【感想・ネタバレ】入門 記号論 ――自然と文化を読み解くのレビュー

あらすじ

出色の講義・全15講
世界のすべては〈記号〉である

自然(自然科学)も文化(人文科学)も、記号論をつかえば、あらゆる事象を横断的に捉えることができるようになる。いちから深く学べる入門書。

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記号論とは、私たちの身の回りの事象を横断的に捉えようとする分析手法である。対立する概念のように扱われがちな〈自然科学=自然〉も〈人文科学=文化〉も、この手法によって統一的に読み解くことができる。本書は、その分析の基本を網羅した明快な入門書である。記号の根幹にある「ことば/意味」から発して、ことば以外で「ことばらしいもの」としてのイメージ・絵画、衣食住・広告宣伝、動植物の「ことば」、生命体の遺伝情報に至るまで、記号論を用いた読解を豊富な事例をつかって見ていく。全15講でわかりやすく手ほどきする一冊。
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Posted by ブクログ

言語・芸術・行動・生物など、さまざまな分野を「記号」という観点から眺めることで「記号論ってこんな分野なんだ〜」というのがなんとなくわかる。

1冊目としてかなり読みやすく、おすすめできる。内容は実に幅広いので、次は特定の項目だけに絞った本を読んでみたい。

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2026年05月16日

Posted by ブクログ

「記号論」と言えば、大学で現代思想を勉強するときに必ず通る道で、自分も学生時代に散々勉強したつもりだった。ただ、今回、現代思想を学びたいという高校生に向けて授業を作るのに、改めて学び直したいと思い、家の本棚を漁ったのだが、「記号論」を主題に扱った本が、家には一冊もなかったことに気がついた。
考えてみると、「記号論」は、あまりに様々なのちの思想の前提になっているがために、「記号論」そのものをメインに扱った本を読まなくとも、周辺情報を学んでいるうちに知ることが多い。そのため、自分は、構造主義以降の思想家を勉強していくなかで、自然と身についたもの周辺知識で、「記号論」を勉強した気になっていたのだった。それはそれで、理論の学び方として特に間違っているわけでもないのだが、学び直しにあたって、「記号論」あるいは「記号学」そのものを網羅的、体系的に扱った本を読んでみたく、この本を買ってみたというところである。

周辺情報から「記号論」を学んだ身からして、割と印象的であったのは、4章の「記号の諸相(1):〈有契性〉と〈無契性〉」のくだりだったように思う。自分の理解では、「記号(シーニュ)」というのは、「シニフィアン(記号表現)」と「シニフィエ(記号内容)」から成っていて、両者の結びつきには、なんら意味のない「恣意性」の原理が働いているというのが、一般的な説明だったと思う。実際、この本の中でも、その一般的な理解は変わらないのであるが、「記号」を専門的に扱うがために、「シニフィアン」と「シニフィエ」との結びつきの関連性の度合いを問題にする。より二つの関連性が高ければ「有契的」だと言え、逆に低ければ「無契的」だと言える。
加えて、その関連性のあり方は、「類似性」と「近接性」から捉えることができるのだという。このあたりは、自分としては、「記号論」として学んだというよりも、「比喩論」について「メタファー」やそれ以外の比喩を勉強する中で学んだ類型の観点だったように思われる。
そして、それぞれの記号を「類似性」と「近接性」の観点から見ていくと、記号は、「類像記号」、「指標記号」、「象徴記号」といった分類をすることができるというのが、章のまとめになる。なんとなく、「象形文字」やら「指示文字」やらの、漢字の成り立ちを想起する分類だが、漢字も典型的な「記号」である以上、その類型が似てくることは、必然だとも言える。

ここまでの感想をまとめると、自分が思っていた以上に、「記号論」は、「記号」についての論だったということである。どうしても「記号論」を思想的に応用した後世の現代思想を学んでいると、記号の恣意性や否定的定義性といった抽象度の高い、「記号的な」現象の理解が中心になってくる。ただ、この本のように様々な現象を記号として具体的に分析していくことをしていくと、日常で体感的に感じる記号理解にも近い現象を説明する概念がしっかりとあることが、むしろ新鮮だった。

一つ疑問に感じたのは、具体的な分析事例として最後に取り上げられている「記号現象としての生命」だったように思う。ここには、ユクスキュルの「環世界」といった概念を導入しながら、人間以外の生命体の経験を記号的に分析しているのだが、ここで「記号論」によって分析されているものは、果たして何なのか。
ここで言語的になされている分析が、そのまま人間以外の生物たちの認識そのものだと考えることはできないだろう。あくまで、ここでされている分析は、生物たちの振る舞いを、人間が外部から記号的に観察した結果にすぎないと思われるからである。
だとするのであれば、それが、生態学などにおいて動植物の行動が分析されることと、記号学として分析されることとの間に、どんな差があるのかが、よく分からなかった。この本で紹介されている「生命記号論」は、「記号論」を導入することによって、どんな学問領域としての独自性があるのか。いまいち、そのあたりがよく分からなかった。

最後の疑問については、個別の「記号論(学)」の実践を改めて勉強する必要がある領域になってくるように思う。最初の問題意識に戻ってしまうが、こうした知識の不足感ひとつを取ってみても、自分が、「記号論」そのものについては、これまで専門的な勉強をまったくしてこなかったことがよく分かる。
のち思想の大前提になってしまっているが故に、のちの思想について勉強していると知っている気になってしまう。そういった経験の危うさを感じた。

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2026年07月30日

Posted by ブクログ

前半は読むのに骨が折れた。しかしその視点というべきか、枠組みというべきか、記号論の世界にやっと片足、いやそのつま先を浸すことができてみて、世界の解釈の仕方が広がる思いだった。あとがきにもあるが、記号論から入るのではなく、専門を学んだ後で記号論の枠組みを取り入れることが相乗効果を生みそうだ。

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2026年02月05日

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