あらすじ
不況とリストラ。死に急ぐ中高年、そして子どもたち。若者の暴力衝動の高まり、児童虐待……。圧倒的な閉塞感と無力感に覆われた現代。こんな時代に、それでも意味と希望を見失わずに生きていくことはできるのか? もし可能だとすれば、その条件は何なのか?千葉大学助教授を務めるほか、子どもや母親たちへのカウンセリング、悩める教師たちのサポート活動など、幅広い活動を展開する著者は、自称「時代と闘うカウンセラー」である。「個を越えたつながり=個が生きるつながり」を基本コンセプトとし、「人生で起こることは、どんなことにも意味がある」というトランスパーソナル心理学のエッセンスを9つのヒントにまとめて解説する。愛と憎しみ、喜びと悲しみ、歓喜と絶望など、内なるすべてのメッセージに耳を傾けること、そして深く自己肯定して生きるための「私を越えた視点」を育むことを熱く語りかける一冊である。
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Posted by ブクログ
『POP(プロセス指向心理学)のセラピィの実際は、どこか " 美しく ” " 軽やか " です。』とある。 最初は似つかわしくない表現だと想ったが。
しかし、エクササイズ(ワーク)を実践したわたしの感想は、” 美しく、温かい " だった。 自分自身を肯定する言葉が出てき、優しい気持ちになった。 それは、嬉しい驚きだった。
わかりやすい具体例が数多く登場する。 それを読んだ後のエクササイズなので、カウンセラーがいずとも、迷いなく自分ひとりで行える。
具体例をひとつ。
『ひどい" 喉の痛み " に慢性的に苦しめられていたある女性』の場合。
彼女は、喉の痛み、その感覚をていねいに、ていねいに、かんじていると・・・(エクササイズを続ける)・・・彼女から出てきた言葉は、「あなた(彼女自身のこと)は、あまりにもお人好しで、やさしすぎる。まわりの目を気にしてビクビクしていないで、もっとハッキリ自分の意見を言いなさい!」
彼女の " 喉の痛み " は、" もっと自己主張するように " というメッセージを彼女に送るために、からだの症状として現れてきていたのです。』
嫌な仕事、苦手な上司、肩こり、腰痛、がん、買い物依存症、アルコール中毒など、多岐にわたる悩みごとを通して、気づき学びを得ていく。
それらは、『意味ある出来事』なのである。
アプローチの異なる本たちから、わたしなりに学びましたが、やはり諸富祥彦さんの著書はしっくりきます。 一周まわって帰ってきた、そんな感じです。
Posted by ブクログ
「個」の重要性を認めながら、「個」を超えた境地をめざすトランスパーソナル心理学。釈迦の教え(=仏教ではなく)のように、実在より関係性の中に真理を探る。
外国のさまざまな心理学者・カウンセラーの主張の概説にもなっている。何度も読み直したくなる。
Posted by ブクログ
本のタイトルは重た~い感じだけれど、どうにかならんのかねぇ。
しかぁ~し
専門用語も一般の人向けに分かりやすく解説しているので、トランスパーソナル心理学の導入にも良い内容。
概要を目次から抜粋すると・・・
・逆境こそが学びのチャンス
・全ての出来事はつながっている
・この世のどこかにあなたを必要とする〝何か」があり〝誰か〟がいる。
・答えは既に与えられている
・いのちの働きに目覚める
・宇宙に人間が生まれたことの意味
・内なる〝よくない感情〟を認めてあげる
・〝問題や悩みのタネの気持ち」になってみる
・〝困った人〟は私たち自身の一部・人間関係のトラブルは〝もう一人の自分〟の仕業
・〝病気や症状の言い分〟に耳を傾ける
・昏睡/植物状態にある人への心理学的な働きかけ・
昏睡状態にある人への心理学的な働きかけをする「コーマワーク」。昏睡状態にあっても生死の選択は本人に委ねられており、死にゆく人は心の支えを求めているという。・・・仏教でも臨終間際の心の状態の重要性を説明しており、共通しているので、とても考えさせられる。
「見えない次元」に対するアプローチ方法を「因果論的アプローチ」と「目的論的現象学的アプローチ」という言葉で解説しており、日頃なんとなく感じていた思考方法の違いをきちんと言葉にできたことは良かった。
●この人生で起きる全ての出来事はつながっていて、そのつながりには、単なる偶然ではない意味がある。この人生で起きる全ての出来事は私たちに対する〝呼びかけの声〟である。
●宇宙には〝自己進化の力〟が働いている。そして人間は、自らが宇宙の自己進化の働きの一部であることを自覚しつつ、その使命を果たすことのできる唯一の存在。
●万物の本体はこの永遠の〝いのちの働き〟、すべてが具体的な〝形〟をとる以前の〝働きそのもの〟、〝見えない次元の働き〟〝宇宙そのものと言ってもいい働きそれ自体〟なのであって、この次元、この相に着目すれば宇宙の万物は分離不可能。すべてはひとつである。
●問題や悩みは、人生のプロセスが必要だから運んできてくれた〝意味のある出来事〟。そうでもしなくては気づくことのできない人生の大切なメッセージを運んできてくれる。
重た~いけれど本質に迫る内容。
Posted by ブクログ
著者曰く、トランスパーソナル心理学とは“個を越えたつながり”を説く心理学。人生でおきる様々な出来事、あらゆる生きとし生けるもの、母なる大地と大自然、宇宙…すべてはつながっているという観点から、生きるヒントが書かれています。この本に書かれていることを実践するなら、本当に生きていくのが楽になると思います。
Posted by ブクログ
諸富先生のワークでお話されていたことがふんだんに盛り込まれていた。
ワークをしてから読んだのは正解だった。
本を読んでからワークをすると、きっと先入観が入って、素直にワークが出来なかったかもしれない。
Posted by ブクログ
死にゆく人へのワーク、コーマワークが興味深かったです。
昏睡状態に陥った祖父母の最期を見守った身として、腑に落ちる思いがしました。
ある人の声かけをきっかけに、安らかに旅立ったように見えた祖父。
周囲の声かけに、限界まで頑張り抜いて旅立ったように見えた祖母。
おそらく祖父母には、言葉も心も伝わっていたのでしょう。
この本から学んだのは、生きている限り、人はいろんな形で意思の表出をしているということ。
要はそれに気付けるか、否か。
どうか、気付ける私であれますように。
Posted by ブクログ
題名の重たさに興味がわき購入。
この本には、人が「なんのために生きるのか」について、もっともらしいことが書かれている。
中でも、「〜したい」ではなく、「〜すべき」と自分を義務付けることで、生きる意味を見出していくという点の論理は興味深かった。
この本はトランスパーソナル心理学という心理学をもとに書かれているらしい。少し宗教的な部分もあるように感じたので、あんまのめりこみすぎる、鵜呑みにすることはオススメできない。が、今までにない考えだったので、さらっと読んでみるのもいいかもしれない。
Posted by ブクログ
これは人の捉え方にすごく左右されるもの。
一部手法が悪い人に悪用されているものあり
それを鵜呑みにしろ、というのはちょっと辛いかもしれません。
ただし、人の根底にある闇の部分というのは
私たちには思ってもみない部分にそのカギを解く答えがあるのではないか、とは感じています。
現実に抑圧されすぎというのも大変考え物で
それが消えた結果に悩まされていた症状をも消えてしまうというすごいケースも存在します。
本当、人というものは不思議なものだと
思わされる1冊です。
Posted by ブクログ
宗教を信仰していないので、この「トランスパーソナル心理学」で度々登場するスピリチャルな表現は取っつきにくい部分があったが、その独特の視点はとても勉強になった。
高校3年生の時、心理学部を目指すことに決めた際、読み漁った新書の一つであり、心に残った一冊。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
不況とリストラ。
死に急ぐ中高年、そして子どもたち。
若者の暴力衝動の高まり、児童虐待…。
圧倒的な閉塞感と無力感に覆われた現代。
こんな時代に、それでも意味と希望を見失わずに生きていくことはできるのか?
本書で著者は「人生で起こることは、どんなことにも意味がある」というトランスパーソナル心理学の考え方を紹介。
愛と憎しみ、喜びと悲しみ、歓喜と絶望など、内なるすべてのメッセージに耳を傾け、深く自己肯定して生きるための“私を越えた視点”を育むことを熱く語りかける。
[ 目次 ]
プロローグ こんな時代をそれでも前向きに生きていくために
第1部 生きる意味を見出す(どんな時も、人生には意味がある―ヴィクトール・フランクル“逆境の心理学”;人間の生死の意味は宇宙の自己進化の流れの中にある―ケン・ウイルバー“進化する宇宙=コスモス”の物語)
第2部 自分の弱さと向き合う(弱音を吐き、助けを求めるのも、一つの生きる“能力”である―カウンセリングの神様、カール・ロジャーズの生き方に学ぶ;弱い私。ぐずな私。どんな“私”も大切な私―フォーカシング流“うちなる自分とのつきあい方”)
第3部 人生の闇の声を聞く(悩みや問題は人生の大切なメッセージ―アーノルド・ミンデルのプロセス指向心理学・その1;人間関係のトラブルは“もう一人の自分”の仕業―アーノルド・ミンデルのプロセス指向心理学・その2;“病気の気持ち”“症状の言い分”に耳を傾ける―アーノルド・ミンデルのプロセス指向心理学・その3)
第4部 死を見つめる(昏睡状態は、人生をまっとうする最後のチャンス―アーノルド・ミンデルのコーマワーク;この世での宿題をぜんぶすませたら、私たちはからだを脱ぎ捨てる―E・キューブラ・ロスの死の看取りに学ぶ)
終 “見えない次元”への二つのアプローチ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
フランクル,ウィルバー,ロジャーズ,ジェンドリン,ミンデル,そしてキューブラ・ロス。この面子を並置できるのは諸富さんならではという感じでしょうか。最低でもウィルバーとロスは普通外すわなw
実を言うと,諸富さんの本は昔はあんまり好きじゃなかったんですよね。僕自身はガリガリの理論家というかウィルバーマニアだったから。体系に戯れるのが楽しくて,あんまり臨床にも興味なかったし。今読んでも,やっぱり臨床の人だなぁとは思うのだけれど,それゆえの意味というか強さも感じる。この本は千葉大時代のものですが,明治に移ってからも精力的に本を書いていて,こういう人がこの分野にいてくれることの意義は大きいなぁと改めて思います。
人間性心理学とトランスパーソナル心理学をひとつとして捉える立場の是非は,今後もう少し検討したい課題です。
Posted by ブクログ
わかりやすく、親切に書いたんだと思うけど
なんかちょっと説明がくどいかなぁっていう印象。
トランスパーソナル心理学では
人生における物事はすべて向こう側からやってくるもので
最初からそうなることが決まっているから、
辛いことや困難なことがあっても
そこにある意味、メッセージを理解するようにしなさい、
それを成長の糧にしなさい、
というもの。(だと思う)
どういうものなのか少し把握したけど
これじゃあ人生を生きるベースがそもそも受動的で
いくら能動的に動いたとしても
その受動的基盤の上での行動にすぎないと思えてしまう。
私にとっての人生は多分そんなものではないと思う。
だから、なんか違うと思った。
何か壁にぶち当たった時に、
それを乗り越えて強くなろうっていう考えは大切だと思うけどね。
でも、共感できる部分、なるほどそうかと思った箇所も
もちろんありました。
いわゆるポジティブシンキングでは、ダメな部分よりも
自分のいいところをみて前を向いたり元気を出す。
でも、ダメな部分から目をそらして元気になっても
後でかえって自己否定的になりやすいらしい。
前向きできらきらのイメージはきわめて脆いもので
何かショックなことがあるとすぐに崩れてしまうから。
うん、確かに。
逃げずに、向き合うことは重要だね!