あらすじ
45歳の誕生日、家族を捨てた。
冷えきった夫との関係や子どもとの生活に孤独感を募らせていた沢辻涼子は、我慢の糸が切れたある日、家出を決行する。飛び出した夜の街で出会ったのは、怜悧で美しい文学オタクのバーのママ、野宮ルナ。
ルナに自分が抱える報われなさの正体が「大学時代の元彼」であることを言い当てられた涼子は、彼女と二人で元彼を探すため大阪へ旅に出ることに……。元彼探しが難航する中、次々と事件に巻き込まれる二人は、無事に想い人と再会できるのか――。
家庭に居場所をなくした主婦×文学オタクのバーのママ
異色なバディが人生を取り戻す旅へ!
名作文学×ミステリー、感動のロードノベル。
仕掛けに騙され泣かされる、圧巻のサプライズエンディング!
特別掌編2編のほか、ドラマ主演を務める波瑠・麻生久美子と、著者の秋吉理香子による鼎談を豪華収録。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
『月夜行路 ―答えは名作の中に―』連続ドラマ化!
主演 波瑠 麻生久美子
日本テレビ系 4月8日スタート
毎週水曜よる10時放送
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
秋吉理香子『月夜行路』講談社文庫。
『序章「暗夜行路」』、『第一話「曽根崎心中」』、『第二話「春琴抄」』、『第三話「黒蜥蜴」』と日本文学の名作のタイトルが付いている。そして、『最終話「月夜行路」』とオリジナルタイトルで本編が締め括られる。
文庫化記念で特別収録掌編として『ある月夜のできごと』と『親友』の2編が収録されており、さらにはドラマ『月夜行路 ―答えは名作の中に―』の放送記念として、俳優の波瑠、麻生久美子、作家の秋吉理香子の鼎談『異色のバディが織りなす「未知」への謎解き旅へ』が収録されている。
最初は、夫の浮気に嫌気が差し、家出した主婦が元彼を探す話かと思っていたら、とんでもなく面白いミステリー小説だった。シャーロック・ホームズのような探偵役はオカマバーのママで元男性の野宮ルナ。そして、ワトソン役は元バレーボール選手で専業主婦の沢辻涼子。そんな2人は涼子の元彼を探すために向かった大阪を舞台に様々な事件を解決するのだ。
夫の浮気や自己中の娘と息子に嫌気が差し、20年以上前の元彼の面影を探し求める沢辻涼子と謎めいた文学好きの野宮ルナという奇妙な組合せも面白いし、最後の最後に明かされる驚愕の真相と感動の結末と読み手の五感全てを刺激するような作品だった。
また、特別収録の掌編、『ある月夜のできごと』と『親友』も見事な造りになっている。本編で様々な事件を解決してみせた野宮ルナが再び鮮やかな推理を披露するという内容だ。この2編でも文学の名作が鍵となっている。
銀座の高級クラブの若いホステスと浮気を重ねる大手出版社の編集者の夫と自己中の娘と息子に嫌気が差した専業主婦の沢辻涼子は45歳の誕生日に家を飛び出し、夫が深夜にも関わらずホステスに呼ばれて出向いた高級クラブに怒鳴り込もうとする。
ところが、何を間違えたのか、涼子は目指す高級クラブの入っているビルの1階にあるオカマバーの店員に強引に店内に引きずり込まれてしまう。結局、涼子はその店で飲むことにし、怜悧で美しい文学オタクのオカマバーのママである野宮ルナに夫の浮気や大学時代の元彼への思いなど、様々な愚痴をこぼすと、何故かルナと2人で大阪に住む涼子の元彼を探しに行くことになる。
涼子の元彼探しが難航する中、次々と事件に巻き込まれる2人だったが、ルナの恐るべき文学知識と推理力で事件を解決してしまう。
本体価格730円
★★★★★
Posted by ブクログ
文学とミステリーの融合がすばらしい。元彼探しのため、主婦の涼子はバーのママ、ルナと大阪へ。2人は次々と事件に巻き込まれ、文学オタクのルナが鮮やかに謎を解き明かす。涼子の何気ない一言がルナの推理を補完し、文学作品と絡めながら事件解決へ。バディの良さが心地よく、あっという間に読み進められる。元彼探しにも納得の結末が用意され、最後には2人の関係性も理解できるサプライズエンディング。文庫化のための特別収録掌編も、短い中に文学で心があたたかくなるエピソードが2つ。「ある月夜のできごと」は夏目漱石ファンならクスッとできる呪文の話。そして、「月夜行路 Returns」の単行本が明日4月22日に発売されます。すっかりこの物語に魅了されてしまい文庫を待てずに買ってしまう人もいるかも。ドラマを見ておもしろいと感じたら、まずはこの本を読んでみるべきです。本で驚きを感じて、ドラマで再度あたたかさを感じてほしい。最後にトランスジェンダーのママが最高に魅力的です。
Posted by ブクログ
面白い
元男性の女性ルナ×平凡な主婦の涼子
個人的にルナさんのキャラクターが素晴らしく、性別云々は置いておいて、ルナさんみたいになりたいと思った。
文学絡みのミステリなので文学好きは二度美味しい
文学知識がなくても作中で簡潔に丁寧に説明されているので、興味もった方は是非読んでいただきたいです
Posted by ブクログ
ドラマに触発され、原作も読む。涼子を麻生久美子、ルナを波瑠に脳内変換して読み進める。文学の蘊蓄と謎解きが楽しめる。「全員が誰かの夢」「生きることは、その人自身の物語を紡ぐこと」そして、「マーキームーン」の由来。うるっときた!見事な伏線回収!
Posted by ブクログ
連ドラ『月夜行路』の波留さんと麻生久美子さん演じる、バーのママ・ルナと主婦の涼子の名探偵ぶり&懐かしい文学の世界に魅せられての購読です。
本書もドラマも面白すぎる‼︎
そして、いいセリフがいっぱいあるのですよ。
『あたしはね、全員が、誰かの夢だと思ってる』(第二話「春琴抄」)に続く二人の会話がいいのです。
ネタバレになりすぎるので続きは控えますが、胸にジーンとくるシーンです。
『・・・月は人生のスポットライトなのよ。どんなに人生という旅路が暗くても、月は雲の向こうで放ち続けて、またあなたを照らしてくれる。・・・あたしの店に来る人には、自分こそが主人公なんだってことを思い出して輝いてほしい・・・』(第三話「黒蜥蜴)
『『あら、挫折は新しい章の始まりよ』
『挫折や後悔、痛みを経験して、成長するたびに新章が始まるの。そのたびに物語が豊かになると思えばいいわ』(第三章「黒蜥蜴」)
そして、セリフだけでなく、ストーリーも素敵でした。 いろいろ騙されて、泣かされて・・・でも、それが全然嫌じゃなかった‼︎
読みやすい文章で、事件の推理も楽しくて、数多くの文学作品や作家のアレコレも興味深くて、笑ったり泣いたり。
兎に角愉しめました。
Posted by ブクログ
ウィットに富んだ文学ミステリ
大阪を舞台に、文学オタクのバーのママ・ルナと、専業主婦の涼子が旅をする物語です。ストーリーの縦軸として、涼子の昔の恋人探しがあり、それに並行して様々な文学スポットを聖地巡礼していきます。ところが、旅先でなぜか様々な事件に巻き込まれてしまいます。
実在の文豪や作品にまつわるエピソードに、大阪に実際にあるのであろう記念碑などの文学スポット。聖地巡礼がリアルな感じでよい。
また、巻き起こる事件もいちいち文学作品になぞらえたようなものばかりで面白い。
また、ルナと涼子はまさしくホームズとワトソンの関係にある。涼子の何気ない一言が、洞察力に優れたルナの最後の一押しとなって事件を解決に導いていく。そして、ここでもやっぱり文学知識が冴え渡る。急ごしらえなのにとてもよいコンビだ。
全体に知的な雰囲気が漂っており、読んでいて楽しい。
最後にはほろりとくる場面もあり、とても読後感が良かった。