あらすじ
大江健三郎との絆、井上ひさしの忘れ得ぬ言葉、丸谷才一の凄み、星新一の威厳、小松左京の功績、桂米朝の教養、手塚治虫のもう一つの世界。漱石、芥川、谷崎文学の解読。『モナドの領域』『ダンシング・ヴァニティ』『聖痕』『大いなる助走』等の創作秘話。追悼、書評、解説、選評、インタビュー等から立ち上がってくる現代文学の核。そして筒井文学の秘密。文学愛好者、作家志望者必読のエッセイ集。(解説・上田岳弘)
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Posted by ブクログ
筒井康隆『不良老人の文学論』新潮文庫。
91歳の筒井康隆が創作秘話、畏友交流、文学的信念などを綴るエッセイ&書評集。
高校時代から大学時代に筒井康隆の作品を読みまくっていたが、ユーモラスでぶっ飛んだ小説とたまにシリアスなSF小説を書く変わった作家だなと思っていた。その後、何時の間にか文豪と呼ばれる偉い作家となり、文庫本の解説や様々な文学賞の選考を務めていたことには驚いた。
筒井康隆の宗教観と『エディプスの恋人』や『モナドの領域』の創作秘話が語られる。様々な宗教から得た知識と考察から独自に宇宙論を構築していたようだ。
筒井康隆は小松左京の知識力を畏怖し、大江健三郎や開高健を尊敬し、大江健三郎を目指していたことが明かされる。筒井康隆と同時代の作家が次々と亡くなっている。小松左京、大江健三郎、開高健、井上ひさしなど大物作家の訃報は辛い。
筒井康隆はジャズにも造詣が深く、それは主にジャズピアニストの山下洋輔との交流によるものだ。自分も筒井康隆の影響なのか高校時代からジャズを聴くようになり、山下洋輔のコンサートやライブ・アンダー・ザ・スカイなどのイベントにも行っていた。
本作は、追悼、書評、解説、選評、インタビューなどで殆んどを占めているが、『孫自慢』『蕎麦道場』といった筒井康隆自身の日常を綴ったエッセイも非常に良かった。
本体価格710円
★★★★★