小屋で蕎麦曳きの見張りをしているヨウム、ネネのお世話などをしながら、地元の人たちと関わりの中で姉妹は成長していきます。
ネネが、他人同士だった人たちの接点になって縁を繋げてくれていて、40年という時の経過を通して、姉妹やネネと関わってきた人たちのさまざまな岐路や交友や別れが描かれています。
降ってきた理不尽な環境に、諦めたり流されそうになっている人にお勧めの一冊。
Posted by ブクログ
優しさの連鎖の話。家の環境が悪くて家を出て行った18歳と8歳の姉妹が新しい土地で周りの人に助けられながら生きていく話。最後2021年だから40年間の話になるのかな?先生や蕎麦屋の夫婦からもらった優しさを姉妹が周りの人に分け与えて、周りの人もその周りの人に優しさをあげるって感じだな。蕎麦を食べたくなり、人に親切にしたくなるなあ。
実際には優しさを受けても周りに返せない人もいるし、嫌な人もいるから、こんな小説みたいにはいかないよなと思いつつ(自分も貰うばっかりですごめんなさい)、みんな優しさを一歩踏み出していこうねって思えるので、とりあえず日本全国の人が読めば良いと思った笑
Posted by ブクログ
震度4の地域であんな空気感だったろうか…?と、つまらないところに引っ掛かり、そうなると所々の誰の描写か分からない文章にもいちいち立ち止まってしまい、終盤はやたら時間が掛かって…それが星一つ減らした理由。
それ以外は好きな世界観でぐいぐい読んだ。
登場人物がそれぞれ傷を持ちながらも前向きで気持ちが良い。
そして律の賢さに色々学びを得るところがある。
余計な口出しをしない。でも無関心な訳ではないからこそ最終的に自習室を開くところに辿り着く。幼少期から常に色んな事を感じ取り、周りに感謝しながら成長した証だと感じる。受けた親切をきちんと血肉にしているのがいい。
そして姉夫婦。
このところ毒親が出てくる本が続いているのだが、一番いい形で逃げられたと思う。
18歳の決断としてはかなりハードなものだったが、良い大人に恵まれた幸運と、何より本人の覚悟が功を奏した。淡々とした描写ながら、暗闇の中を一歩一歩歩くその怖さと、それでもこの道を行くという覚悟が力強さを伴ってしっかり伝わる。
律が姉に感謝するように姉も律に感謝する場面がとても好きだ。
そして聡がまたいい。
こんなにもしっくりと支え合うパートナーと出会えたのは奇跡のようで必然だったと思う。
どなたかも感想に書いていたが、本当に朝ドラのような物語。
理想的な地方の物語でとても良かった。