【感想・ネタバレ】福祉を変える経営 障害者の月給一万円からの脱出のレビュー

あらすじ

お役所頼みで補助金頼りの福祉政策では障害者の幸せは実現できない! いまこそ「もうかる経営」を実践して、障害者が「自分で稼いで生きていける」仕組みを完成すべきだ! 宅急便の生みの親にして、数々の国の規制と戦った小倉昌男元ヤマト運輸会長が、みずからの私財を投入したヤマト福祉財団を率い、福祉の世界の革命に乗り出した。「福祉」の美名のもとに、いっこうに障害者の幸せにつながらない今の福祉政策を徹底的に論破し、自ら考案した焼きたてパン販売事業や製炭事業の伝道で障害者施設のビジネスに経営力をつけさせ、毎年多くのセミナーで福祉関係者に「経営」の真髄を伝授する。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

オススメの一言『売るための努力をしなければ「売れない」』

この本のタイトル、「福祉を変える経営」を見て、福祉は福祉なのだから、それを変えるなんて一体どういう意味だ?と思いませんか。読めば必ず分かるはずです。今の福祉の現状を、これからの福祉の在り方を、福祉を変えていくという意味をこの本を通して考えてみませんか?

 みなさんは障害を持った方たちが、施設にいるのではなく、自立して働いている、又は、働こうと頑張っていることをご存知でしょうか。そもそも自立とは、自分で稼いで、衣食などを充実させることも指すのですが、これを満たすことがいかに大変なことか、しかも障害者ならば尚更大変なことであり、そして、その現状を変えていくことがどれだけ難しいことか、容易に想像がつくでしょう。ここで、著者がどのように福祉の世界を変えていこうと考えたのか少しだけ紹介したいと思います。

 著者は手始めに障害者の就労実態を調べ始めました。そして、「共同作業所」という、障害のある子どもたちに実際に手に職をつけさせ、作業所内でさまざまな事業を行い、お金を稼いでいる就労施設があることを知ります。しかし、その施設の中で驚くべき事実があることを著者は知ります。それは、障害のある方たちは「月給一万円」という激安な給与で働いているという事実です。確かに、その障害者の方たちに任せられている仕事というのは、簡易な下請け作業で小学生にもできるような作業です。だからといってさすがに黙っていることはできません。そこで、この問題を著者は、「経営者」という経験から、障害者の力でも、利益を出していけることがないかを模索します。そこで、利益を出すことで、障害者の「自立」を手助けする、という課題に立ち向かっていくのです。

 また、「障害者の方たちが商品を売る」ということは、健常者の常識は通用しないことばかりなのです。商品を売るために、障害者には何ができるのか、その過程で試行錯誤することがとても重要なのです。そしてそれは私たちの、生活にも置き換えられます。要するに、良い結果を得るには、過程をサボることはありえないということです。私は、この本を読んだことで、より強くそう思うようになり、資格を取るために、基礎から学びなおすこと、部活で良い成績、良いプレーができるように地道に努力するようになりました。本を読むだけでこんなに考えが変わることはもうないかもしれません。みなさんもぜひ読んでみてはいかがでしょうか。(997文字)

(オススメ人:    浦 謙人    

0
2011年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この書籍の著者は小倉昌男さんといい、戦う経営者として有名なのだ。

彼を(間接的だが)知らない日本人はいないだろう。そう、小倉昌男さんは宅急便の生みの親である。

もともとヤマト運輸はそごう百貨店の下請けをやっていた。あんまりにもそごうの要求がキツイので、原価計算してみると宅急便事業を起こした方が儲かると分かり、宅急便事業を日本で初めて軌道に乗せたという天才経営者なのである。

その小倉さん、ある日ヤマト運輸の取締役に「小倉会長、もう経営の一線からはお引きください。役員一同あなたのことが邪魔で、邪魔で仕方がないんです」と言われ、ヤマト運輸の経営の一線から退いた。

その後、自身が持ってたヤマト運輸の株式(小倉さんはオーナー経営者)、とヤマト運輸からの出資で何かやろう!と考えていたところ、ふと障がい者の現状にたいそう立腹したのだ。

なぜなら、障がい者の月収は一万円程度、いわゆる共同作業所に障がい者を集めて、ロクに市場価値もないものを専ら製造していたのを垣間見たからである。

小倉さんは、それを目の当たりとして「許せない!」と激怒されたそうだ。これはそごうの庇護から離れるときにも同じ感情を抱いていたのだ。

彼は「障がい者の自立」という概念を考えた。それは簡単に言うと、働いて、収入を得て生活することである、と定義づけた。

そこで、どうすれば障がい者が自立できるだろうかを考えた時、障がい者に「市場価値の高いもの」を製造させることで実現できるのでは?と思いついたのである。

小倉さんは、「市場価値のあるもの=毎日必要とするもの」とまず考え、パン屋さんを障がい者が健常者のヘルプの下、事業としたらいいのではないか?と思われたそうだ。

そこで、天才経営者の小倉さん、障がい者でも美味しいパンを作れる方法として、広島のパン製造・販売の大手タカギベーカーリーの高木社長に同社の冷凍パン生地の提供を受け、それをパン屋さんで焼くだけという、パン作りの素人で美味くパンを作れる方法によって解決。

またパン屋さんの経営テクニックも考えた。まず、パンの製造過程を顧客に見てもらい、陳列方法も「作り立て」にこだわり、ビニール袋に入れずにトレイにそのまま置くといった方法で、「売れるパン」の作り方を考えた。

また、一部の店舗では喫茶店も併設。ここでもこだわりを見せ、圧倒的な同業他社であるスターバックスに負けないように、航空便でシアトルからコーヒー豆を輸入した。(スターバックスは船便)

この方法で、知的障がい者が健常者のサポートの下、一店舗当たり日収20万円・一日当たり顧客数400人という大成功を収めたのである。

この店舗の称号は「スワンベーカリー」といい、そこで働く障がい者は月収10万円以上収入を得ているそうだ。月収10万円プラス障害者年金で6万円強、障がい者は十分自立できるようになったのだ。

このような障がい者には、私生活でも張りが出てきた。まずはピアノ教室に通ったり、空手道場に通ったり、自分自身に自信がついてきたそうである。

ところがまだまだ難題はある。パン屋さんは田舎ではなかなかペイしない。そこで目をつけたのが、「木炭事業」。木炭のプロフェッショナルに指導を仰ぎ、田舎で樹木を伐採し、木炭にするといった事業を考案したのだ。

木炭は実はかなりの需要のある商品で、一流高級ステーキ屋・焼き鳥屋・うなぎ屋、バーベキューに必須のものである。なぜなら、ガスは水分を含んでおり、その上事故防止のため臭いがつけられており、焼き魚とかの調理に向かない。

そんな時、木炭を使うと焼き魚などはパリッと仕上がるし、電気調理器と比べても火力が高く、非常に魅力ある消費財である。

これをまずは九州は福岡県嘉穂郡頴田町で重度の自閉症の障がい者が入所する「カリスタの家」という厚生施設で、清水建設の請負の下かまどを作り、全国で展開した。

このように、名経営者である小倉さんは、数々の障がい者事業を軌道に乗せ(詳しくは本書を)、障がい者のノーマライゼーションに尽力されたのである。

小倉さんが一番本書で言いたいのは、障がい者が十分自立するための賃金を得て、地域社会と共存できるようにしたいということだ。

本書を読んで、障がい者の皆さん、及び近親者の方々ぜひ小倉さん(故人)の事業に参加して欲しい。以上私からのお願い。

0
2017年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クロネコヤマトの会長が引退後障害者福祉財団で取り組んでいる話。
おしぼりのタオルはやくざが絡んでいることが多い。
月給一万円で働かせているのは搾取。
スワンベーカリーは冷凍生地を焼くのみ。

給料は成果の対価という部分と反するのではないかと思った。

0
2016年02月10日

「ビジネス・経済」ランキング