あらすじ
戦争は、いつか終わる。
でも、はてしなく何かを奪い続ける。
あなたの隣で生きていたかもしれない彼女たちの
声なき声が聞こえますか?
都会に暮らす「わたし」の日常を大きく変えた、横浜空襲・大阪空襲を描く二篇
『世界の果てのこどもたち』『伝言』の著者による新たな挑戦!
「穴の中の戦争」
森さんちの裏に掘られた防空壕
恋もやっかみも悲しみも愚かさも、小さな社会がそこにあった
「愛子さん」
失われてしまった人生、きらきらしとったはずの人生――
真夏のある日、七十九歳の愛子さんは渋谷に向かう
いまと地続きの「戦争」を描く感動の二篇
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
わたしかてきれいやったのに。
あんなにきらきらしとったのに。
もう、取り返しがつかへん。
戦争があったことは知っているのに、そこに生きていた人がどんな思いをしていたのかは知らなかったのだと思った。
戦時中は、我慢することが当たり前でおかしいと思うことすら許されなくて、戦争が終わっても奪われたものは返ってこなくて、ただただ忘れられる。
どうしたらよかったんだろう。どうしたらいいんだろう。
愛子さんのように苦しんで苦しんで、手に入れられなかったものを数えるしかない人がいたかもしれないことを忘れてはいけないと思った
Posted by ブクログ
空襲で破壊された家々や鉄路も、怯えながら篭った防空壕も戦争が終わればやがて修復と埋め戻しによって以前の姿へと戻されてゆく。それは人々がそこで生活を続けていく以上必要なことではあります。けれど同時に、ほんの少し前まで生傷であったものが、ある日を境にただの痕跡として淡々と処理されるものに変わってしまう戦後という時間に対して、私はどうしても言葉ではうまく表せない蟠りを抱えてしまう。そしてその時間の流れの中で何より悲しく苦しいのは、街がどれほど直され整えられても、戦時下の空気という真に無意味な暴力に毟られ、抉られ、踏み潰されて空けられた心の空洞へは誰も責任を取ってくれず、戻してもくれないということです。終わりを迎えても本当には終わらない戦争をいま新しく始めない為のアクションをこの先も国には選択し続けて欲しいし、私という個人のレベルでも声をあげていきたい。たとえそれが小さくても。