あらすじ
東アフリカ原産の豆を原料とし、イスラームの宗教的観念を背景に誕生したコーヒーは、近東にコーヒーの家を作り出す。ロンドンに渡りコーヒー・ハウスとなって近代市民社会の諸制度を準備し、パリではフランス革命に立ち合い、「自由・平等・博愛」を謳い上げる。その一方、植民地での搾取と人種差別にかかわり、のちにドイツで市民社会の鬼っ子ファシズムを生むに至る。コーヒーという商品の歴史を、現代文明のひとつの寓話として叙述する。
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Posted by ブクログ
普段何気なくとっているこの黒い不思議な飲み物。
そのルーツはイスラムの世界からでした。
ただしこの飲料が定着するには
数多くの困難と、数多くの革命、
歴史を変える出来事、
さらに負の歴史が重なっていました。
負の歴史に関しては…今もでしょう。
そう、そういうところの国は今でも
決して恵まれた環境ではないのですから。
で、かの国は…
2回も過ちを犯していたとは!!
(ある名前を言ってはいけないあの方状態の人が
出てきます)
Posted by ブクログ
仕事でコーヒーに関わるようになったこと、もともとコーヒー好き、さらに歴史好きなことから手に取ってみたこの本。コーヒーの起源から、コーヒーと共に動いた歴史を面白く紹介している。
まず、コーヒーはイスラム教徒であるスーフィーが「眠気」と戦うために飲み始めたのが起源で、この不思議な「黒い液体」は聖水として重宝された。
やがてコーヒーはヨーロッパへと伝播し、生産地もジャワへ、ブラジルへと広まっていく。ヨーロッパでは、イギリスやフランスでカフェ文化として花開き、特にフランスでは「カフェ・プロコプ(1689)」など、政治的議論が活発なカフェが誕生し、やがてフランス革命へ。
ドイツの独立、第一次世界大戦下でのドイツとコーヒーの関わり、やブラジル等植民地のコーヒー生産事情にも詳しい。
この本を読んで、嗜好品であるコーヒーがここまで世界で親しまれている理由がわかる気がした。一方、嗜好品であるがゆえに、コーヒーを生産し輸出する国々が、輸入国に対して強い立場で交渉に臨めないというのも分かった。必需品じゃないから。
仕事でコーヒーにかかわることが増えたので、このような予備知識も生かして日々頑張りたいと思った。
Posted by ブクログ
大好きな食べ物の歴史。コーヒーハウスなどについての歴史については既に読んでいたが、イスラムの中でコーヒーがどう扱われてきたかとか、もう少し突っ込んだ内容が分かる本。
近代まで長い間、黒人がなぜ奴隷として働かされてしまったのかということについて、1つ考えさせられる事例があった。アフリカなどの人々は、自らが所有する豊かな土地で自給自足の生活が成り立っていたため、賃金労働というシステムに取り込むことができなかったようだ。
イギリスなどでは、土地を持っていない人々が、食べていくために働いて賃金を稼いで物を買う。一方植民地の人々は、土地を持っていて食べていくにも困らない。支配国の企業がいくら賃金を与えてその土地を耕させても、賃金が重要な意味をもっていなければ、仕事はさぼりがちになる。
現代でも、旅行に行くと、「この国の人たちは怠け者だから、時間通りに全然進まないんだよ」という話をよく聞く。私たちはお金が発生してるんだから、時間通りに仕事が進むのは当然と考えがちだが、彼らにとって一番大切なものはお金ではなく、自分の時間なのかもしれないと考えさせられた。
ここ数十年、貨幣経済とグローバル化がどんどん加速しているが、コーヒー貿易という何百年も昔のグローバル化作戦が数多くの怨恨を生んでしまったことを考えると、大変難しい課題であると感じた。
Posted by ブクログ
タイトルから推測できますが「珈琲」という物が如何にして世界の歴史(主に欧州)に影響を与えてきたのか?を主題とし、歴史的なアプローチから関係を辿っていく。といった内容になっています。 珈琲自身の発祥は勿論の事、欧州での珈琲定着の速度を爆発的に促したコーヒー・ハウスについての解説もあり、珈琲が好きな世界史好きには自信を持って勧められる1冊だと自分は思います。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
東アフリカ原産の豆を原料とし、イスラームの宗教的観念を背景に誕生したコーヒーは、近東にコーヒーの家を作り出す。
ロンドンに渡りコーヒー・ハウスとなって近代市民社会の諸制度を準備し、パリではフランス革命に立ち合あい、「自由・平等・博愛」を謳い上げる。
その一方、植民地での搾取と人種差別にかかわり、のちにドイツで市民社会の鬼っ子ファシズムを生むに至る。
コーヒーという商品の歴史を、現代文明のひとつの寓話として叙述する。
[ 目次 ]
第1章 スーフィズムのコーヒー
第2章 コーヒー文明の発生的性格
第3章 コーヒー・ハウスと市民社会
第4章 黒い革命
第5章 ナポレオンと大陸封鎖
第6章 ドイツ東アフリカ植民地
第7章 現代文化とコーヒー
終章 黒い洪水
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