【感想・ネタバレ】夢見る言葉のレビュー

あらすじ

手話通訳士・荒井尚人は、NPO法人「フェロウシップ」からの依頼を受けて訪れた障害者作業所で、盲ろう者の通訳の現場に立ち会う。 人と人との接触が制限されたコロナ禍、視覚と聴覚の両方に障害を持つ彼らのコミュニケーションの場が失われていたことに気づき、 尚人はその境遇に愕然とする。一方、長女・ 美和は、猛勉強の末に幼馴染みの漆原英知とともに、埼玉県内の私立の進学校に進む。部活に力を注ぎながら進路と英知との関係に悩む日々。そして妹の瞳美は、日本手話での授業が実施されている公立の特別支援学校に通い始めた。母親のみゆきも刑事として忙しい日々を送る。そんなある日、瞳美の通う特別支援学校で、大事件が巻き起こり、前代未聞の裁判に荒井家は巻き込まれてゆく──。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ堂々の完結編。

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Posted by ブクログ

ろう者が置かれている厳しい状況を、夫婦のすれ違いや互いの仕事との向き合い方、家族の問題や聾学校における子供たちの言語の問題など、ろう者と関わる事なく育った者として考えさせられる小説だった。
スッキリと終わらない物語も、ろう者にまつわる問題の複雑さを表しているようだった。

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2026年06月29日

Posted by ブクログ

『デフ・ヴォイス』シリーズ完結編

このシリーズを読み始めた時、自分は健聴者だったが6年前に進行性難聴を発症し、今は中等度難聴者で補聴器を装着している。
手話教室にも2年ほど通ったので、この表紙絵の手話が「家族」を表していることもすぐに分かり、今回は荒井の家族の話なのだろうと思った。

一つの家族の中に、健聴者・コーダ・聾者が存在する。
聾である瞳美の母みゆきは健聴者であまり手話が得意でない。父親の荒井はコーダで手話も口話も同じように使いこなす。みゆきの連れ子である美和は幼少期から荒井に手話を習っていたので堪能だ。
それだけでも、コミニュケーションの取り方に違いが出るだろうし、互いの理解の度合いも変わってくるだろう。

完結編では、美和の私立高校進学によって瞳美の進学先を公立の聾教育を行う小学校に選んだが、教員や校長の異動により問題が生じる。
それがきっかけとなって、家族の歯車が見えないところでズレ始める...
聾者の公教育の平等性についても、その問題の大きさが分かる。自分たちの教育を自分たちで選ぶことができないのはおかしい...マジョリティに投げかけられた大きな問い。

完結編だからと言って、収まりよくまとめられていないのが本当に良かった。
家族一人一人を取り巻く問題が解決したわけではないが、ひとまず保留したり、どこかで折り合いをつけていく姿がリアルで読み手を引き込む。

冒頭に書いたように、現在私は中等度難聴だ。でも障害者認定は受けていない。
日本の難聴者の障害者認定基準はとてもハードルが高く、中等度難聴では健聴者とみなされる(補聴器がなければ、間近で聞かない限り殆ど何を言っているか聞き取れないが)。
たとえ認定されても補助は制限が多い。補聴器も性能の良いものは補助対象外となることが多く、私の知り合いの難聴者も補聴器は高額だから片耳だけという人も多い。

聾者は聾者のコミュニティがあり、健聴者はマジョリティなので言わずもがな。
中途失聴・難聴者は発症した時期により、手話の習得度合いも違うし、コミュニティを見つけにくい。
また自分だけ手話を覚えても、家族が覚えていなければ、家族間のコミュニケーションも難しく孤独になりがちだ。
そんな人々の話も書いてほしい...。

美和と英知、荒井家のその後も気になるので、著者丸山さんも触れていますが、是非スピンオフを!

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2026年06月28日

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