あらすじ
ぼろぼろの守護天使たちがわたしにつきまとう……。人生のすべてをかけた劇団を失い、世捨て人のように暮らす劇作家ミチル。絶望の果てに、彼女は天使の幻覚を見るようになる。この天使たちを葬るために――。イスタンブールからリスボンへ、そしてパリへ。ヨーロッパを彷徨うミチル。再生の光は果たして見つかるのか? 魂の巡礼を鮮烈に描く青春小説の傑作。第6回朝日新人文学賞受賞作品。
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Posted by ブクログ
ご都合主義感がちょっぴり。
猫背の王子の続編ということですが、意外だったのはトオルへの想いとトオルの想い。
トオル、トオル、トオル…
ミチルはトオルをあんな風に強く想っていたんですね。
それならばもっとトオルと向き合って欲しかった。久美子の方へなびかずにトオルをもっと見て欲しかった。
久美子の登場が遅かったせいで急に心を乗り換えた印象が強く魔性感が。いや、久美子とも報われて欲しいんですけどね。
トオルに感情移入してるのかもな。てかしてる。振り向いてはくれない。ずっとそばにいるのに。なんで男に生まれたんだろうね。憎いぜ。
Posted by ブクログ
ミチルさんシリーズ第二弾。
盟友であるトオルも、劇団も何もかも喪って、戯曲も舞台の小道具も全て処分して、ボロボロの羽根を持った天使たちにとりつかれてようよう息をするだけの生活を送っていたミチルさんが、ひょんなことから欧州を巡る旅をする中で、重要な出会いをする。
トルコの少年とその家族の温かさやフランスでの出会い、新たな出会いのおかげでまた戯曲をかけるようになったミチルさんの今後も、トオルさんが何故ミチルさんを見捨てたのか、続編でぜひ知りたい。
Posted by ブクログ
シリーズの前作『猫背の王子』や、最終作『愛の国』と比べると非常に淡く、たゆたうような雰囲気で大きなドラマがなく進む作品。江國香織の海外を舞台にした小説と似た読み味。
中山可穂氏の文章はぐいぐいと読ませる推進力がある(私にとって)けど、『天使の骨』は珍しく、ゆっくりと立ち止まりながら、物思いに耽るように読む印象だった。
輝くようなラストのセリフがいつまでも胸に残っている。