【感想・ネタバレ】スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもののレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

シリーズ最終作ということで、早く読みたいけれども、
終えたくないという相反する感情に板挟み。
結局は作品世界に引きこまれ、一気に読んでしまった。

読み始めてすぐに時間軸をずらしてあることはわかったのだけど、
Cパートでの揚羽の姿が十代前半という描写に「?」。
2作目でいきなり揚羽をボクっ娘で登場させ、実は真白でした、
という仕掛けをしてくれた作者さんなので、
今回も揚羽であって揚羽でない人工妖精。
いったい君は誰なんだい? という興味もあって、さらに加速。
そしてAパートでの揚羽と陽平の再会から、
婚姻届(控(偽(廃)))の件はニヤニヤが止まらない。

その辺りを境に物語は一気に重い方向へシフト。
揚羽・真白姉妹の生まれ、麝香の存在理由、
日本という国の在り方まで話は大きく拡がっていく。
そんな中で交わされる、陽平の揚羽への愛の告白。
そして今生の別れ。
一作目からの歴史を知っているからこそ、涙が…。
その後の揚羽の行動、選択。
椛子の煩悶、真白の葛藤。
すべての結末へ…。

エピローグ後のふたつのExtra Storyがあったことで、
読者は救われたと思う。
エピローグで麝香、曽田洋一も救われ、
死んだ人は大勢いるけれど、主要人物たちは
区切りをつけることができた。
ただ一人、元の揚羽を除いて…。
それがExtra Storyのおかげで、読者が救われた。
なにより、自分はそうだった。

詩藤鏡子が雪柳のエルダー・フローレンスの顔を見てみたい、
探しだして雇いたいと言っていたけれど、
それは元の揚羽ともう一度会いたいということなのかな?
鏡子はそれに気付いていたのかな? と邪推してみたり。

SFだとキリスト教モチーフが多い気がするのだけれども、
この作品では天津神や国津神、物部氏のことまで登場し、
個人的には日本古来のことを扱ってくれているのが嬉しかった。
またニーチェや哲学書を他言語に翻訳することの難しさなど、
その辺りのことも非常に読んでいて勉強になった。
もともと興味のあることであったから、
より知りたいという欲求が強くなった。

なにより、スワロウテイルシリーズの世界が
まだまだ続いてくれることを、心秘かに願います。

0
2013年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人類をこれほどに愛してくれた彼女に、まずは感謝を捧げたい。
そして、誰もがワルモンではない状況を作り出した作者に、怨念まじりの賞賛を。
(こういう言い方も、ヒネクレモノの作者には伝わるものと思いたい。)
(だからこそマシロとモミジの悲劇。読んでいてこれほどつらいものはなかった。)

これほど苛烈に、人類への愛と憎悪を語りきった小説を、初めて読んだように思う。
人類に恋をした彼女に、小説の成り行き上これ以上続編はないとわかってはいても、しかしこれ以上何も書けないとは思わないよね、作者様!?

作者様には感謝を申し上げると同時に、
次こそは、叙述トリック云々、小説作法云々は度外視した、
人類と人類の生み出した生命という、スケールの巨大さがそのまま直結した、骨太な物語を、
強く、強く、強く! 望みます。
ありがとうございました。
小説を読んでいて、ほんとうに、よかった。

0
2013年09月04日

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