【感想・ネタバレ】ダチョウの卵で、人類を救います アトピー、新型インフルエンザ、HIVも撃墜する夢の抗体発見秘話のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

インフルエンザを予防出来るマスク。あります。市販もされてます。50枚入り8000円弱。高いかな、安いかな。
 マスクに、ダチョウの卵から作った抗体が塗ってあるのです。なんかあやしげですよね、そんなもん、ほんまに効くんかい、と言いたくなります。でもとっても気になります。
 この本を読むとこのマスクに惚れてしまいます。
 ダチョウ愛にあふれてますから。
 動物というのは、かな~り原始的なものから、人間を含む哺乳類まで、体のなかに異物が入ると、これを無力化して、除去しようとするタンパク質の分子を作ります。これが「抗体」です。言いかえれば、怪我や病気に強い生き物は、抗体を作る能力が高い生き物だ、ということです。
 で、ダチョウは、べらぼーに強いのだそうです。ダチョウ。あのやたらでっかい鳥です。体長2.5メートル、体重160キロ、羽はあるけど飛べない。足は速くて、地球上の二足歩行する動物の中では一番。最高時速約60キロ。二番はたぶん、ウサイン・ボルト。
 びっくりするほど何も考えずに生きてるようで、ほんの気まぐれで崖の頂上に一気に昇りつめたりする。で、頂上に着いてから、突然、パニックに襲われる。足がすくんで、動けなくなっちゃうの。気づけよ、もうチョイ早く、ってとこですね。しかも鳴き声を出せない鳥だから、仲間の助けを呼ぶこともできないの。
 しかもこの鳥、ヒマになると、隣りのダチョウの羽毛をツンツンついばんで、むしってヒマつぶしをします。血が出てもやめない。ひどすぎ。なのに、つつかれてるほうは、気にもしないで、平気でエサを食べ続けるの。血によってきたカラスが寄って来てさらに肉を食いちぎっても、平気。お前、鈍感すぎるやろ。
 でもね、尻やら腰やらの肉がえぐられて、うぁぁ、こらもうあかんわ、って重症でも、治っちゃうんだそうですよ。なんとも図太くて、鈍感でタフな、愛すべき鳥でしょう。
 これはもうスンバらしく抗体を作る能力が高い生き物に間違いありません。だってこんなに不注意極まりない鳥なのに、寿命は60年もあるんですよ。
 で、筆者の獣医学博士、塚本さんは、この愛すべきダチョウさんの抗体を何とか利用しようと研究します。抗体のいいところは、体の外に取り出しても、その働きが失われないことです。ダチョウに作ってもらって、利用させてもらいたいじゃないですか。何しろ利用価値がないと、モヤシ会社の社長さんが、ダチョウを飼うのをやめてしまうんです。そうそう、そもそも塚本さんが知り合った、ダチョウ牧場のダチョウだちは、モヤシ会社の社長さんに飼われていたんですよ。どうしてって、売り物にならないイマ一つのモヤシを食べさせるために。売り物にならないモヤシを産業廃棄物として処理する費用はなんと年間1千万円。だったらマメ科植物が好きなダチョウを飼って、食べさせて、そのダチョウの肉や毛皮を売ったらええやないか、これがホンマの一石二鳥や、ということで飼い始めたものの、ダチョウの商売はそう簡単ではなかったようです。もうからんことには、ダチョウは処分されてしまいます。これはなんとしても研究を成功させなくてはいけません。
さぁ大変。どうなることやら。続きはWebで!というのはウソ。この本でどうぞ。

 絶対おもしろい!!

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2018年02月17日

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