【感想・ネタバレ】キメラ 満洲国の肖像 [増補版]のレビュー

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Posted by ブクログ

満洲国について、歴史的な推移やその時代ごとの指導者の考えを考察しながら書かれた本。キメラの名の如く、満洲国が本当に多面的な価値を持った存在だったことを改めて認識できました。

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2021年12月21日

Posted by ブクログ

『満州』という単語を初めて脳裏に納めたのはまだまだ洟垂れ小僧の頃である。
マンガの中でまことちゃんが、
♪ここはお国の何万里ぃ〜離れて遠きまんじゅう〜のぉ〜♪
と歌っていたのをまねていたら、親から『それはまんじゅうじゃなくて満州!』
と窘められたのが切っ掛けである。

以来、学校の歴史の授業で何度も出会う近現代史の項目であるが、この国の成り立ち、位置づけが幾つになってもわからない。
今になっても、面白そうな本と出会うと手に取り理解しようと努めるが、結局いつまで経ってもわからない。
本書もそんな中での一冊である。

冒頭に、
『いったい、なぜ中国東北部に満洲国という国家がこの時期、日本人の主導によって作られなければならなかったのか。その国家形成の過程はいかなるものであり、それに日本人や中国人はどうかかわったのか。また、形成された国家は、いかなる統治構造や国家理念をもち、その実態はどうであったのか。さらに、満洲国と中国と日本との間には、国制や法制、政策や政治思想などにおいていかなる相互交渉が生じていたのか、総じて、その国家としての特性はどこにあり、近代世界史のうえでいかなる位置を占めていたのか、──こうした問題の検討を通して満洲国という国家の肖像を描くこと、それが本書の課題である。』
とある。

その後の結末を知っているモノとしては、この『いったいなぜこの場所にこの時期に日本人主導で作られなければならなかったのか?』ということを知りたいのである。
どう考えても『大陸へのロマン』などと感傷的な理屈で認識すべきモノでは無いと思うのだ。

加えてなぜ植民地ではなく、独立国家として成立させることとなったのか?
そもそも単一民族という認識であっただろう当時の日本が、『民族共和』などという絵空事を本気で考えていたのか?
関東軍という一地域部隊が本土の陸軍中央の指揮権を無視して勝手に動けるということがなぜ起こりえたのか?
切っ掛けを作った石原完爾はなぜ満州の舞台から姿を消すこととなったのか?
戦後日本復興のモデルの先駆けであったとされる官僚たちが満州で手がけた国家経営とはなんだったのか?

総じて、他人の敷地に勝手に入り込んで、余計なお世話で家を作り直して差し上げますよなどという理屈がなぜ国際的にまかり通ると思ったのか?

これらの疑問に多少なりとも本書は答えてくれている。
しかし、やはり『総じて』の問いに対する明確な回答が本書の中にあるのかないのか正直ボクにはわからない。
あの戦前の空気がわからない身には、いくら今の理屈で理解しようとしてもできないモノなのだろうか?
できないとするならば、今後いったい歴史から何を学べるというのだろうか?

と、『満州』というものはまだまだボクにとっては非常に後味が悪くなるテーマなのである。

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2014年10月19日

Posted by ブクログ

日本の国を守るために、他の国を侵略し日本の防波堤にすることを目的として生まれたのが満州国なのである。しかしながら、国際連盟は満州国不承認決議案を採択し、日本は総会から退場し、国際連盟を脱退、太平洋戦争へと突き進んでいくことになったのだ。どのような時代であれ、他国を武力で侵略することは許されることではないと想うのだが、それは理想に過ぎないのであろうか。2013年末、日本は安倍首相の靖国神社参拝によって、国際的に外交上孤立の状況に陥っている。 中国とは一触即発状態に近い。いやな時代になったものだ。

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2013年12月31日

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