あらすじ
江戸川乱歩賞受賞第一作
ミステリーランキングを席巻したZ世代のアガサ・クリスティーが描く哀しき連鎖殺人
「私たちが絆を断った日、島は赤く染まった。」
復讐を誓う男がたどり着いた熊本県の孤島(クローズドアイランド)で目にしたのは、仇(かたき)の死体だった。
さらに第二、第三の殺人が起き、「第一発見者」が決まって襲われる――。
2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。
そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった――
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Posted by ブクログ
無人島・徒島にある海上コテージを訪れた友人同士7名。樋藤はリンチに遭った先輩の復讐として他の6人の殺害を計画していたが、自身が手を下す前に友人たちが惨殺されていく。第一部では徒島での事件。第二部ではその3年後に大阪を舞台とした事件が語られる。
すごい物語だった。第一部は本格ミステリっぽく、徒島の地図、海上コテージの図が描かれていて、『そして誰もいなくなった』、『十角館の殺人』を想起させるような設定。それでいて、殺人を計画していた樋藤が探偵側に回るというまさかの状況となる。正直第一部の設定と展開だけで一冊作れるんじゃないかと思うんだけど、どんどんどんどん人が死んでいって、九城を名乗った漁師が犯人だと判明し、そいつの指を食いちぎって樋藤は海へ身を投げる。
死体の第一発見者が連続して殺されていくという状況に対しても、理論的に納得のできる説明がなされ、またそれが友人を想うが故というのもなんとも言えない。なぜ舌を引き千切られていたのかについても、過去のリンチ事件と全く関係のない答えが用意されていて、九城への疑いを全然抱けない展開だったのもすごい。
そして唐突に第二部が始まり、舞台も大阪に変わる。
大阪市のクリーンセンターではたらく横島真莉愛は、いつものゴミ収集作業をしていると、バラバラ死体が入った袋を見つけてしまう。大阪では第一発見者が次々と殺害されているという事件が起こっており、その連鎖に真莉愛は巻き込まれていく。
突然舞台も時間も変わって大阪での連続殺人事件にフォーカスが当たる。しかしそれを調査していくうちに3年前の事件との関連が見えてくる展開に引き込まれた。そして真莉愛と刑事の如子のバディ感は前作を思い出す。真莉愛は直情的で、如子は理性的。この復讐の連鎖のような物語の中で、如子が復讐について真莉愛に諭すシーンは印象的で、許せないと思うことは自然なことで大事なこと。でも決して独りよがりな感情で人を裁いてはいけない。この法治国家は数えきれない経験と議論の上で、さらに現在も議論を続けることで成り立っている。一部の最後で樋藤が「人が人を傷つけることを、正当化してはいけない」と語っている。復讐に走った樋藤が最後の最後に気付いたことが第二部でも語られ、復讐という動機が連鎖するこの物語で、この言葉は染み入る。
真相が明らかになってからのラストシーンも劇的で、これも前作を彷彿とさせるような展開だった。序盤の引きからラストシーンまで夢中になって読み進められる読み応え抜群のミステリだった。
Posted by ブクログ
樋藤清嗣… 第一部主人公。復讐を計画中
横島真莉愛…第二部主人公。「兄」と同居
樋藤は島への旅行で、友人たちへの復讐を考えていた。しかし自分が手を下す前に事件が発生。仕方なく犯人を探しはじめる。
第一部は孤島もの、第二部は社会派、の二部構成。結構気持ちが理解できてよかった。
Posted by ブクログ
1部おわったあとに、その後の展開を読めるのは面白い。犯人が分かってしまう、そして1番ワクワクする殺し方やそごての謎が楽しいのに、それが微妙だった。
Posted by ブクログ
寝る前に読み始めたら止まらなくてとりあえず一部まで一気読みし、次の日仕事中も続きが気になってそわそわした本。
この作者の話は二作目だけど、設定がとにかく面白い!!!
息をつかせぬ展開がかなり好み。有栖川有栖に憧れている作者ってすっごい多いよね。改めて偉大な作家だ。ただ有栖川作品と違って登場人物誰のことも好きになれないのはなんでだ(笑)それだけ人間の汚いところをよく描写できてるってことなんかな? しいて言うなら無残に殺された六人たちのことを好きになりかけた。ひどい過去を持っているやつらなのにね。
個人的には一部がものすっごくよかったから、二部はふうんって感じだった。でも真実が暴かれたのはよかったと思う。しかし家庭環境と生活環境は大事だなーとしみじみ思った。
分厚い本なのに夢中になって読めました!
Posted by ブクログ
離島で若者が次々に殺害されるという、十角館の殺人のストーリーを彷彿とさせながらも、その後のストーリー展開がとてもよかったです。
第2部で、見事に第1部での出来事を解決してくれて、読後感はスッキリしました。特にまりあが〇〇の△△と分かってから、一気に色々と繋がりが見えて話が進んだ感があった。天草も一回行ってみたい。
1点、第1部と第2部の冒頭は対比させてるのだと思うけど、第1部は誰宛の電話だったのかいまだによく分かってない。紀田さん?
Posted by ブクログ
大学生の樋藤清嗣は友人7人と無人島、徒島の旧リゾートコテージで1週間を過ごそうとやってきた。
有人島からは急流で遮られ、船がなくては出られない孤島。
樋藤は長年の復讐計画を実行すべく乗り込んだのだが、樋藤が復讐を実行する前に撲殺死体が発見されて。
Z世代のクリスティーという肩書きが気になって読んでみた。
孤島での連続殺人事件でどんどん追い詰められていく樋藤。まだ半分もあるのに早々に決着がついてしまい、不完全燃焼で後半へ。
前半から3年後、大阪で働く、真莉愛。
仕事中に発見したバラバラ死体が、第一発見者が殺害される連続殺人の被害者で。
倒叙ミステリーでもあるけれど、それがどこに繋がって行くのか。あのミステリ、このミステリが頭に浮かびつつ。
人を憎みつつ、憎みきれない葛藤。
男尊女卑や家に縛られる人たちの足掻き。
いろいろと盛り込まれるけど、こういう重い感じ、最近の流行りなのかな。クリスティーってこんなに重かったっけ。
あと、犯人にバーンと証拠を突きつける、みたいな展開を期待してたから、最後は拍子抜け。
このギャップがいいのかな。Z世代的に。