【感想・ネタバレ】見えない戦争の正体――米中露が仕掛ける「認知戦」のレビュー

あらすじ

■「認知戦」は、あなたの脳に仕掛けられた戦争だ

「フェイクニュース対策」
「SNSの情報操作」
「ディスインフォメーション対策」

もし、あなたが「認知戦」というワードを耳にして
これらの事象を連想するとしたならば
残念ながらすでに認知が歪められた状態にあると言わざるをえない

本書が定義する「認知戦(Cognitive Warfare)」とは、
外部から刺激を与えて反応を引き出す「心理戦」とは根本的に異なる

脳の情報処理構造そのものを書き換え、
対象者の思考・行動・価値観を根底から変えてしまう。
─それが認知戦の本質だ。

■こんなふうに感じたことはないだろうか?

・「同じニュースを見ているのに、
人によって全く違う現実を生きているのか」と感じたことがある
・トランプの言動が「支離滅裂」に見えるのに、
なぜ支持者は熱狂するのかが理解できない
・SNSを見た後、気づかないうちに
自分の意見が変わっていたような気がする

これこそがまさに「認知戦」の影響である

本書を読み終えたとき、あなたは「世界の見え方」が変わっているはずだ。

■支離滅裂なトランプの言動に潜む「認知」の操作

なぜトランプは矛盾だらけの発言を繰り返しながら、交渉を制し続けるのか。

答えは単純だ。
意識してやっていないからこそ、強いのだ。

計算された戦略は相手に読まれる。
しかし、本能と直感から繰り出される「認知の攪乱」は、誰にも防ぎようがない。

相手が「合理的判断を下せなくなる地点」まで引きずり込む。
─それがトランプという現象の正体だ

「政治的暴言」
「ディープステート」
「関税」

これらはすべて認知戦の道具にすぎない。
本書はその構造を、その危険性を、
インテリジェンスの最前線に身を置いた著者たちが徹底的に解剖する。

■すでに日本に仕掛けられている米中露の認知戦

ロシアはウクライナで。中国は台湾・沖縄で。
そしてアメリカは世界中で、認知戦を展開している。

中国が巧みに仕掛ける「三戦」(世論戦・心理戦・法律戦)は、
軍事衝突の前から始まっている。

福島原発の処理水問題、沖縄の独立論、琉球帰属論─
これらは偶然ではなく、
日本国民の「信念体系」を標的にした、精緻に設計された認知攻撃だ。

そして最も恐ろしいのは、
「敵」よりも先に「自国民」が認知戦の標的になるという事実だ。

コロナワクチン、メディアコントロール、SNSアルゴリズム─。
気づかないままに影響を受けているかもしれない。

■スマートフォンが認知戦の最前線兵器となる
「AIの進化」
「空間コンピューティング」
「DecNef(デコード化ニューロフィードバック)」…

認知戦の手法は、間接的なものから
「脳への直接介入」へと急速に進化している。

■本書は世界で初めて、軍事司令部に提示された
認知戦防衛システム「CWCSS」の内部構造まで踏み込んで解説する。

それは、サイバー戦でわが国が犯した失敗を、
認知戦では繰り返さないための緊急の警告でもある。

認知戦において「手遅れ」は、経済的損失では済まされない。
国家の存亡に直結する。

全国民必読の書。

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Posted by ブクログ

共著になっているが、本書は苫米地英人氏の仕事・言説が中心で、珍しく佐藤優氏はその言説を歴史的・宗教的観点で、示唆・補足している感じの構成。なので、2・3・4章は佐藤氏上梓本をほぼ読んでいる人にはかなり既知で予想通りの範囲。本書の神髄は1章の認知とは何かの根源的な解説と、その認知に必要不可欠な生成AI、将来のASIについて解説した5章になる。1章の認知戦の学術的説明と5章のAIの予測不可能性と不完全性定理は、まさに啓蒙の内容で、今を生きる人間全員が知っておくべき教科書的内容で非常に勉強になり、面白かった。

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2026年05月08日

Posted by ブクログ

非常に面白かった。

恐らく本書の契機というか元ネタは、ニューズピックスにおける、加藤浩次氏がモデレーターの対談だろう。

佐藤優氏と苫米地英人氏の対談本は他になく、コラボしたのはかなり古い出版記念の動画が一つある程度だった。どちらも多読家であり、多作の著作家であり、高い知見を持っている人でありながら、タイプも分野も異なりすぎるが故に協働が見られず、気になっていた組み合わせだ。

苫米地氏は頻繁にトンデモ系の主張をする。独自の思考回路、主張を持っていて、また意図的か否かは不明ながら、認知を惑わす発言になりがち。

一方で佐藤氏の方は元々公務員組織やインテリジェンスで活躍していた立場から信頼性が何よりも重要で、一度の失敗すら許されない厳しい立ち位置で生きてきたが故に、主張に疑問符を持たれるような発言や仕事は避けてきたはずだ。

なので順当に考えて、この組み合わせは「混ぜるなキケン」系なのである。

風向きが変わったのは佐藤氏が手術を経たことだろう。

これまでは「事件の時にもう一生分メディアには出た」といって活字以外でのメディア露出がなかったり、お堅い系の露出が主体だったのに対して、吹っ切れたのを感じる。

選挙前には候補者への激励や助言をするシーンも出てきたし、敢えてスポーツ紙やゴシップ誌のオンライン記事に寄稿もしている。

そんな中でのこの組み合わせに、余生なのだから自由にやろう、という心境変化と、同時にエリートだけではなく大衆レベルにも種をまいておこうとした可能性を感じる。

両者の過去作を多く読んできているからこそ、明らかに別意見を持っている部分を知っていて、そうしたテーマに近づくにつれハラハラしてページを繰った。

お互いの意見をそれぞれ語りながらも、相違部分については「私は違う意見を持っているが、ここではその表明にとどめる」という形で共存を図っていて、まさに国際関係のような現実的なやり取りが見て取れた。

本書では「認知戦」が主テーマであり、ここは苫米地氏の主戦場である。
また認知戦にはIT技術が密接に関わるが、佐藤氏はテクノロジー周りは(おそらく)門外漢だ。
なので基本的にひたすら聞き役、まとめ役、補足役に徹していて、繰り広げられる苫米地節を現実世界に引き戻すのに非常に重要な立ち位置を両佐藤氏(もう一人の進行役も含め)が演じていて読みやすい。

個人的にはここに是非落合陽一氏をぶち込んでほしい。佐藤優氏とも苫米地氏とも全く接点がないのと、技術・サイバー・思想が重なる部分をさらに面白く発展させられるに違いない。

さて具体的な内容で興味深い点は、なんといっても苫米地氏たち(どの団体?)が開発・提供しているという「認知戦式支援システム(CWCSS) 」だ。

鍔迫り合いが目立つ大国間の認知戦に対抗するための、インプットにおける重要なフィルタリングになる。どこまで効果があるのか。どこの組織・団体が実際にこれを活用できているか。
このシステムで使われているモデルと基盤はなんだろうか、など気になる点が満載である。

認知はつくられるもの。そもそも認知操作を完全に避けることは不可能だ。

我々人間は生まれたときから、関わる全ての情報によって影響され、環境からもたらされる情報によって知識、常識、思考回路などが構成されていく。誰もがバイアスから逃れられない。
なので出来ることは、可能な限りメタ認知を徹底意識し、自分の感情、環境、思考、行動を疑い、再検討し、たまにガラッと変えてみることくらいだ。
完全な主体性など存在しないと認識すれば、謙虚に生きられる。

本書内でいただけないのは、DecNefがさも実用化され攻撃に使われているかとミスリードされそうな点だ。

SNSや会見、公式発表といった形で認知操作に繋がる発信を行うのは、日々実際に見聞きすることだ。
またスマホ機器やSNSアカウント、通信系アカウント、周辺で関わる人などへのハッキング的行為を通して認知操作をしようとする攻撃も現実にあるだろう。だからこそハッカーやインテリジェンス関係者、国際手配されている要人などはSignalのような秘匿通信アプリを使用したりGrapheneOSを使ったりする。

一方で、DecNefはまだfMRIなどの大型電磁機器に直接人を配置させることが必要だ。
遠隔で、他者に気付かれずに人の思考を直接操作する技術はまだ実現化されていないし、技術的ハードルの高さから見通しが立ってすらいない。
ワクチンを通してナノマシンを入れるとか、mRNAワクチンを通して操作することもまだまだ現実的ではない。あくまで可能性がゼロではないという程度だろう。

こうした点は危機感を煽っているだけなので、現実的な見極めが必要だ。

いずれにせよ、複数のレイヤーで興味深い一冊。是非この基礎の内容から発展させた応用編の次の対談を希望する。

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2026年05月17日

Posted by ブクログ

恐怖を煽るための未来予測ではないとの事だけど、私には難しかったので飛ばし読み。
死が怖くなくなれば、戦争もなくなるそうな。

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2026年05月15日

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