【感想・ネタバレ】ブルースだってただの唄 ――黒人女性の仕事と生活のレビュー

あらすじ

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卓越した翻訳者である藤本さんは、耳をすますことの達人でもある。
何度この本を開いて、そして撃ち抜かれたことだろう。
黒人の女たちの、生きのびるための英知の言葉に。
そしてそれを引き出し聞き取る、すばらしい耳の仕事に。
――岸本佐知子(翻訳家)
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黒人女性たちの「たたかい」を描く名著がついに文庫化!
名翻訳者による白眉の聞き書き。
朝日新聞、読売新聞、東京新聞、NHKジャーナルなどで紹介の話題作。

1980年代、アメリカに暮らす著者は、黒人女性の聞き書きをしていた。
出かけて行って話を聞くのは、刑務所の臨床心理医やテレビ局オーナーなどの働く女たち、
街に開かれた刑務所の女たち、アトランタで暮らす104歳の女性…。
彼女たちは、黒人や女性に対する差別、困難に遭いながら、
仕事をし、考え、話し合い、笑い、生き延びてきた。
著者はその話に耳を澄まし、彼女たちの思いを書きとめた。白眉の聞き書きに1篇を増補。

解説 斎藤真理子

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Posted by ブクログ

ブローティガンの翻訳をされている方の本ということで、翻訳に関係する本なのかなと読み始めたら、アメリカに住む黒人の差別の歴史であったり、黒人女性たちが劣悪な環境でどう暮らしてきたかの聞き書きでした。
私だったら絶望してしまうだろうなと思う境遇であっても、向学心旺盛で、世間に負けまいとする黒人女性の姿に励まされました。とにかく純粋。
読んだ後、不思議と元気がもらえます。

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2023年06月04日

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アメリカに暮らす一般黒人女性たちへのインタビュー。様々な人たちの暮らしのリアルは不思議と親近感と安心感を得られるので、心が不安定な時に読むといい。

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2022年01月16日

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遠い国のちょっと昔の話しではない。
彼女たちの苦しみは続いている。
時を経てもなおまだ叫び続けなければならないほどに。

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2021年11月27日

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30年ほど前のアフリカン・アメリカ女性の生い立ちの聞き書き。中でも夫の不倫相手を殺し、服役する女性の話が辛い。自分ではどうにもできない生い立ちを抱え、やむをえず殺人を犯す。1986年出版の本だが復刊。今読みたい名著。

ブルースなんてただの唄。嘆いていたって始まらない。

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2021年03月11日

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1980年代前半、アメリカ。著者はウィスコンシン州懲治局の臨床心理医ジュリエットをたずね、彼女が参加する「女性グループ」の会と、仕事で担当する「女たちの家」の受刑者たちの話を聞いた。80年代アメリカの黒人女性たちを取り囲むさまざまな困難を語りながら、それでも語ること、言葉にすることの喜びや力に満ちた〈はじまってもいないたたかい〉の記録。


「普遍性のなかにやすらぎを見出すよりも、他者の固有性と異質性のなかに、わたしたちを撃ち、刺しつらぬくものを見ること。そこから力をくみとることだ、わたしたち自身を名づけ、探しだすというのなら」。本書は黒人女性たちの連帯を語ると同時に、〈黒人女性〉をひとかたまりとする見方をときほぐし、ひとりひとりの言葉に真摯に耳を傾ける。じっさい、ネイティブ・アメリカンの血をひいていたり、親から「白人として生きろ」と言われるほど肌の白い〈黒人女性〉がいる。〈黒さ〉にもさまざまなグラデーションがあるのだ。
第一章では、まず大学を卒業した人たちからなる「女性グループ」がそれぞれの生い立ちを語りはじめる。ここで静かな衝撃だったのは、ジュリエットが語る母の兄と自分への差別教育の違いだ。女のジュリエットは白人に対抗し、進学することを推奨されたが、男である兄は目立たぬことが第一だと教えられていたという。それは母がアメリカのヒエラルキートップである〈白人男性〉から目障りな存在とみなされた〈黒人男性〉の苦難を知っていたからだろうとジュリエットは推察する。創作物にはインテリで優等生の黒人少女と不良の黒人少年の組み合わせがよくでてくるけど、その背景が少し掴めた気がした。
第二章ではジュリエットの職場である〈女たちの家〉へ赴き、そこにいる女性受刑者二人からの聞き書きを収める。〈女たちの家〉は受刑者の社会復帰のために町中に作られた施設で、刑期を務めながらそこから学校や仕事に通えるという試みがまず興味深かった。
麻薬の密輸をしていたブレンダと殺人で捕まったウィルマは、どちらも刑務所に入ってから"自分の言葉を獲得する"ために努力し、その重要性を強く訴える。"以前から今と同じような話し方をしていたか"と問われたブレンダの答えは深く胸を打つ。彼女たちが言語化に見いだす希望を藤本さんはこうまとめる。「なぜなら、『女たちの家』の住人はことばを探している女たちであったから。(略) 自らの生に意味をあたえ、生の輪郭を見せてくれる魔術はないか。混沌や茫洋にかたちをあたえることができるもののひとつがことばであるなら、それは魔術のようなものだ」。語りの力を鋭敏に感じとり、強く信じた人の文章だと思う。藤本さんが彼女たちの言葉を訳すやり方には、上記のような〈魔法〉にも等しいきらめきがあり、個人に対する敬意が溢れている。
エピローグは公民権運動に参加したことのある104歳のアニーへのインタビュー。アニーは政治活動そのものについては多くを語らないが、あからさまな差別が少しずつ減ってきたことについて「愛が勝利するのです。そうでなければおかしい。白人の隣人におはようと挨拶できなければ…」と語る。
斎藤真理子さんが素晴らしい解説で日本と在日コリアンの人びとの関係性に敷衍して考えることを提案されているように、差別との闘いにおける最終目標は、ある人種が別の人種に勝つことではなく、愛の勝利。手にしたいのは隣人に気兼ねなく挨拶できる喜び。〈たたかい〉はいつでもそのためにあるのだ。 自分自身の言葉をたずさえ、隣人を愛するために。

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2020年12月24日

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美しく率直な文章で、その場(話をしている場)にいるような臨場感もある。知性…。
時代も国も違うとはいえ、実際の生活の様子を聞くとやはり驚くな。

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2024年02月01日

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現実から目を背けず、強く生きている姿に感銘をうける。多様性の時代と言われるが、同化では意味がない。多様性を多様性のままいかに受け止めていけるのだろう。

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2023年02月19日

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リチャード・ブローティガンの訳者・藤本和子によるアメリカ黒人女性への聞き書き集。彼女たちは、アメリカで、黒人であること、女性であることにより二重にしたゲラれているという。ウィスコンシン州の刑務所でカウンセラーをしているジュリエット・マーティンを中心に、その同僚や受刑者たちに聞いた話がまとめられてる。どの話も個人的で、かつ普遍性があった。公民権運動などを経て黒人の状況も改善されているのではという質問にジュリエットが答えた「戦いなんて、まだ始まってもいない」という言葉が印象的だ。

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2021年10月22日

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これはもうタイトルにやられた。かなり前(1980)に出た作品みたいなのだが最近になって文庫化されたようで店頭でタイトル見たら読んでみたくなった。翻訳を生業とし当時アメリカで暮らしていた作者が何人かの黒人女性にインタビューを行ったもの。黒人であり女性であるということは二重に抑圧された存在である、という切り口で刑務所の心理学者、ケーブルテレビ局のオーナー、ソーシャルワーカー、囚人、街で暮らす百歳を超えた老婆、などに対する聞き書き。どういう生い立ちでどういう酷い目にあってそれをどう跳ね返したのか、または、跳ね返せなかったのか、が綴られている。特定の人種と性別にのみ焦点を当てた作品で今なら逆に世に出せないのでは、とも思った。自分たちが少し前までは奴隷であったために劣った存在と思っていたのだがジェームス・ブラウンに代表されるムーブメントでいかに勇気をもらったか、など非常に興味深く読んだ。タイトルにもなっているフレーズは心理学者が昔たまたま耳にして忘れられない言葉ということで少し長いけども引用する。果たしてこんな逞しさが自分にはあるだろうか。非常に興味深い作品。おすすめです。
「ブルースなんてただの唄。かわいそうなあたし、みじめなあたし。いつでも、そう歌っていたら、気がすむ? こんな目にあわされたあたし、おいてきぼりのあたし。ちがう。わたしたちはわたしたち自身のもので、ちがう唄だってうたえる。ちがう唄うたってよみがえる。」

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2021年07月16日

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アメリカの黒人差別について、あまりにも無知だ。私の知識はせいぜい映画からのもの。今もまだ続いていることは看過できないと思うものの、やはり遠い。アメリカも遠いし、黒人も遠い。
黒人であり、女性であるということはどれだけの差別の中で生きていくことになるのか。特に、刑務所の2人、その中でもウィルマの話が印象に残った。ウィルマの語りをそのまま聞いているつもりになっているが、英語で聞き、語られたことが日本語に訳されていると思うと、藤本和子という人はすごい人だなと思う。
弱い立場、苦しんでいる人たちの話を聞いて本にしてくださる方々にありがたさを感じる。
過酷な人生でも強く生きていく、とにかく生きる、死ぬまで生きる、そのこと自体に意味があるのかとしみじみ思う。でもやはり、差別問題に関してはなくす方向に進めないと行けないし、ボンヤリしているわけにはいかない。当事者も遠くに感じている私たちも。

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2021年06月13日

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強烈な現実
そして変わらない現実
藤本和子さんを通して伝わってくる現実
解説に書かれている通り
「語り手だけでなく、聞き手の何かどくどくとこちらの血管に注ぎ込まれるような…」リアリティ!

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2021年04月30日

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教育は歓迎するが、白人文化への同化は望まない、という女性の言葉が印象的だった。
国や地域に文化があるなら、女独自の文化を保ったままでいいんじゃないのか?ことさらに男性への同化を自他に求めなくとも、やっていけるんじゃないのか?男たちが勝手に作ったヒエラルキーを内面化してあげなくても、もう、いいんじゃないのか?

本書を読みながらしきりに「崖」(石垣りん)の一節が思い出されてならなかった。

 戦争の終り、
 サイパン島の崖の上から
 次々に身を投げた女たち。
 
 美徳やら義理やら体裁やら
 何やら。
 火だの男だのに追いつめられて。
 
 とばなければならないからとびこんだ。
 ゆき場のないゆき場所。
 (崖はいつも女をまっさかさまにする)
 
 それがねえ
 まだ一人も海にとどかないのだ。
 十五年もたつというのに
 どうしたんだろう。
 あの、
 女。        

女たちが落ちる「崖」に、ここまで、という終わりはない。
20年も経つのに。
そろそろ80年も経とうというのに。

当時インタビューを受けた女性たちは、今、60代、70代を迎えている。アジア人女性が黒人男性に路上で殴り倒される自分たちの国を見て、どんな思いでいるのだろう?

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2021年04月15日

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人種差別を生きた黒人女性の聞き取り。
13で家を出た人の話が印象的、つらい生活でも、
こんなものと生きて来た。神を信じて。
豊かな日本人には、耐えられない。
人間は、いかなる状況でも生きていかれるのか?

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2021年04月15日

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生きていく上で、

男の子と女の子にとるべき態度を別々に教えなくてはいけなかったということ、

暴力がとても近くにあったこと、

いわゆる授業の教材で使うような本(to kill a mockingbird, the bluest eyeなど)の描写と変わらない状況に置かれていたこと、

などなど、

生の言葉とそのまま出会って、たった少しではあるけど黒人の女性の置かれてきた環境、そのまわりの空気を知ることができました。

情報として、人種差別と戦うために、黒人男性がやってきたことや、代表的な女性の発言などがアクセスしやすいところにあったので目にしていたけど、

いち女性の人生を紡ぐ言葉は、とても心に入ってきました。

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2021年03月22日

Posted by ブクログ

歴史の授業で何の思い入れもなく習った事柄が、個人の語りによって生々しく押し寄せてくる。昔の本だけど、外国の話だけど、全然他人事じゃない。

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2021年03月14日

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1980年代のアメリカで生きる黒人女性たちからの聞き書きをまとめた一冊。黒人女性たちが直面する困難が率直に、彼女たちの言葉で描かれている(当然、日本語に訳されているわけだが)。率直に言えば、日本にいる限りマジョリティになる日本人で、また男性である自分は、本書の価値を十分に理解できていないのかもしれないと思う。ただ、改めていつか読み返したいと思う。そのときにさらに理解を深められることを期待している。

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2021年02月17日

Posted by ブクログ

黒人女性の生活についての聞き書き。
かなり悲惨な話が多い。色が濃いほど差別が酷くなるなど。この時代だから、白人でも黒人でもなく日本人だから聞けた貴重な話もありそう。
白人の生活と同化することは黒人の文化を失うことになる。普遍化を目指さずに個別の話をじっくり聞く。
さすが翻訳家で文章は読みやすい。でも前評判ほどの名著なのかはわからなかった。

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2024年08月16日

Posted by ブクログ

黒人女性へのインタビュー形式で書かれています。
彼女たちの苦しみや誇り…とても伝わります。
ただ…う〜ん…読むのが少ししんどかったな…
きちんと理解すべき現実ですが…とてもしんどい⤵︎

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2022年06月12日

Posted by ブクログ

歴史やニュースで大きな枠としてしか、黒人の人たちのことを捉えていなかったことに、この本を読んで気づきました。

奴隷として働いていた祖父母の思い出、実際にどんな仕事・生活をこれまでしてきたか。聞き書きで、理路整然・時系列に言葉が並べられていないことで却ってその人の人生が立体的に浮かび上がってきます。

アメリカの話、と途中まで思っていましたが、日本人である自分にも、黒人のトピックにあたる考えるべきものがあるのでは、と問いかける本だと思いました。

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2021年05月23日

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