あらすじ
御歳94歳。自由闊達な精神のもと、なお旺盛な句作を続けて現代俳句を牽引し、その魅力を全身で発信している俳人・金子兜太。若者にも年寄りにも生きにくい現代を、昨日よりはラクな気持ちで生きられるように、「かくあるべし」と「かくはあるべからず」を柔らかく語って聞かせる。あたかも散文詩集のような口調で語られる、小気味よい人生訓の、とっておきの書。
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Posted by ブクログ
表紙の、この文字です、この文字。
この文字が日本中を駆け巡っているのです。
何だあれは、と、気づいた人も多かったでしょうか、国会前や全国各地の安保法案反対デモのなかにあって、ひときわ鮮烈に目に焼きついて離れない・・・・・
「アベ政治を許さない」
・・・・・という、白地に墨のいたってシンプルな、プラカードというかポスターというか、そのたった九文字のインパクトの強さといったら、連綿と続くシュプレヒコールや、赤ちゃんを抱いたお母さんやヨボヨボ(失礼!)の後期高齢者の方々などの衝撃も、どこかへ吹き飛んでいってしまいそうなほどのものでした。
この文字を書いたのが、なんと俳句界の大御所である重鎮の金子兜太 大先生であったのです。
私は特別な熱狂的な読者ではありませんが、たまたま5冊の著書を読んでいて、NHKの俳句番組で、ほかの俳人とは全然違う、ときにきわめて感性豊かな文学的な、ときに胸のすく辛辣な言動にいたく感動した覚えがあります。密かにお慕い申しておりました。
誰が描いたのかしら、とすぐに調べて判明して、俳句じゃなく文字だけで勝負した御大に大いに共感したのでした。