あらすじ
6つの台所をめぐる「わたし」の物語。
『三千円の使いかた』の著者が贈る、
ちょっぴりほろ苦く、じんわり心に沁みこむ「暮らし」をめぐる物語。
◇◇◇
2人の子供が巣立ち、定年を迎えた夫は長年望んでいた仕事のため海外へ。広い家にひとり残された主婦は、15年前、越してきた日に購入を諦めたステンレス製の両開き大型冷蔵庫を迎え入れるべく、家電量販店を目指す。今度こそ、自分が本当に欲しい冷蔵庫を手に入れるため……。(ままならないキッチン、ままならない人生)
昔から「内藤」と「鈴木」姓の人間しか住まず、たがいに反目し合い、口すら利かない風習の島に嫁いだ女性を待ち受けていた運命は?(冷凍庫冷蔵庫合わせて五台)
食べ盛りで生意気な4人の子供を育てるシングルマザーの台所には、常に油をなみなみ張った中華鍋が鎮座している。(毎日、揚げ物)
……世代も境遇もバラバラの5人の女性たちの前には、30分の深夜ドラマ「台所のあるところ」があった。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
作家はなぜこんなに多様な人生を描けるのか。
原田ひ香さんが描く女性たちの、与えられた運命の中でよりよい道を探して生きていく姿。
ままならない現実があっても、ちゃんと日々の生活を営んでいく彼女たちに救われるような読書だった。
Posted by ブクログ
原田ひ香さんお得意とするユーモアとウィットにとんだ面白おかしい作品と言っても過言ではないと思いました。『台所のあるところ』のドラマのからみが絶妙でした。5つのお話はどれも読み応え充分であり、特におもしろかったのは「冷凍庫冷蔵庫合わせて五台」の「内藤」と「鈴木」のエピソードはなるほどと納得してしまう深い意味が読み取れました。あなたもぜひ読んでこの抱腹絶倒ユーモアにとんだお話をじっくり読んで見て下さい。
Posted by ブクログ
両開きの大型冷蔵庫に憧れたり、糖質を気にしてみたり、地域の古き慣習に嫌気がさしたり、子育てに翻弄したり、働き方に悩んだり、、、
時の流れに身を任せるって、けっこう大事なことだなと、この本を読んであらためて思った。
ふっと肩の力が抜けているときに転機って訪れがち。
Posted by ブクログ
「台所」の文字に惹かれて手に取りました。
とても優しくて温かみの感じられる装画にも心が惹きつけられました。
きっと、多分、心が和まされる物語なのだろうな…と思っていましたが、少し違ったようです。
物語は深夜の30分ドラマ『台所のあるところ』で繋がる6つの作品。そして、それぞれの女性たちと台所の色んな事情が描かれていました。
ままならない現状に悩み、考え、疲れたりしました。
どうしたらここから抜け出せるのか。
このモヤモヤをどうしたらなくすことができるのか。
みんな一生懸命に考えていました。
そして、今の自分に一番相応しいと思えることを選んでいました。
時間はかかっても良いので、そのような選択が出来ることはとても素敵なことだなと思いました。
Posted by ブクログ
様々な環境・年齢の女性達の生きる姿。
各々が抱えている人生が綴られている。
色々あっても皆それなりに生きている。
前向きだったり、輝いていたり、光の照らされている時ばかりでない…なんとなく日々に…時間に流されて生きている…そんな事の方が案外多かったりする。
その中に自分の居場所を見つけて?探しながら?なんならやっぱり流されながら?とにかく生きている!
「生きている!」それでいんじゃない!
と、なんとなく思わされた小説。
そのくらいのゆるさが気が楽!
Posted by ブクログ
大好きな井田千秋さんが描いている表紙に惹かれ、手に取りました。
『台所のあるところ』という深夜のテレビドラマで繋がりのある六人の女性の物語。表紙のイメージから、ほっこりした内容かと思いきや、現代の女性が抱える悩みが描かれていて、少し苦しくなるところもありました。特に『毎日、揚げもの』は、シンママの大変さが描かれており、たとえ自分の子どもでも、気が合わないことがあるということ、だからといって愛していないということとは違うことをリアルに描いているなぁと感じました。『冷凍庫冷蔵庫合わせて五台』は、ややミステリーやホラー要素も感じ、ゾクゾクとした恐さを感じました。原田ひ香さんの作品は初めて読みましたが、とても読みやすくて面白かったです。
Posted by ブクログ
5人の女性のそれぞれの台所、それぞれの人生が描かれている連作短編集。皆が30分の深夜ドラマ『台所のあるところ』を視聴しており、そのドラマについてSNSに投稿する緩やかな時間の繋がりがあります。
それぞれの女性の台所とその生き方が、自分と重なるものもそうでないものも含めて深く感じ入りました。台所で食事を作って食べること、それがたとえ丁寧なメニューでなくても生きることそのものであると感じます。今まで言葉にならなかったようなことが言語化されているのを感じ、著者の緻密さと筆力に感動する作品です。