あらすじ
ベランダで自己流園芸に勤しむクリエーターのいとうせいこう氏と、世界的な花の育種家(ブリーダー)の竹下大学氏が、
不可思議な植物の世界をめぐって深淵で刺激的なサイエンス・トークを繰り広げる。
本書のタイトルは、人類は植物を利用して文明を発展させてきたが、
実は植物の方が種の繁栄のために人間を利用しているのではないかという発想によるもの。
動物との共進化に代表される植物の生存戦略、日本人の死生観と植物の関係性、
生殖から考えるオスの存在意義など多方面から植物にまつわるエピソードと可能性を語る壮大な対談集。
植物と人間の新しい関係が見えてくる、花とサイエンスの超入門書。
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Posted by ブクログ
ベランダ園芸家でもあるいとうせいこう氏と、世界的な花の育種家の竹下大学氏の植物にまつわる対談集。
昆虫に蜜を与える代わりに受粉という生殖作業をさせるという点からして、少なくとも植物は昆虫を操ってきたのだろうと感じていたが。
さらに、実は人間だって植物に操られてきたのかも?と思わせる新たな視点が次々と登場する。
また、世界の中でも日本人の成し遂げてきた植物への研究は、あらためて素晴らしいと思える話も多数。
食料危機を救うための小麦や稲、鑑賞用としての植物の品種改良など。
そして、今では普通になっている観葉植物の「斑入り」は、日本人が最初に目を付けて、その美意識がヨーロッパの人々にも伝染したという話は面白い。
植物の世界にもジャポニズムがあったのだ。
読み終えて、やはりヒトの歴史には植物がかなり深く係わっていたんだなぁと。
それは、ネアンデルタール人が、花を墓に供えた時から始まっていたのね。