【感想・ネタバレ】会社で働くとなぜ幸せになれないのか 奪われる〈人生の時間〉のレビュー

あらすじ

働いて働いて働いて…
それであなたの人生は幸せですか──?

「お金」か「やりがい」か、あるいは「成長」か。

会社で働くことは人生の損失であり、会社員でいることは割に合わない。コロナ禍を機に、多くの人たちがそう考えるようになった。日本では近年「退職代行」が横行し、アメリカでは「大退職時代」と呼ばれる地殻変動が生じている。「ふつうに働く」という常識は崩壊し、会社で働くことは「ばかばかしい」と考える人が増えている。

なぜ、このような変化が世界的に生じているのか? 職工、会社人間、就職氷河期世代、ブラック企業、PEW…。会社員の歴史をたどることを通して、「働くこと」と「生きること」の関係を問いなおす。『ブラック企業』著者による新境地。

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Posted by ブクログ

【雇用労働の終焉】
ー苦労が報われないことはしないー

「映画を倍速で見て結果を知ってから良かったら再度見直す」という行動は、映画のように長時間拘束されくだらない映画であれば「報われない」、この報われないという結果を避けるために事前に知っておきたいという行動の現われです。
若い人は特に、会社も同じで「会社に拘束され給料を得る」ことと「拘束されることで奪われる自由」を比べた場合、割に合わないと感じ始めているといえます。


ー幸せ度ー

人それぞれ感じ方が異なるので、「幸せ度」を正確に測ることはできませんが、わたしの考えでは、幸せは自由度(決定権)の大きさで決まると思っています。
会社に務めると自分がやりたくない仕事でも行わなければなりません。基本的に上司の命令には絶対で逆らうことはできません。あるいは「社会人として当然やらなければならない」という状態に追い込まれます。
好きでもない仕事をやらなければならない状態に追い込まれる。これほどの精神的苦痛はありません。
幸せ度だけを考えると、雇われて働くことは自由度がなく決定権がないので、幸せ度は低くなります。安定した収入を除けば、フリーランスの方が幸せ度は高くなります。


ー効果的に搾取する方法ー

会社で働くと不思議なことがわかります。
資本家側と労働者側では利害が相反します。ざっくりとした言い方をすると資本家側にとって労働者は利益を生み出すが、コストでもあります。できるだけ少人数で最大限に利益を出してもらう方が都合がいい。給料は固定費で決まっているので、できるだけ利益をあげ、コストを下げてくれる方が資本家側は儲かります。そして、その効率的運営方法は資本家側が提供することになります。

しかし、現在は無駄を省き、標準化、高効率化、省労働力化を労働側が自ら考えて実行するように仕向けられています。
つまり、いかに効率よく搾取されるかを自ら考え、積極的に進んで実行することが正しいとされる状態。
労働者は自分で自分の首を絞めているようなものです。

会社側の言い方もうまく、
「会社がつぶれると給料がなくなるので、あなた方は生活ができなくなる。それは困るでしょ。会社が利益を出せるようにいっしょけんめい働くことが、最終的にはあなた方の生活を支えることになる。永続的に会社が利益をあげるためには無駄を省き、生産性を高める必要があるのです」

この言葉に騙されて、労働者は自らより多く搾取される方法を考えさせられ、目標管理などに盛り込まれ、評価の対象として管理されています。
これらは本来、経営(資本家)側が考えることです。


ー日本の生産性の低さー

これは頭のよくない経営(資本家)者が淘汰されずにのさばっていることが原因です。
政治家にとって中小企業は大きな票田で、日本の99.7%が中小企業です。政治家は中小企業を保護する策を講じています。そのため、本来つぶれてもおかしくないレベルの生産性の会社でもつぶれず生き残っています。しかも、会計上はほぼ利益がないので税金も納めていません。
言い方が悪いかもしれませんが、無能な経営(資本家)者が多すぎるため生産性が低いままとなっています。


ー資本家の成長率の方が上ー

資本の増加率と経済成長率を比較した場合、資本の増加率の方が上回っています。
いっしょうけんめい労働する人より働かない資本家の方が成長しています。さらに、その差は年々広がっています。
上位1%の富裕層の資産が残り99%の資産より多いという状態です。
ルールを知らずに吸い取られるだけ吸い取られ、ますます富の差が広がっています。


ー株価だけがあがる違和感ー

物価が高騰し給料上昇は物価高に追いつかず、実質目減りしており生活は苦しくなっているにもかかわらず、株価だけは上昇を続けている不思議。

これは不思議でもなんでもなく、資本家が労働者側から効率的に利益を吸い取り、ますます富を膨らましている証拠です。
労働者側としては労働組合をもっと強くして給料をあげることだと思いますが、もっとも簡単な対処方法は株を持つことです。小額でも資本家側へ立ちまわることが最適解となります。

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても面白かったし読みやすかった。労働の歴史や事例が多く載っており、参考文献もきちんと書いてあったため信頼性に足りていた。読後、絶望を感じる人が多いのではないか、働くことや会社に属して生きることは基本的に逃れられない事実だからだ。著者が最後に希望として書いていた「起業」や「NPO」などは大多数の人の代替選択肢にはなりづらい。現在お金に余裕があったり、実家から何かあった際に経済的支援を受けれる見込みがあったり、現在若くて家庭を持っていなかったり。そのような人くらいしかチャレンジできないと思う。そして、著者は少し物事を大きく見すぎている部分もあるように感じた。これは左派や反資本主義の人の特徴でもあるといえるが、「資本家vs労働者」「1%vs99%」のように。でも実際は、そこにはグラデーションがあり、資本家(富裕層)に対する政策面(政治による優遇措置など)での問題も存在したり、そんな簡単に二項対立で批判の対象にできるものでもないと思う。今日の労働環境や企業風土は過去に比べたら、賃金UPやハラスメント対策、CSR等の面でもかなり努力していると感じる、それは会社に就職して会社の中から見てみた感想として。
やはり、私の中での仕事に対する解決策を出すとすれば2つあるといえる。1つ目は、本書の最後の部分でもあったように「自分自身のコミットメントにもとづいて仕事を追求する生(p.235)」「私たちが会社のためにではなく、自分自身の自由な意思に従って働くのならば、他人のために労働することは、それ自体が『自由の表現』へと転化する(p.236)」ということだ。”会社のために”とか”やらされている”という捉え方を持たずとも、”私の中で私の自由意思に基づいて今働いている”という感覚を持つことができることが理想と考える。そのために、私が人生を通じて何をしたいのか、どういう人間になりたいのか、これらをきちんと考える必要があるし、自分自身に向き合いたい。2つ目は、制度整備である。現行の労働法は36協定などで残業規制にどれほど歯止めがかけられているのだろうか、そもそも週5日8時間の基準は見直してもいいのではないか。歴史を見るとこれらの部分は社会的合意と政治や行政の動きがあれば変えられるだろう。私はやはりこれらの基準は人間が人間らしく生きていくうえで見合っていない数字だと感じる。

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2026年05月17日

Posted by ブクログ

会社を辞めて、独立をしようとしている個人的な立場から、とても有益な本だった。労働の歴史、労働者の権利の変化、従来の資本主義経済の終焉、AIの進化、今は働き方に対して大きな転換期を迎えていると感じる。
今後も日本的な会社は存続不可能だろうなーと思うけど、今もまだ従来の価値観に縛られて生きている人がごまんといる。キャッチーなタイトルだし、多くの日本の労働者たちに届けば良いと思う。

同時に、個人的な話だけど、私自身はホワイト大企業に就職でき、無能の新卒からOJTで育てていただき、株価上昇の波にも乗れ、とても運が良かったからこの立場でものが言えることも理解していて、日本企業に対して感謝の気持ちも大きい。
本書の締めにもあった通り、今後雇われなくてもやっていける人々は、NPO団体の設立やエッセンシャルワーカーたちへの支援など、社会貢献を考えていく必要があると思う。他者貢献にこそ働くことの本質があると教えてもらった。

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2026年05月04日

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