あらすじ
「自分には文章力がない!」と、あきらめているあなたへ。書くことに必要なのは、感性でも想像力でもない。一文一文をつないでいく力である。これは文章の論理的必然性ともいうべき能力で、簡単な読みとりの訓練によって誰もが身につけられる。まずはこの本をガイドに基本の800字に挑戦してみよう。
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大学受験の際予測しながら読み解く意識付けを散々行ったはずなのに、社会人になって5年以上経った今はすっかり忘れてしまっていた。恐らくこうだろうと朧げな意識はあるが、とんちんかんなことを考えていたりと全く頼りにならない。結局のところ意識付けはその場限りだったようにさえ思う。
そのことに気付かされた本でした。文章向上のためにも読み解く意識付けを行いたいと思います。
理解しきれなかった部分もあるので、また読み直したいです。
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小説を書くための本、文章を書くための本はたくさんあって、けっこう読んできた。その中でも「書ける」と、論理的に納得させてくれるという意味では、この本が最高。ここでいう書けるというのは、良い文章、良い小説が書けるということではなくて、「何を書いたらよいか、わからない」という状況を打破できるということ。リレー小説を例に出しての説明が秀逸。
そして、後半で、書けるようになるための「読み方」についても論理的で簡潔な説明がある。書くためには読めなければならない。これもまた、当たり前のことながら、おろそかにされがちなことだ。
欠点があるとすればタイトル。「800字を書く力」からは、この内容は想像できなかったなあ。
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800字を書く力
小論文もエッセイもこれが基本!
祥伝社新書 102
著:鈴木 信一
紙版
800字の原稿をさくっとかける本かとおもっていましたが、ちがっていました。
800字書けば、言いたいことを伝えることができるというのが本書の主旨です。
ちょっと感覚が違う本というのが初見です。
書くためには、読むことが必要である
気になったのは以下です。
・書き始めさえすれば、じつは問題の九割は解決したも同じなのです
・前の文を無視して、それとの関係を断ち切る形で文を書き足していくことなど、通常はあり得ないことです。
・不足に対して、それを補おうとする意志の働き、それが国語における「論理」です
本性は、この「論理」の導きによって、文が順次書き足されていくことで成立するのです
・仮に100枚、200枚の文章が書けたとして、さあ、それを読んでもらえるかということです。
文章は書くと書けますが、人に最後まで読んでもらえるかとなると、これは別の話になるのです。
読者は好き勝手言って、読むことを簡単にやめてしまうものだからです
・一は期待感を、二は達成感を読者に提供する点に注目してください
・800字書けば、言いたいことは伝わるのです
新聞の社説やコラムは、800字前後でもって毎日1つの文章世界を構築します
簡潔で無駄のない文体。具体的なエピソード、数々の引用文、明晰な論理、およそ、魅力的な文章には書くことのできない要素が、ふんだんに盛り込まれ、一つの宇宙が築かれるのです
・読む進むにつれて、視界が広がり、思索が深まるような文章
これが文章の理想です。そして、800字あれば、その理想を現実することは十分にできます
・自分の考えを壊し、その上に別の思想を組み上げる。それをも疑い、また壊すことで、さらに別の思想を組み上げる。「考える」とは、それを繰り返していくことです
・文学は隠すことを旨とします。小説は説明を嫌い、詩は名言を避けるのです
では、なぜ隠すのでしょう、探してほしいからです
・書くことを極意は、何を書くかではなく、何を書かないかにある
・矛盾なく文をつないでゆくだけでは、必ずしも満足な文章はかけない、書くことには
淀みを作る
対象を良く見つめる
果敢に展開を試みる
考えを壊していく
・書いたものを一晩寝かせる。何カ月も放置して、忘れた頃にもう一度読み直す
・書くことの仕組み、や、書くことの核心、をいくら理解しても、読めなければ書けないのです
・文章は、具体と抽象のあいだを行き来する
・読みの名手がいるとすれば、それは、読みの衝動、の高め方を知っている人たちです
・読書とは、他人の心や、他人の考え、にふれることと思われがちですが、じつは、自己に触れる行為です
・読むということは、言葉と言葉の関係に気づくこと、です
・通読してはいけない。論理が追えなければ、文章は読んだことにはならないし、何より面白くないのです
・となりあった文と文との因果関係を探ること、これが読解の第一歩です
・書き手は、書き手であると同時に、自作の詠み手だということです
・読みながら先を予測する人というのは、読んでいるのではありません。買いているのです。
・形式段落と意味段落
形式段落とは、行が一字分さがっているところが、その切れ目です
意味段落とは、意味上の纏まりを考えた時に、そこが大きな切れ目と判断されたところがその切れ目
目次
はじめに
序章 学校で国語を学ぶ意味
第1章 「書くこと」の仕組み
第2章 800字を書く
第3章 言葉をどう自分のものにするか
第4章 「書ける」ようになるための読み方
おわりに
ISBN:9784396111021
出版社:祥伝社
判型:新書
ページ数:208ページ
定価:740円(本体)
発売日:2008年02月05日 初版第1刷
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●文は何かが足りない形をとる
(ex)きのうは良い天気だったが、一日中部屋でゴロゴロしていた
→「きのう」は何曜日か
「ゴロゴロしていた」のは男か女か
「ゴロゴロしていた」のは何者か
どうして「ゴロゴロしていた」のか
「部屋」は何階にあるのか
→足りない所を補おうと文は書き足されていったはずなのに、書けば書くほど足りない所は増えていく。だから書き手はまた文を書き加えていく。これが文章が出来上がる仕組み。
→文章は「書くと、書ける」
●書き手の理論とは、足りないものを補おうとする意志であり
読み手の理論とは、足りないものを追い求めようとする意志である
●読者が文章に飽きる理由
・文体が気に入らない
・文章そのものが分かりにくい
・テーマや内容がつまらない
●次の会話に入る素敵な言葉
(ex)女:ずっと黙ったままね
男:何を話せば?
女:私を退屈させる話がいいわ。
男:どうして?
女:※楽しすぎるの、あなたと一緒に居ると
(ex)男:たまには、僕のこと思い出してくれよな
女:…。いいえ、思い出さないわ。
男:…。
女:だって、いっときだって忘れる事なんかないもの。
●形式段落→行がひと文字下がっている所が、その切れ目
意味段落→意味上のまとまりを考えた時に、そこが大きな切れ目だと判断された所。
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同じジャンルの他の本と比較して、本書のタイトルが異彩だったので手にとった。期待通り面白かった。基本的なテーマは、語彙や論理によって私たちの不自由さを解消していくこととして展開される。しかし最後に、宮沢賢治「『冬と銀河ステーション』春と修羅」が掲載し、言葉以前の世界における自由を表出していく。わたしはこのさいごに詩を持ってくるところが嬉しかった。
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「文章を書く」ということはどういうことなのか、そして文章を書けるようになるためには何が必要かを解説している。
まず、「書くこと」の仕組みを説明し、一度文章を書き出せば、それに呼応する形で書き続けていくことが可能だと述べている。第2章では、それを実践する形のリレー作文を紹介し、そこから「書くこと」や文章のポイントを解説している。第4章では、一転して「読むこと」を取り上げている。「書ける」ようになるための読み方とは…
実例や問題形式になっているところも多く、自分で確認できるため、説得力がある。軽く読めるが、内容は充実している。
Posted by ブクログ
論文を書く参考に読みました。
[概要]
書き出せば書ける。
書くときには、それまでに書いた文をよく読み、文脈に合わせて次の文を書く。
淀みのない文はつまらない。
引っかかりや、文脈から外れた淀みが、読み手を立ち止まらせ、ハッとさせる。
書くことは何より読むことから。
読むのがうまい人は、書くのもうまい。
疑問を持ち、次を予想できる読み手であることは、必要なヒントを過不足なく書いていける書き手になる。
Posted by ブクログ
文章を書くことは、文をつなげていくだけだ。書き始めさえすれば、文章は続いていく。乱暴な論理のように感じるが、納得する解説だった。特に、リレー作文は、やらせではないかと思わせるほどうまくできていた。
後半の読み方については、わかりにくい部分もあり、自分の読解力のなさを感じてしまった。
Posted by ブクログ
職業柄、この手の本に興味を惹かれる。著者の作品はどれも分かりやすく、「小説を書いてみたい。でも、難しそう…」といった人の背中をぽんっと押してくれる。「ぐずぐずせずに書いてみれば書ける」という気にさせてくれる。
タイトルにある800字。著者は、新聞の社説(1000字)とコラム(600字)の中間にある800字で「一つの宇宙を築ける人は、数百枚の小説を書くことも、すぐれた論文を書くこともできる」という。その理由を「書くことの根幹にあるものは同じ」だからと話す。
根幹とは、「1文1文をつなぐ力」。1文書くことで必然的に生じる疑問にその後の文で答える。また、生じた疑問をその次の文で・・・これを繰り返すことでいくらでも長い文章を作成できるという。
例えば、「彼はあの発言を今でも後悔している」という1文。彼って何歳?仕事は?何を言ったの?なんで後悔してる?今っていつのこと?などといった疑問が、この1文からわく。それを後の文章で説明していく。そのため、文章中の「不足に気付く力」が必要だという。
しかし、それだけでは優れた文章にはならない、とも指摘。つまらないことを長々と続けても、読者に最後まで読んでもらえないからだ。
そこで優れた文章を書くためのポイントに挙げるのは、①論理の自然な流れの中に淀みをこしらえる②読み進めるごとに視界が開け、認識が深まっていくよう展開の工夫をする、の2点。読者に期待感(①)と達成感(②)を与える、という。それぞれ、具体例を出して分かりやすく説明している。(実践してみると、淀みの作り方が難しいですが)
②については、『結論を先に書く』ようにとアドバイスする。ゴールを先頭に持っていくことで、言葉が次の言葉を拓いていくという文章の性質上、さらなる高みに到達する可能性が高まるからである。自分や世間の思想を疑い、壊して再構築、さらにまた疑い壊す…という作業こそ書くことの核心と述べる。
横山秀夫や東野圭吾、朝日新聞のコラム『天声人語』など僕が好む著者の作品はどれも、途中で浮かんでくる疑問を読後にすべて解決してくれる。すべてのピースがきれいにおさまる感じ。爽快感―。さらに、新しい知見をも与えてくれる。同時に、「こんな素晴らしい作品、とてもじゃないけど書けない」と尻込みさせてもくれる…。そんな気持ちを抱いていても、作文する第一歩を踏み出させてくれる良書だと思う。
また、文書のプロである著者は最後に、「何でもかんでも言語化し、言葉に訴えようとするなら、世界はゆがむ」と言っている。著者の思慮深さがうかがえるとともに、宗教紛争やテロ戦争など「話せば分かる」を前提にしては解決しない問題があると感じていただけに、心にストンと入ってきた。
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どうも文章を書くのが苦手である.
そう思ってこの本を手にとってみた.
まず書き出せ. そのとおり.
書いた文章に穴があるので, 埋める文章を継ぎ足せ. そのとおり.
たまには, 淀みを作って退屈させるな. そのとおり.
まだまだ, いろいろと書いてある. 納得できる.
人間は言語を使って考える. 言語で表せないものは考えていないことと同じである.
言葉以上の思考はできないのであるから, まず語彙を増やして, 読解力の力をつける.
書いたものを振り返り, その後に続く文章を見つけるのがこの800字を書く一番のきっかけになりそうだ.
Posted by ブクログ
文章を書ける様になるためのレッスン方法。
リレー作文などから文章を書くことというのは文を重ねていくことという非常に基本的な事を知ることが大切なようだ。
文章を書いている人は書きながら考え次の文章を浮かべるという作業をよくやっていると思う。最初から最後まで構成を立ててそれ通りに文章を書き進めるというのは結構例外的なのではないか。
そう言った意味でまず書いてみる、そして考えを進めるというのは当たり前だが知っていた方が便利。
文章の書き方だけではなく読み方もレクチャーがある。一定レベルの文章を書ける人には必要のない本。
文章を書けといわれてもどうやって手を付けていいのかわからない、という人は一読してみるとよいかも。
Posted by ブクログ
「書くことの仕組み。」「なぜ800字なのか。」からなる前半と 『書けるようになるためにはキチンと読むこと」の後半に分けることが出来る。私は特に前半部を興味をもって読んだ。そうなんです、文章は「書くと書ける」ものなのです。
興味をもったあなた!すぐに読むべし!!
Posted by ブクログ
文章は、書き出せば、書くことは決まってくる。
文章を書く際には、何を書くか予め想定した上で結論に向かって書いていかなければいけない。
そう考えている人も多いだろう。
けれど、この著者は、「文章というのは必ず欠陥がある。それを埋める作業だ」と述べる。
一つの文章塊から得られる情報には限りがあり、常に不足をはらんでいる。
それを作者は埋めていかなければいけないのだ。
だから、どこが不足しているかは文章を丹念に読めば見えてくるし、その意味で良い著者は良い読者でなければいけない。
では、何かを書こうとしたときに、自分だけの文章というのはどうやって生み出せばよいのだろう。
結論から書くことが、その答えの一つになると思う。
結論に向かって書くことは予定調和的だが、
結論から書くと、作者は次に何を書こうかと苦心する。そこから予想外の展開が生まれる。
それが個性にあたるともいえよう。
最後に、これまで言葉の使い方、文章の書き方について述べてきた著者が、言葉の持つ危険性について触れている。
言葉を上手く使えるようになって、これまでより多くのことを明確にできるようになったかもしれない。
けれど、世の中には言語化すべきではないもの、曖昧さを曖昧なまま受け入れなければならないこともある。
だから、安易な言語化は却って世界を縮めてしまう。
世界は言葉で表されるものの外にもより大きな広がりを持っている。
Posted by ブクログ
書くということがどういうことなのか。
漠然と実践していたことが、しっかりとした言葉として認識できたことは収穫でした。書くことは誰でもできる。今は、心からそう思えます。
しかし、それ以上に収穫だったことは、読む力を養えたことかな。
こちらも本を読むときに自然と行っていることを、改めて言葉として認識できたことで、意識して、そこに込められてた意味を読み取る癖を付けたいと思う。
Posted by ブクログ
前半は、文章を書けるようになるための心得を明快に説いている。とにかく、何か最初に一文書き付ける勇気。それさえ出来れば、次の文は前の文の不足を補う形で続いていき、文章となっていくと言うこと。そして「淀み」「展開」。最初に書きたいことを書いてしまうこと。そこから続けていくことで思いもしなかった発見、結論にいたるということ。書く勇気と知恵を与えてくれる。
後半は文章の読み方を書いているのだが、少し納得できかねる内容。
不足を補うように積み上げられて文章は書かれていくのはわかるが、積み上げられた文章には不思議なマジックが働いている。それを可逆的に分解することが読解であるとは思えない。著者は出来るものも出来ないものもあると言い訳しているが、説明書とかで無い限り基本的に出来ないだろうと思う。