あらすじ
食と仏道を同じレベルで語った『典座教訓』を、建長寺をはじめ、長く禅寺の典座(てんぞ/禅寺の食事係)を勤めた訳者自らの体験をもとに読み解く。禅の精神を日常の言葉で語り、禅の核心に迫る名著に肉迫。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
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Posted by ブクログ
この本を読んでから、自分を大嫌いになりそうなとき、
料理をするようになりました。
藤井宗哲さんのエッセイの部分に、とても感動しました。
一途に生きた人間って、ほんとうに強くて優しい、と感じました。
私は、感動して泣いてしまいました。
(なぜかは私にも分からないです)
お料理のレシピは読むだけでヨダレが出ます。
「悟り」って、喜怒哀楽を無くすことだと理解されること、多いですよね。
なんとなく、私もそう感じてたんです。
でもこの本を読んで、「悟り」って、
「自分と、自身を取り囲む万物(人、物、自然)を慈しむこと」
と教えてもらった気がします。(違ったらすみません!)
「悟り」ってなんか怖そうなイメージがありましたが、
この本を読んで、考えが完全に改まりました。
「悟り」って、なんだかとても、あったかいものみたい・・・。
知ったような口をきいてすみません。
私が理解し切れなかったことが、たくさんあると思いますので、
なんだそりゃ?と思われた方、ぜひご一読ください。
藤井さんの語り口の軽妙さも魅力的ですよ。
Posted by ブクログ
この本は道元禅師の「典座教訓」を藤井宗哲氏が解説した本ですが、執筆途中で逝去されてしまった為後半の解説は曹洞宗長光寺の住職柿沼忍昭氏が書かれているので共著とも言えるでしょう。
「典座教訓」の原文と解説本で170ページほどの薄い文庫本ですが、読み応えはあります。
お寺の典座における料理の心得、食事の心得が書かれており、大切に食べ物を扱うこと、食べる人の事を考えて作ること。
僧侶は仏の子でもあるから典座は仏を育てる事でもある貴重な役割であることなどの思想も書かれています。
そもそも道元禅師が典座教訓を書かれるきっかけになった宗(中国)で典座をされていた老僧に出会うエピソードも書かれています。
最後には禅の教えである「三心」(喜心、老心、大心)についても書かれてあり、典座がただの料理番ではなく大切な役割を担い、且つ自己の成長させることができる世界だということです。
道元禅師、藤井宗哲氏、柿沼忍昭氏、そしてお釈迦様(ブッダ)の教えが少しずつですが散りばめられている本だと感じました。
仏教伝来はいろいろなルートがありますが、永平寺が誕生のエピソードもあり、これを読むとやはり永平寺には一度足を運びたいと思いました。