あらすじ
その正義、正しい? 驚愕の反転ミステリー
どんでん返し×驚愕の心理トリック そのときあなたの“正義“が揺さぶられる
『嘘と隣人』が直木賞候補、『夜の道標』で日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した芦沢央さんの最新短編集です。
日常に潜む人間の心の歪みや、「正しさ」が孕む危うさを鋭く描き出した6編を収録しています。どの物語も、登場人物が信じる「正しさ」が、思わぬ悲劇や皮肉な結末を呼び起こし、人間の心理を深くえぐる筆致に価値観が激しく揺さぶられます。
鮮烈な印象を残すのが、表題作の「あなたが正しくいられたとき」。
同窓会で再会した元カノ・黒川の娘が川に落ちるという、衝撃的な場面から物語は始まります。主人公の窪田はとっさに川へ飛び込み、少女を救助します。自らの行動を「正しい」と信じて疑わない窪田ですが、物語が進むにつれて意外な真相が明らかになり――。
「窪田くんは、正しい人だよね」「物語に出てくるヒーローみたい」と黒川に言われる窪田の「正しさ」とは何なのでしょうか。
現代社会の不安を巧みに掬い取った「立体パズル」もまた、忘れがたい一編です。
主人公の幼稚園児の息子と同い年の子どもが、「子どもは静かにするもんだろうが」と主張する犯人に殺されるという事件が起こります。
犯人はかつて神童と呼ばれたエリートでした。その犯人が、主人公が住む街をうろついているらしいという噂が流れます。子どもの安全を守りたいという親としての「正しさ」が行きついた先とは……。
本書に収められた6つの物語は読者の心に鋭い棘を残します。登場人物たちの行動は、決して他人事ではありません。損をしたくない、誰かを守りたい、過去の過ちを正したい――。誰もが抱く切実な思いが、「正しさ」という名のナイフに変わる瞬間を、芦沢さんは描きます。
あなたが信じる正義は、本当に正しいのか。読み終えた後、その問いが深く胸に突き刺さる、傑作短編集です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今回も芦沢央さんらしく、人の心の奥に潜む感情を描く視点が素晴らしい作品ばかりだった。
表題作、正論は決して間違いではない。でもその正しさが時に人を追い詰め、息苦しくさせることがある。そんな人間の複雑さを描く芦沢さんの巧さに唸らされた。
「薄着の女の物語」は予想外の展開に驚き、「待てば無料」はシリーズの続きとして楽しめた。「代償」は作家を巡る物語で、読み進めるほど不穏さが増していく展開にゾクッとした。「立体パズル」は環境について考えさせられ、「投了図」は静かな感動が残った。
怖さ、切なさ、人間の業が詰まった一冊。
Posted by ブクログ
芦沢さんの短編、とても好き
長編も良いけど、短編集でしか味わえない(暗めの)わくわくがある
読み終わりたくないのに次々と頁をめくってしまう感じ
Posted by ブクログ
変な言い方だけれど、どれもこれも後味が悪くて気分がいい。特に気に入ったのは、十時警部シリーズだ。あとがきによると、予想外の形で生まれたキャラクターのようだが、この警部のおとぼけキャラがクセになる。
特に『時間がたてば無料』では、十時警部のズレた感覚が、ストーリーの皮肉さに拍車をかけていた。そもそも、健一がコスパを求めるあまり介護を後回しにし、痛ましい事故を起こして自らの人生を棒に振ること自体、皮肉な話だ。このうえ健一は、自らの関与を隠蔽したことで、十時警部から、あたかもアリバイ工作まで仕掛けた知能犯であるかのように推理され、否定できない状況に進展する。
タイパやコスパが求められる現代。目先の得を求めるあまり、得の本質を見失い、大切なものを切り崩していることに気づかない危うさ。風刺が効いていて、実に面白い作品だった。
Posted by ブクログ
芦沢さん2作目!自分の読解力がなくて、え??ってなった話もあったけどおもしろかった。ちゃんと理解できる力がほしい。
いちばんはじめのお話は、桃太郎みたいだなあと思った。桃太郎の正義と鬼の正義は違うよね。正しいことをする人がいつも正解なわけではないしその正しさによって苦しむ人が存在するんですよね。誰かのヒーローは誰かの悪になり得るのがこの世界。気をつけようがないよな、と思いました
Posted by ブクログ
どれも軽く読めて、ちょっとイヤミスっぽくて楽しい。
十時刑事はシリーズものとして読みたい。
表題作の『あなたが正しくいられたとき』がなんだかスッキリしない。
私の考え方が窪田くんと同じヒーロー的なんだろうか。
いくら父親が自分(娘)を助けたせいで亡くなってしまった重荷から解放するためとは言え、母親がわざと落として他人に助けさせて記憶を上書きするかな…?
それが本当の正義なの?
意図的にいろいろなことを準備したとしても絶対安全なわけでもないし、それに人の口に戸は立てられぬとも言うし上書きしてもいつか本当のことを知ってしまうかもしれない。
…っていうところまで考えさせるお話だったってことなのか??
Posted by ブクログ
6作とも驚きがあった!
短編だからスラスラ読めたし、
次の作品がどんどん読みたくなるくらい面白かった
ちょっと不気味なところもあり、
共感できる生々しい感じもあって
とても読んで良かった!!
Posted by ブクログ
それぞれが独立した全く違うテイストの短編集
どれも先が気になる展開で、あっという間に読み終えました
イヤミス感は控えめで、純粋なミステリとして非常に面白かったです
なかでも十時と奥平の刑事コンビが登場する2編は、2人の会話が独特でコミカル
特に十時のキャラクターがいいので、ぜひ今後の長編小説などで再登場してほしいところです
また「投了図」は、芦沢さんの短編集のラストを飾るにふさわしい将棋もので、趣のある作品でした
『あとがき』では芦沢央さんご自身による各短編の解説があり、こちらも非常に興味深く読めました
Posted by ブクログ
表題作の「あなたが正しくいられたとき」と、「代償」がよかった
主人公が真相を突きつけられて頭がパーン…っとなるところが(勝手に)横山秀夫作品に似ているなぁと思っている
Posted by ブクログ
読みやすいけど、最後のオチがとにかく自分にはよくわからなかった。伝わった上で分からないとかでなくて、ホントにどういう意味でドンデン返しになってるのかわからない、、、
Posted by ブクログ
2017年から2026年までに発表された6編からなる短編集。
誰もが持っている自分の中の「正義」が誰かに害を与えることがある。
それは、信じた正しさを守るためだったり、誰かを守るためだったりする。
芦沢央さんが描く「正義」のカタチに、心がヒヤリとする1冊だった。
正義が誰かを苦しめるのではなく、相手の正義も許容できるようでありたいと思った。
Posted by ブクログ
日常の中の正しさが少しずつ歪んでいく様子を描いた短編集。心理描写は丁寧で、じわっとした不穏さが残る一方で、物語の核となる謎や構造はあえて余白を残す形で終わるため、読み手としての決着感は弱い。自分は普段、心理のズレに加えて伏線の回収や論理を重視しているので、その基準からすると“解ききれない余白”で閉じるミステリーは満足度が伸びにくいかな。正しさの暴走というテーマは良いものの、論理的な決着を期待すると物足りなさが残る。心理の揺れは魅力的だが、ラストへの決定力が物足りなかった③。
Posted by ブクログ
芦沢ワールドだった。
特にタイトルにもなってる一話目は、サスペンスな雰囲気を醸し出しながら黒川さんの娘のための覚悟が明らかになり対照的にヒーローだった窪田が最後に恥ずかしい勘違いをしていた事に気付いたときにはある意味ホラーだった。
窪田姉も頭キレッキレで怖い。
私が弟からそんな相談されたら「えー、黒川さんヤバいじゃん!」で終わり。
でも他人の子供に◯◯ちゃんって呼ばれて親が「さんでしょ」って会話ん目の前でされたら「ちゃんでいいよー」って言っちゃうけどなぁ。
「代償」「薄着の女」「待てば無料」「投了図」はみんな報われて欲しい気持ちになり、「立体パズル」の最後はどういう解釈したらいいのか私には難しかった。
急に肌寒くなった雨の日にぴったりな作品でした。
Posted by ブクログ
芦沢さんにしては物足りなかった。
「あなたが正しくいられたとき」
正義感しかない主人公。やだなー。
「代償」
そういうこともあるのかな。なんかあんまり響かなかった。
「薄着の女」
十時警部と奥平琴子。珍しくコミカルな警察コンビ。
「立体パズル」
お母さんの気持ち、ちょっとだけ分かる。
「待てば無料」
故意じゃないのに。事故だったって分かってもらえただろうか。
「投了図」
納得できないお別れの仕方。後々まで残るよね。
Posted by ブクログ
代償と、投了図好きでした
代償ね、たまたまあんなに似た本が実在するなんてないんだよね
奥さんが旦那さんにどうにか隠そうとしてた
真実が切ないね...
投了図も切ない...
旦那さんのお義父さんへの想いが切なすぎる
コロナはほんと世間を狂わせたし
コロナを題材にした本って意外と多いから
影響大きかったよなぁって思い出さされる
Posted by ブクログ
3.5
それぞれが個性的な話
1つ目の娘の記憶を上書き…そうぞうできんなぁ、命を落とす可能性もあるのに
そして殺人犯の家の話、そりゃ殺人犯が育った家ってなると住みたくないよなぁ…理想のマイホームを買ったはずがショックすぎるよね
Posted by ブクログ
芦沢央さんといえば短編のイメージが強いです
そんな芦沢さんはデビュー15年目に入ったそうです
15年目も続けていると短編の作品も増えますね
芦沢さんは「短編を書くときには、単著として一冊にまとめる意識を持った方がいい」とは思っているそうです
しかし、そうしたビジョンを持たずにその時々で好き勝手に書いているので、単著未収録短編ばかりが増えるそうです
気づけば単著未収録作が20本以上に膨れ上がっていたみたいです
(本書あとがきより)
その中から2017年から2026年までの芦沢さんが書いた6つの物語が収録された短編集です
表題作の「あなたが正しくいられたとき」と「代償」は最後にゾクッと芦沢さんっぽさが感じられる作品に
「薄着の女」と「待てば無料」は軽いライトなタッチに
これはこれでありですねw
Posted by ブクログ
【収録作品】
あなたが正しくいられたとき
代償
薄着の女
立体パズル
待てば無料
投了図
あとがき
正しさとは何かをつきつけてくる短編集。
自分の正しさに固執しないこと、相手の気持ちへの想像力をもつこと。
想像は外れることもある(というかそっちのほうが多かったりする……)が、それでも、自分だけが正しいと思わないことが大切。
それだけでもう少し生きやすくなる気がする。
ただ、「あなたが……」は、母親からすれば必死なのだろうけれども危うい賭けだと思う。
それにしても、なんで、相手の理を認めると負け、みたいな風潮があるのだろう。
Posted by ブクログ
全5話からなる短編集。
◆あなたが正しくいられたとき
女はなぜ元恋人の前で娘を川に突き落としたのか?
表題作の本作が出色の出来。「思てたんとちゃう!」と叫びたくなるような意外な結末に持っていくのが上手い。芦沢さんって短編の名手よね。本筋からは逸れるけどクーラーボックスにこんな使い方があったとは。もし自分が同じ状況になったとしても、とっさに実践できないよ。
◆代償
もしも自分が書いた作品とそっくりの内容がWEBに公開されてたら?
わずか36頁の超短編。作家さんって、自作が他作とかぶってないかドキドキしながら書いてるのかしら?
◆薄着の女
脅された相手の男をホテルの室内で殺してしまった女。密室トリックを思いつくが…
倒叙かつコメディ調のこの感じ、どこかで見たことのあると思ってたら…ワハハ、このオチ大好き
◆立体パズル
息子が遊びにいく約束をしていた友達の母親から、急遽都合が悪くなった旨連絡があった。その家には不穏な噂があり…
うーん。話が込み入り過ぎてわかりにくい。この母親の心理はよく理解できず。
◆待てば無料
わずか14頁の超超短編。この短さで起承転結にまとめる手腕はなんともはや。
「待てば無料」と言われたら?私は待たず(待てず)に違うことをやる派。
◆投了図
将棋好きの夫はなぜ自粛警察まがいの嫌がらせをしたのか?ホワットダニットが氷解する場面がエモくてグっとくる。
コロナ禍からはや4年。思い返すと三密とかソーシャルディスタンスとかPCR検査とか、色々あったなー。もう二度と来ないでおくれパンデミック。
Posted by ブクログ
読み終わったのが6月で、ずっと放置してたんですが。
ここに来て感想を書こうと思ったら、案外すっかり忘れてしまっていたので、後で読み返します。
Posted by ブクログ
日常に潜んでいる怖さを描いた短編集……でいいのかな。
題名にもなっている「あなたが正しくいられたとき」はヒヤリとする(自分もそうじゃないかとかんがえて)怖さがあって、読後もずっと印象に残っている。確かに「自分は正しい」と思い込んでいる人間はいる。私はいい加減な人間なので、何か気後れしてしまうから近づかないのだが。
正しさについてしばらく考えてしまった。
(いくら理由があっても娘を川に落とす母親はさすがにいないだろうから、その点では現実感ゼロだけど、男が好意を持たれてると誤解しやすいところなんかはリアリティあり。)
他の作品はそれほど……という感じ。
トータルでは星3つが妥当と思う。
Posted by ブクログ
イヤミスの短編集。
最初のタイトルの短編、いくら川で溺れて父親が助けるため溺死したからって、その記憶をアップデートさせる為、助かる条件を揃えたからってまた我が子を川にわざと突き落とすかね。
小説としてはさらっと読める。
Posted by ブクログ
表題作をはじめとする6つの短編集。
どれも短く読みやすかった。
読みやすい分あっさりしすぎているというか、物足りなさはあった。
どの話でも人間の心の中にある、黒い部分を描いていると思う。
怪しいと思える行動の裏に隠されている事実を読み解いていくようなストーリー。
「悪」に見えるものも実はその人なりの誠実さから来ているものだったりして、物事の本質って一面からでは分からないということを実感させられる。
「立体パズル」だけは少し納得いかなかった。
殺人犯が住んでいた、というだけで十分引越しの理由になり得るでしょうよ…。
そこにわざわざ見え透いた嘘を重ねる必要はないはずで、こじつけにしか思えなかった。
⭐︎2.5
Posted by ブクログ
一話目の表題作がまずこの作品全体のイメージを作る。単純な正義を拒否する元カノが、自分の目的のために、その信用していない正義を利用する。
「そんなことのために」「そんなことをする」彼女は怖い。ただ、理解し得ない思考だと思う一方で、自分の正義を点ほども疑うことができなかった窪田に対しても、気持ちのどこかが距離を置こうとする。
「そんなことのために」「そんなことをする」女性は「立体パズル」にも登場する。うっすら怖い。
決して幸せな結末ではないが、「投了図」は、未来の才能に託すことで自己を振り返るラストに光がある。「代償」も、望んだ結果ではなかったが、物書きとして生きる道を選ぶ結末に未来を感じる。
なぜか十時警部補のドラマシリーズができているのにちょっと笑った。
文庫ではないのだが、珍しくご本人によるあとがきがある。今作はご本人によるとごった煮のような作品集だそうだ。私としては一話目に強く引っ張られ、そのイメージで読んでいたので、ごった煮という印象ではなかった。野菜の中にチーズが入ろうがヨーグルトが入ろうが、味はまとまっている。
競作アンソロジーがお好きというのは意外だった。作家さんにとっては楽しいことなのかな?
Posted by ブクログ
表題作が1番良かった。表題作が一話目の時あるある。短編集だとは知らずに読み進めて突然終わってしまってびっくりする。結果、1番印象に残る話になる。
Posted by ブクログ
投了図はなんとなく、「盤上の向日葵」の感じがしてよかった。
十時刑事のキャラはなかなかいい。
表題作が、私的にはちょっと。主人公の男性は別に正しさを押し付けてはいない。黒川さんの高校生の時の別れ方やバーベキューの時の行動の方がよっぽど思い込み激しく不気味。主人公の姉もいや。別に間違ったことをしてないよ、弟は。独善的でもないし。
Posted by ブクログ
短編集。
表題作は、良い話かと思いきや最後の2頁で突き落とされるような話だった。
確かに主人公は正しい。人命救助して感謝されるべきだとも思う。自分が正しいと思ったことを実践するのに、まさか他人に不快感や恐怖心を与えていたとは、知る由もないないだろう。私も気をつけねばなと思った。正直、名前に"くん付け"呼ばわりをOKするぐらいは別に良くない?と思うけど…
小説家が力作を書き上げたところ、妻に「ネットに同じような話が載っている」と言われる話(『代償』)は、妻の行動の真の意味を知ったとき愕然とした。てっきり嫉妬しているものと思ったが、でもそれだったらずっと支えてくれていたってのと矛盾するものね。
こういう思いもつかない展開になる話は好き。
他の短編は、いまいち好きになれず…。