あらすじ
『罪の声』『存在のすべてを』――エンタメの最前線を走る著者の出発点。
笑いと涙と秘めたる思いがつまった、すべて単行本未収録の文庫オリジナル!
彼らが自分よりうんと大人であることを思い知った――「小さい上司」
人生の天秤は必ず未来へ傾く――「鈍い火」
でも私は未だ、仮縫いの分際なのだ――「仮縫い」
もの書き目指すんやったら、常に人の胸の内に答えを求めろ――「起点」
いつでも、ここから、名著に会える
この面白さで550円! STORY IN POCKET
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
レビューとして問題があると思うで、ネタばれにしています。
その問題は、自分の感性の問題なのか、はじめて合わない作家に触れたのかが、まだ検討がつきません。
まず、四作のうち、「仮縫い」以外は読みました
小さい上司は、読み出した時には、カネ使っちゃったよ、という後悔を少し抱きながら、読み終えるとキレイなカタルシスがあり、カネ払わなきゃ読み切れなかったから、買って良かったなぁと思えました、面白かったんですよ
鈍い火も面白かったです ちょっと生理的に苦手な感じのする主人公のおかげで、作品へ意識を注げて、ああ面白い短編だったなぁと有料の水準の小説を読んだ快感がありました
その次に、「仮縫い」を読もうとしたのですが、上の世代の人の同世代や先輩後輩に対する、越えてはいけない他人の敷地の垣根を思わせる意識の壁を取り払ってしまった世代なので、私の感性から来る造語ですが、ねめじい他者への視線や思いへ共感できそうになくて、カタルシスを拾えそうにないので、写真の出てきたあたりで止めました、もう少し人生経験を積めれば、楽しめると思います。
そして、問題なのが、「起点」です
この8pの短編が、私に、はじめての小説体験をもたらしました、読んでいて、「これではいけませんよ」って誰か編集者とか言ってくれなかったのかと疑問を抱いて読みました
それでもレビューで星を五つにしたのは、小さい上司と鈍い火が面白いからで、一度に、同時に「小さい上司」「鈍い火」「起点」「仮縫い」を並行しながら読むことなんて出来ないので、点数を平均化する意味はなくて、星五つだって言える作品が一つでも入っているなら、それは星五つで良いと思っています
それで、「起点」を読んだこの感覚って何だろうと感じたことを振り返っていました、つまらなくてはありません、つまらないは、何の感情や興奮を抱かせなくとも、見続けさせる読み続けさせる人目を引く質がある、という価値だと思っています、けれども、ただ読んだ感覚が無いような、手触りのない感じだけ残っています、それはストレスを強く感じている時に、ファストフードを食べて、ただただ温かいとしか味わえないような感じがします
そして、困ったことに、書き手の情念のような意志を感じた作品が、この短編の他の2作と比べると、「起点」が一番に強かったのです、それはSNSで男はカス女はクソと異性をけなして、決して異性を認めない強い意志のような硬さを感じました
だから、奥付を見て、新聞で発表された作品だと知り、それが、自分の感性の起源を探るためのヒントとなると思い、作品が世に出た経緯を想像をしました
まず、短編集として、三作品で179pより、四作品で189pの方が、満足感が高そうです、それで収録されていることに納得はいきました
では、どうして新聞は、「起点」を載せようとしたのかと考えました
ここから、いよいよ困っていきました
多くの名作があり、SF作品の中で培われた近未来の描写が、先例として活用されていないのはなぜだろう、たぶん短い文章で、まして広く新聞で読んでもらうには、インチキなSFの文章は、いつもの新聞を読む時には、相手にもされないでしょう
次に、どうして「起点」の中身が出来上がったのかと考えました
新聞社に、こういうの書いてと発注されたのか、喫茶店で話していて、盛り上がった内容をこれでいきますって書いたのか
つまり、「拙さ」を感じてしまう部分が、そのまま出ていることへの違和感がスゴイ強かったのですよ
じゃあ、あえて「拙さ」を出した小説もあるという話を聞いたことがあります、その目的は何でだろうと、困ったことに、考えてばかりになっていました
つきはなして考えれば、SNSは素人ばかりで、カネをもらって書いているプロの文章ほど内容も文章も練らないバズりの勢いに任せたフェイクニュースと誹謗中傷と呼ぶには中身のない罵詈雑言で、新聞は凄いんだよ、なんでかって、会って取材してっから、って内容なのかなぁと考えもしたのですが、それでは、「拙さ」を感じてしまう自分の感性と矛盾します
むしろ、新聞の取材なんて、テレビも一括りのオールドメディアで「起点」の内容を恥ずかしげもなく、事件の当事者が自分で発信できる令和になっているのに、取材してってから、なんて胸を張っても、拙いことしか出来ていない、という内容を、「拙さ」を強調することで、新聞への慇懃無礼な文章を載せさせる、という目的なのかとも考えましたが、そこまで、ろくでもない作家ではないでしょう。
だから、尚更、困ってしまっていて、その困っていることを記録するために、このレビューを書きました。
いつか、自分の感性が整えられればなぁと思いました