あらすじ
★★★第66回メフィスト賞受賞作★★★
「あなたに、この本を」
消えた秘宝と、
五層の物語が織りなす巨大迷宮。
主人公は「本」そのもの。
* * * * * * * * *
【あらすじ】
戦争が国土を焼いた。
大学生の青年エリメは戦火に巻き込まれ傷を負い、
遠い故郷の実家で目を覚ました。
療養で暇を持て余し、手に取った一冊の本。
それは「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」という
むかし実在した宰相の筆による小説なのだという。
軽い気持ちで読み始めたエリメを待っていたのは、
九天九地に比類なき物語の迷宮。そして、
歴史の砂に埋められた国家の秘密だった。
最奥へと誘う〈声〉がこだまする。
「あなたに、この本を」──
* * * * * * * * *
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
良かった…
どう表現したらいいのかわからないが、
読んでよかったと思える本。
2/3くらいまでは、
ふーーん、とか、へーーと読んでいたら
最後の方になって急に展開が早くなり、
一気に読んでしまった!
入れ子構造が複雑だが、
それも含め、わたしは興味深く面白く読んだ。
こんな本は読んだことがなかったから。
狂気の沙汰のレベルの入れ子。笑
マトリョーシカかな?笑
p402の
"この世界は何かを信じていることを美徳としている。〜
無条件でそれを全面的に信頼するということは、とても美しく綺麗なものに見える。
でもその美しさは、同じものを信じる人同士でしか共有されない。
そこから外れた者には酷く異形なものに見える"
ここが、刺さった。トゲのように。
この本の中では宗教に関しての話だが、
私たちが生きる現実でも同じことが言えると思う。
遠い異世界の話を読んでいるのかと思ったら、
ラストで急に神聖ニアニ王国の歪みが、
今まさにこの現実の地球で起きていることと
1ミリも変わらないと気づかされゾッとした。
盲信すること、正しいと信じて疑わないこと、
盲目とは狂気なのかもしれない。
Posted by ブクログ
いくつもの層になっている物語が一つにつながっていく話。
読んでいるのは1冊なのに、時空を超えて旅をしたような気分で、今までにない読書体験だった。
内容は意外と読みやすく淡々と語られているが、今の世の中で色んなことを考えずにはいられなかった。
余韻に浸る一冊。
Posted by ブクログ
メフィスト賞受賞作であることと装丁に惹かれて手に取った。分厚くて読み切れるか不安だったけど問題なかった。
この本を今から読む人は何のネタバレも踏まずに読んで欲しい。(私に才能があればネタバレせずに面白さを書き残せただろうに...)
↓ネタバレあり感想
この本の特徴はなんといっても、複数の入れ子構造になっているところで、著者は書きながらよくこんがらがらなかったなと感嘆する。
ミレイがダルがってる部分が少しノイズに感じたり、複層構造であるが故に物語の進むテンポが悪いと感じる箇所もあったが、ミレイがヒアヌビレにツッコミを入れる場面で私自身もミレイにツッコんでいる様はメタ的な複層構造の効果を体感できて個人的に大変面白かった。
序章は神話や歴史物要素、第一章以降は謎解き要素が強くて、途中で味変したかのような楽しさがあった。序章で違和感があった記述について第一章以降にしっかり解決されモヤモヤが解消されたのも良かった。どの本もエリメの時間軸に続く史実であり、エリメ時間軸でも血生臭い事件に発展するとは思ってもみなかったけど。
本作はフィクションだが、権力の腐敗とそれに反抗する力を削られた人々という構図は今の現実社会に通じるものがあると思った。苦しい境遇の中で縋った宗教にも救われないニアニ人を哀れに思ったが、政治権力と結びつきの深い宗教団体のせいで人生を滅茶苦茶にされた人が現実世界にもいるではないか。表現の規制や言論の弾圧は今のところ表立って行われていない(と思っている)が、今後はどうなるかわからないと本気で思う。
エリメはおそらく歴史や地理や社会に本当に疎い。(記憶の抜け落ちのせいかと思っていたがそんなこと忘れる?って内容にまで及んでいるし、首都の旧名の話をルームメイトたちは知ってたのでマジで人一倍わかってなさそう。)その疎さが浅慮な行動に結びつき、結果としてジアネを死に追いやったのだと思う。(本当にカスなのは父トリーですが。)私も社会の情報が煩わしくて遠ざけてしまうことがある。しかし、やはりそれではいけないのだ。
Posted by ブクログ
こういう構成の小説は初めて読んだ。最初に登場したエリメという人物が読んでいる本があり、その本の登場人物が本を読み、またその本の人物が本を読んだり、別の本を見つけたり‥‥。毎日途中、途中まで読んでいくと今読んでいるページの【本】はどの人物が読んでいる【本】何だっけ?と分からなくなって、パラパラと前のページを毎回めくりながら読み進めた。
序章がこんな感じだったのだが、1章からが怒涛の展開だった。宝探しの物語が歴史探求の物語へ。それから自身と身内の罪の話へと変わって惹きつけられた。
宗教も化学もエネルギー資源も、それ自体が悪いのではなく、それを利用しようとする人間が悪なのであると。深く刺さった。
これは物語だけの話ではなく、現実でも起こっていることだから。
残念だったのが、罪を犯した父親の、彼自身の言葉やその後が書かれていなかったこと。エリメが記憶を取り戻し、父親が罪について問い詰められて、どんな言葉を発したのか。殺人者としてどんな罰を負ったのか。それについての記載がなく非常に残念。
Posted by ブクログ
本の中に本が出てきて、またその中にも本が出てきて、ややこしすぎて途中で手が止まってしまった。本の登場人物たちがリンクし始めてから読みやすくなった。
科学がだいぶ進んでいそうなのに、宗教のせいか歴史が正しく伝わっていない、何だかあべこべな世界観。でも不思議と読まされてしまった。
Posted by ブクログ
なんという物語!!いやーーー・・凄かった。
読みながらんん?と思ってたことに後でしっかり理由があったとわかった時には思わず感嘆のため息出たね。
エリメの罪が予想外のもので、終盤にきてもそうくるの?!と、その真実の救いのなさに確かにここは神殺しの一族が住む国だなと思ってしまったり。
作中作として語られる歴史の痛みは身につまる事ばかりで、どうかこの本を閉じる時には明るさを感じられますようにと願ったもののそう簡単にいくわけもなく。
電話口でのキーの言葉が本当に浸みた。
Posted by ブクログ
架空の国を舞台にした歴史ファンタジーであり、ミステリー要素もある作品。
大学院で化学の研究に勤しむ主人公エリメは、ある日強い精神的ショックで意識を失ってしまった。数ヶ月の昏睡を経て自宅で目を覚ますが、倒れた頃の記憶を失っている。どうやら恋人であったジアネの交通事故死が関わっているようだが…。
健康を回復し大学に戻るにあたり、旅の道連れに自宅から一冊の本を持っていくことにした。その本『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』には予想もしていなかったこの国の過去が書かれていた…
第66回メフィスト賞受賞作、著者は若干二十歳の大学生、「5つの作中作が入れ子構造になった」作品、そして美しい装丁に惹かれて手に取った。
この入れ子構造になった作品をしっかり読み込み、そこに記された「宝の在処」を主人公と共に追う中で物語の真実に到達する仕掛けだ。
本作の舞台は拝月教という宗教が強い政治的支配力を持った国である。本来、人々を救うはずの宗教がエリメのいる時代でも、作中作の中でも延々と戦争と流血を繰り返している。歴史の中でそれに抗う人は過去来たくさんいたであろう。しかし、エリメの生きる現代でも拝月教は健在で相も変わらず戦争を仕掛けているという…
なぜこの宗教は生き延びたのか?歴史は繰り返すのか?作中作が在処を記したという宝とは何か?それを知った時、読者は、主人公は何を思うのか…。
宗教と科学と政治。いずれも人々の生活をより良くするために行われるもののはずである。それなのに何故戦争は繰り返されるのか?
折しもウクライナやイランで、AIやドローンが戦争兵器として使われる現在、著者の問題意識はここにあるのだろう。そういう意味で、架空の世界のことでありながらとても現代的なテーマである。
作品としては純粋に話を追う面白さはしっかり備えている。作中作は5つと言えどもそれらはマトリョーシカのようにシンプルに一つの作品の中に内包されているし順番通りに登場するので筋も複雑ではない(若干そこが物足りない部分でもある。笑)
惜しむらくは、合計6つの作品(5つの作中作+エリメの物語)で構成されているにも関わらず、それらの作品の文体や語り口にそこまで変化を感じない点。それぞれ著者が違う文体とは思わせられなかった。その筆力はこれからに期待。
また、読者が迷子にならないように、途中でここまでの話を要約する人物が現れたりと、とても親切な設計だがそれが読む楽しみを奪ってしまっている面はある(編集者の意見で挿入されたのだろうか)
あと、個人的には作品の冒頭で予想した終盤の展開が当たってしまったのも物足りなさを感じた所以。
とは言え、十分に楽しめた。次回作にも期待である。
Posted by ブクログ
化学専攻の院生である主人公は部分的に記憶を失った状態で目覚める。気晴らしにと渡されたのは『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』という五つの作中作が入れ子構造になった本だった。王家の宝の在処を隠した暗号書として存在する本から溢れ出すのは、消されてきた歴史と人々の想いであった─
メフィスト賞受賞作。
五つの入れ子構造、という点に惹かれて買ったけど"いま"が描かれていて重い気持ちに。
信仰を利用した宗教組織の侵略戦争、殺傷武器を作り出すこと、殺される者たちの苦しみ。科学と宗教は善きことを成して欲しいという作者の叫びが聞こえるようである。
月の神を信仰する拝月教を国教とする共和国。科学は発展したものの、いまだに市民は宗教組織の身勝手さに振り回されている。主人公が読むことになる『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』は当時の女王が宰相に命じて書かせた暗号書である。とある事件を調査するなか、宰相は吟遊詩人から『本泥棒と少女』という物語を聴き、少女たちは『ヒアヌビレの業績録』というとある軍人の記録を読み、軍人は『砂漠に残された真実』という歴史研究報告書を読み、そのなかでは『水神叙事詩』という詩が存在する。
入れ子構造の物語のなか、拝月教の起こりと欺瞞、殺され隠された人々の想いが一冊の本の表紙から溢れてくる。
471ページという厚い本だが、なんと344ページまでは「序」という構成。344ページを読み終わり捲った瞬間、美麗なフォントと飾りで現れる『女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処』というタイトルが、ここからはじまるんだ、という高揚を誘う。続く第1章から、やっと本作主人公の青年の王家の宝を追う謎解きがはじまる。ルームメイトたちを巻き込んだその謎解きが、主人公の失った記憶を巡る物語に絡みつき、やがて心身を破壊してしまう恐れのある"事実"へと到達する。
そこにあるのは人類の愚かさ、組織の孕む恐ろしさ、組織から切り離された信仰の救いたるもの。まさに"いま"の叫びである。
こう書くと難しそうな印象を持つかもしれないが、文章は平易でリーダビリティが高いので気後れすることはないと思う。が、平易なので「物語を描く物語」という点からすると文章のうつくしさが物足りなくはある。しかし本書の持つ「いまの現実」への叫び(読者のわたしはそうだと感じた)としての側面を強化する、広く読まれることへの期待、としてならこのままの文章でもよいのだと思った。
Posted by ブクログ
#女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処
この大作を著したのが弱冠20歳の大学生という驚き。ストーリーに荒削りなところはあるけれど、5重の作中作という狂気じみた仕掛けでぐいぐい押してくる。
第二部からの急展開は好みが分かれるところだけど、読ませたい!という強い意志を感じる。
#読書好きな人と繋がりたい
Posted by ブクログ
分厚さと素敵な装丁とメフィスト賞受賞に惹かれて購入。
入れ子状態が過ぎるので、ややこしい。
途中から面白くなってどう展開していくんだろうと思ったのに、失速してしまったまま終わった感じがする。
エメルには辛い過去だったというか、なんというか、とても嫌な世界だったなぁ。
思ってた内容と違った。
Posted by ブクログ
最初は入れ子構造が重なりすぎて読みづらいと思ったけど、ジアネのブローチが例の宝石なんじゃ?と気づいてからは一気に読んでしまった。
音韻変化を入れてくるあたりきっと著者は語学系の方ではないかと。
装丁がとてもきれい。もう少し高くてもいいんじゃないかと思うが新人さんだからだろうか。